「…………あーいたたたた……頭いてぇ……飲みすぎちったよ……久々にパチンコで大勝ちしちったもんなぁ……飲むよなぁ……今までパチンコに貯金してた分引き出しちまったらそら飲むよなぁ……」
気だるげな朝、痛む頭に魘されるように起きた銀時は、誰が聞いてるわけでもないというのに言い訳するように起き上がる。
生理現象である男のエクスカリバーが寝起きということもあり無駄にエクスプロージョンしているが別段気にすることもなく上半身をお越し、さて、昨日はどうやって帰ってきたんだっけかと記憶を巡らせる。
起こした上半身は一糸纏わぬ格好であり、下半身に布団の感触を感じる辺り、全裸なのであろう。
「…………あり…………なんか似たようなことがあったような……」
銀時はバッと隣を見れば人一人分はあろう大きな膨らみがあった。
じわり、冷や汗が流れる。
――――いやいや待て待て待て、これはあれだ、またあれだ、どうせこんなかにまたババアでも入ってるんだろ……また俺の酒癖の悪さを懲らしめるために二番煎じ染みたタチの悪いことしてやがんだろ、俺のマイサンは寝起きで絶賛ギャンダチだけど、白い悪魔と戦うくらいギャンだけど!!
……いやそうだよね? これって前回の二番煎じだよね!?
まってまって記憶に無いんだけど!? あいつらのせいじゃないなら銀さん気持ちよくなった記憶が無いんだけど!?
え、嘘? やった? マジでやった? 自慢じゃねーけど銀さんマジで酒癖悪いからね? 自慢じゃねーけどマジでモテないからね? そんな銀さんが行きずりの女引っかけるとかどんな状況!?
銀時は自分で言ってて悲しくなってきたが、しかしもかかしも、自分の隣には間違いなく誰かがいる、というか肌が妙にべとつく辺り間違いなくやってる、夜の大運動会が間違いなく開かれている。
(うっそマジでぇ!? やった!? やっちゃった!? でも気持ちよくなった記憶がねえ!? 勿体ねえ!!)
割りと焦り倒しているはずなのに、ゲスいことを考えてはいたものの、銀時はなら、俺の隣には誰がいるのか……と、気になってきた。
枯れはてたババアがいたならゲロ吐いて酒飲んで記憶を消去するし、とんでもない不細工がいるならばゲロ吐いて酒飲んで記憶を消去する、美女ならば酒飲んでパーリナイする、あれ、結局酒飲んでね? と銀時は思う。
だが、いつまでうだうだしてても仕方がないと、鬼が出るか蛇が出るかといった様相で、隣の布団を手汗で滲む手で捲る。
「う、うぅん……すまない銀時……悪いのだがもう少し寝かしてくれ……昨日は激しかったから、流石に僕もまだきつい……」
「あ、すいません。ゆっくり寝ててください」
そっと布団を戻し、銀時は三秒ほど考えた。
(九兵衛じゃねぇかぁあああああああ!!)
布団の中には髪をほどき、綺麗な長髪が艶めかしく、うなじなどに零れている九兵衛がそこにいた。
――――一番可能性の低そうなやつが隣で全裸で寝てたじゃねぇか!!
銀時は心の中で叫んだ。
(一糸纏わぬ姿だったよ!? 胸とか大森林とか色々丸見えだったよ!? というか完全向こうは覚えてる感じだったんだけど!? 昨日の銀さん覚える感じだったよ!? というかお前の男嫌い設定どこいった!? 克服したの? 銀さんが克服させちゃったの!? 一皮むけてダイの大冒険しちゃったの!? ずる剥け過ぎだろ!? 序盤でダイがバーン様倒すくらいレベルアップしてんだけど、序盤のアバン先生差し置いてポップがハドラー倒すくらいありえないんだけど!?)
銀時は顔中から冷や汗を流し、顔をひきつらせていると、隣から指を絡めるように手を繋がれる。
「ふふ、銀時は暖かいな……添い寝してくれないか?」
(…………やべえよ完全に階段昇りきってるよ、エレベーターどころかロケットで大気圏突破しちゃってるよ……)
――――何したらこうなるんだ!? 俺本当何したの!? いや、ナニはしたんだろうけど!?
