微々たるものですが
歌舞伎町の片隅、万事屋と呼ばれる場所で、メガネのパッと見冴えない男と、えせ中華風の少女が、ソファに座り、テレビを見ていた。
「結局銀さん昨日飲みに行ったきり帰って来なかったね、今日家賃の支払いの日だって言うのにあの男はまた踏み倒す気かな神楽ちゃん」
そうメガネの男、志村新八は対面に座る中華風少