と自問自答するも、隣の九兵衛は不安そうな声で銀時を見つめていう。
「その、ダメ……か?」
「あ、あはは……だ、ダメじゃねえよ……ほら、今になって緊張してるっていうか……落ち着いたら余計に緊張してきたというか……」
「ふふ、僕を女にしたっていうのに、緊張するんだな」
「あ、あたりめーだよ! 男はいつだって美女にはドキドキしてるもんだ。いつだって股間センサーが反応してるもんだ」
「じゃあ、今度からは僕だけに反応してくれると嬉しいな」
(な、なんか異様に可愛いんですけど!? 女の子らしい九兵衛の破壊力凄いんですけど!?)
「も、勿論だよハニー、銀さんこう見えても一途だから、汚れた恋なんてしないから」
そう言って銀時は、九兵衛と自分自身を誤魔化すために隣に入ると、九兵衛は銀時の体にしがみつくようにして眠りに落ちた。
銀時はその光景に一度安堵し、実は事態が一ミリも好転していないことに気づく。
(や、やべぇ……記憶にねえって言えば、九兵衛には仕方ねえとしても、お妙のやつに殺される……間違いなくこの世から抹消される)
銀時はあまりの先行きの暗さに過呼吸を起こし、気絶した。
★
銀時は夢を見ていた。
パチンコで大勝し、夜の運動会するために夜の店に繰り出す夢だった。
そこでハッスルし、気持ちよく家にかえり、いつも通り新八を弄って神楽に鼻くそすりつけるような、いつもの日常の夢。
「現実なら良かったのに……」
彼は今、ラブホにて、体育座りで後悔していた。
隣には九兵衛が未だに気持ち良さそうに自分の手を握って寝ており、動かぬ状況証拠がというか動かぬおっぱい証拠がそこにあった。
白いシーツに赤い液体がある辺り、明らかにやってる、明らかに初物を頂いてしまってる、これでイタズラなら体張りすぎであろう。
「やべえよ……マジでやべえよ……一時のテンションどころかその上げたテンションの行く末すらわかんねえよ……というか九兵衛とこの状況になるってどうやんの? こんなギャルゲーの隠しルートにすらいなさそうなやつどうやって攻略したの? 酔った俺はどうしちゃったの?」
チラと九兵衛の寝顔を見れば、安心しきったような幸せそうな寝顔。
再度チラとラブホに備え付けてあるなんか体位とか見ながらする鏡を見れば青ざめた自分の顔。
「いや待て、なにこの鏡? え、もしかして銀さんそんな鬼畜プレイしたの? 俺のエクスカリバーがお前の鞘に入ってるところが見えるだろとかそんな高度なプレイしちゃった? そういうことなの? 」
銀時はぶつぶつと自分自身にドン引きながら、ツッコミをいれていると、隣で眠っていた九兵衛が銀時の声に気が付いたのか目を覚ました。
「ん……ああ、おはよう銀時、そういえばよくも昨日は僕の鞘に君のエクスカリバーを出し入れして、更には僕を辱しめるために鏡の前でやってくれたな、正直恥ずかしかったぞ」
「……やってたよ……エクスカリバープレイしてたよ……貴方が私の鞘だったのですねだよ……自分の性癖にドン引きだよ……」
正直酔っていたのもあるが、明らかに酔いと交じり合って自分の中の獣性というものが暴れている、ドSが変に暴走しているということに銀時は自分自身に顔をひきつることしかできない。
「いきなり何に落ち込んでいるのだ。まあ僕たちはナニをした仲なのだが」
「九兵衛くぅん!? 大人の階段のぼったらそんな小粋なジョークが言えるようになるの!? 炭治郎君だって水の呼吸から日の呼吸へと段階得てんだよ! お前ももう少し段階踏んでけよ!!」
「銀時の短治郎は僕にはちょうどよかったけどな」
「馬鹿野郎!! 俺の銀さんが元気になれば大治郎なんだよ!! 俺とお前と大治郎なんだよ!!」
「いや、大五郎だと思う。というかそれは焼酎だろ」
「誰のちんこのでかさが小中だ!!」
「いや、言ってないぞ!? というかいったいなんの話をしてるのだ!!」
全裸のいい歳こいた大人と、全裸の美少女が訳の分からぬ言い合いをしている。
正直鼻くそほどにどうでもいい会話ではあるが、銀時にとっては焦りと焦りのせいで無駄に高鳴る心臓で何を言っているのか自分でも分かっていないようだった。
というか完全に頭に血が上っており、前後不覚と言ったところであろう。
そんなこんな十数分ほど無駄に過ぎる言い合いをしていると、どうにもチェックアウトしないといけない時間なのか。
「時間だ、銀時悪いのだが、そろそろ出ないといけない時間だ」
あん? と時計の方を見れば、早朝の九時前、普通のホテルであったとしてもそろそろ出なければいけない時間であろう。
まあラブホなので時間制ではあるが。
「そうか、んじゃ、シャワーでも浴びてから出るか、体がべとついちまって仕方ねえや」
そう言って、銀時が立ち上がろうとすれば、隣の九兵衛が銀時の手を掴み、頬を染める。
「銀時、一緒に入るか?」
そう言う九兵衛に、銀時は顔をひきつらせた。
――――やべぇ……正直、銀さんの銀さんが反応しかけた……。
「い、いや、先に入ってこいよ、お、俺は後で入るから」
「そうか、残念だ。だけど銀時は昨日そう言いながらお風呂に入ってる僕を──」
「だぁあああ!! いいから早く入れや!! 襲わねえから!! 朝からそんなことする元気ねえから!!」
そんなことまでしてたの!? と銀時は酔った自分の酒癖の悪さに更にドン引きした。
「む、そうか、じゃあ先にいただこう」
そう言って九兵衛は布団からでると、銀時の目の前で、一糸纏わぬ姿を晒してシャワーを浴びに行こうと歩いており。
見えるもの、男が見たいもの全てが丸見えであった。
「……………………」
銀時はその姿を無言で眺め、
「やべ、鼻血でた」
あんまりにも無防備なエロに鼻血を出していた。
正直、エロ過ぎた。
★
外にでれば真夏と勘違いしそうになる9月の昼時、残暑どころか夏がそのまま引っ越しでもしてきたんじゃないかと勘違いしたくなる連日の猛暑っぷりだが、そんな中を一組の男女が腕を組ながら歩いていた。
片方は無気力そうな顔男、片方は男装をしているのだが、その微笑みで女性とすぐ察する笑顔を浮かべていて、恋人同士なのかと、見るものに思わせる。
まあ銀時達なのだが。
「………………九兵衛くん、暑いんだけど暑すぎてどうにかなりそうなんだけど」
くそ暑い灼熱の太陽のもと、男女の機微なぞクソどうでもいいと吐き捨てそうな男である銀時は、腕組を心底拒否したかったのかそう言い放つ。
(そもそもこんな姿を誰かに見られたらなに言われるか分かったもんじゃねえ……どうするよ新八とかに見られた時には、銀さんの銀さんが大暴れしたことしか伝わらねえよ……)
などと人の目を気にしていて気もそぞろといった所で、いち早く腕組みを解消したいのが本音といったところであった。
だが、九兵衛は自前の天然ボケを発揮し始めていた。
「そうだな僕たちは熱々だな」
「いや、言いたいことはそうじゃないから、物理的に暑いから、くそ暑い太陽の下で頭熱々のやつが腕組んでくるから余計に暑いんだけど」
「そうだな物理的に熱い夜を過ごした仲だな」
「いやそうじゃなくて熱いと暑いは違うから、俺が言いたいのは暑いであって熱いとは違うから、暑いであって熱いじゃないからで、あれ、意味分かんなくなってきたで熱い。あ、ごびがあついになってたであつい」
銀時は熱いと言い過ぎて熱いがゲシュタルト崩壊してきたがまあ実際暑いので頭が茹ってきているのであろう。
だが、九兵衛はそんなこと関係ないとでも言うに様に微笑みを浮かべて――――
「そうだな僕たちは熱々だなでアツ」
――――やっぱり同じように茹っていた。
「なんで語尾移ってんだよ、なんでガッツマンみたいな語尾なんだよ」
「僕はロックマンだとexeシリーズが好きだからなでガス」
「寄せてきたよ、この子ガッツマンの方に寄せてきたよ、もはや熱いのこと忘れちゃってるよ!! というかそんなこと聞いてねーよ!!」
「ふふ、好きな人には自分の事を知って欲しいからな」
「なんでそれでガッツマン? ガッツマンにどんな思い入れがあるの? 好きな人にいの一番に知って欲しいのがガッツマンなの? そんなに好きなの?」
「ああ、チップトレーダーにいの一番に突っ込むくらい好きだ」
「それ殆んどゴミじゃねーかぁ!! もっとガッツマンを愛してあげてぇ!」
夏の暑さを忘れて銀時はツッコミを入れる。
いや、どちらかというと、もうすでに暑さにはやられていたのであろう。
もう正直腕を組んでることも、暑いから離せと言っていたことすら彼の頭のなかにはもうなかった。
ガッツマンただただ哀れすぎて同情を禁じ得ず騒ぎ倒していた。
銀時は忘れていた。
そもそも腕組みを解消したい根本的理由は暑さではなく人の目であるということを。
「あら、銀さんに九ちゃん、なんだか仲が良さそうね? 腕なんて組んじゃってどうしたの?」
「……………………」
銀時はその声に硬直し、凄まじい冷や汗を流しなら、ブリキのおもちゃのように首をそちらに向ける。
すると、そこに絶望がいた。
(じょ、序盤の面でフォルテ来たんですけどぉおおおおお!!)
銀時は目の前に買い物袋を腕にかけた、お妙という脅威に顔が引きつり、泣きそうになった。
★
(やっべーよ!! メットール相手に戦ってたと思ったら裏ボス出現したよ!! 俺まだ九兵衛とどうしてこうなってるのかすら分かってねーよ! 序盤の物語に触れる前にラストバトル始まってたよ!)
銀時は多大な冷や汗を流し、どうすればこの状況打開できるのかと考え、天啓が舞い降りてきた。
いわゆる逃走という手段が。
「あ、九兵衛くん? そういえば僕、友達の佐藤くんにダイナマイト刑事貸してたの思い出したからちょっと取りに行くわそんじゃ──おぼおおおおおおお!!」
声を震わせながらありもしない事をほざき、その場の離脱を図ろうとしたが、その思惑は一瞬にしてお妙の拳が銀時の顔を粉砕する形で霧散した。
お妙は笑顔で銀時の顔から拳を抜き取ると
「あら銀さんどうして私の顔を見た途端逃げ出そうとするのかしら失礼しちゃうわ」
(失礼に対する返礼でかすぎだろうが!! どんなお返し!? メラ撃ってきた相手にメラゾーマでお返しとかバーン様でもしねえわ!!)
「い、いやあの……ほら、俺ってしゃいだからさ、ほら、あれだよ……あれだって……そのほらあれだってアレン・ウォーカーくんがね」
「あら、佐藤さんじゃありませんでしたっけ?」
「ほらあれだよ! 佐藤くんとAKUMA退治の旅に出るんだよ!! そんで途中でアレンくんと落ち合う約束なんだよ!! 男の旅立ちに言葉は不要なんだよ!!」
「今言葉を並べ立ててますよ?」
「お前が言わせてんだろうが!!」
銀時は額に血管浮かべてキレ散らかすものの、別に事態は一切動いていない。
むしろ時間がたつごとに悪化しているといってもいい。
なにせこんなに騒いでいると余計な奴が更に集まってくる可能性があるからだ。
だが、運がいいのか悪いのか、それとも極大な地雷をすでに踏んでいるせいか、未だ他の知り合いとは会う気配はなかった。
「それに九ちゃんに腕を組ませるなんてやらしい」
「ちげーから! これはアレだから! フュージョンの練習してるだけだから!! 今からブロリー倒しに行くんだよ!!」
「そうやって最後にはフュージョンするつもりなんでしょ、やらしい」
「ば、ちげーから俺そんなんじゃねーし!!」
(フュージョン済みですぅ!すいませんんんんんん!!)
お妙は気づいていないようだが核心をつかれたせいで銀時は大いに冷や汗を流す。
更に銀時はえ、こいつ実は知ってんじゃね? 本当は分かってて言ってんじゃねという疑心暗鬼にも囚われた。
と、そこで九兵衛が銀時の前に立ち、妙に申し訳なさそうな顔で庇ってくれる。
「お妙ちゃん、それ以上はやめてあげてくれ、銀時は悪くない、僕が無理を言ってしまってるだけなんだ」
「九兵衛……お前…………」
まさかの助け船に銀時は感動すら覚えた。
腕組を散々拒否し、更には逃げ出そうとした奴をフォローしてくれるだなんて……と申し訳なさすら沸いてでて
「僕が無理言って腕を組ませて貰ってるんだ。あとフュージョンじゃなくてポタラ合体を済ましたから僕たちは夫婦だ」
(フォルテこっちにもいたぁああああ!! なに最後に特大の爆弾放り投げてくれてんだおめぇえええええええええ!!)
が、次の瞬間足元が崩れ去った。
まさかの背後撃ちであった。
………………
…………
……
沈黙が辺りを支配していた。
九兵衛は照れているのか恥ずかしげに、お妙は唖然としているのか硬直し、銀時は恐怖のあまり呆然としていた。
その沈黙を破ったのは責任感が強く、怖いもの知らずな妙であり、早急に事態の整理する必要があると判断したからだ。
「きゅ、九ちゃん……それって、そこのちゃらんぽらんに初めてを、その……」
「うん、妙ちゃん、銀時に自分が女であることを自覚させられたよ、子供ができたら妙ちゃんにも喜んで欲しいな」
「子供!? そ、そのゴムとかはつけて……」
「ゴム? ゴムを何に使うのかな妙ちゃん? それに銀時は何か着けてる感じはしなかったけど……というかヤることヤれば子供ができるものじゃないか妙ちゃん、銀時も昨夜男と女でヤることヤれば子供ができるもんだと言っていたんだが」
(のど越し生ァアアアアア!! マジでぇ!? 俺生でしてんの!? 右も左もわかんねえような純血の女の子に俺はなに畜生なことしてんのぉおおおお!? )
「銀さん、ちょっとお話が、話によっては殺します」
「……………………もう半分殺されてるようなもんなんですけど」
銀時はお妙の裏拳によって既に地面に深く沈められていた。
半死半生状態の銀時は半笑いでもう一生酒なんて飲まねえと強く決めた。
次の日には忘れる程度のものではあるが。
だが、もはや言い訳の立つ状況ではなく、というか言い訳並べ立てて逃げるようなクズには銀時の心情てきにもできず、半ば責任を取るという決心をした。
お妙は、そんな銀時の心情に気づくわけもなく、詰問する。
「銀さん、責任、取りますよね?」
そう言うお妙の顔は至極真面目なものであった。
ここで言い訳をして、逃げるようならただでは済まさないといった風な気配を漂わせている。
そんな、大切な友達を傷つければ許さないという、真っ直ぐな感情に、銀時は思わず笑ってしまった。
「はっ、流石に責任はとるさ。鏡の前で変態プレイまでかまして、生でやっちまってんだ。ここで責任とらねえようなクズじゃあないさ」
「じゃあ、銀さん!」
銀時の言葉に、お妙はパッと笑顔を浮かべる。
その笑顔返礼とでも言うかのように、銀時は九兵衛へと体を向けて、ばりばりと頭を掻きながら、照れくさそうに伝える・
「ああ……九兵衛、いっちょ結婚すっか」
「…………ああ、よろしく頼む、銀時」
九兵衛は銀時のその言葉に、頬を赤く染め、とても嬉しそうに眩しい笑顔で頷いた。
こうして、銀時の運命は九兵衛との結婚というある意味において幸せな結末を迎えた────とうまく問屋かおりるなら、銀時の人生はもっと楽なものであっただろう。
銀時は九兵衛に向けた体をお妙に向けると、全く同じ仕草で言葉を紡ぐ。
「ああ、じゃあお妙も、俺と結婚すっか」
銀時は、自分の口から次いででた言葉に、正気を失いそうになった。
(………………あれ、なんか口が勝手に動いたんだけど!?)
銀時の体はまるで自分の意思を無視して妙に体を寄せ、妙の腕を握り、壁に押しつけると、顎を持ち上げ、囁く。
「おらぁ欲張りのいやしんぼうだからよ、欲しいものは全部手に入れてえんだ。妙、てめえも俺のものになりな」
(なに言っちゃってんの俺!? ラストバトルに決着ついたと思ったら続編始まったんだけど!? というかなに言っちゃってんの!?)
銀時は自分の行動が信じられなかった。
というか自分の意思と行動が完全に別物になっているということに遅れ馳せながら気づいた。
「ちょ、ちょっと銀さん!? 貴方いきなり何を…………」
妙は若干頬を染める、何故だか周りの景色が心なしか桃色に染め上がっているきがする、というかなってる!? 何これ!? と銀時は心の中でツッコミ入れるも、体は止まってくれない。
「嫌なら手を振り払いな、だが、嫌じゃなけりゃ俺のものになれ」
(待て待て待て待て俺のからだぁ! 何で地獄への道へと邁進してんの!? この先間違いなくヘルロードだよ!? 銀さん跡形もなくなっちまうよ!? このメスゴリラにケツから内臓引き釣りだされちまうよ!?)
銀時は心の中で焦り倒すも体は一向に止まる気配なく、地獄へと全力疾走を続けていた。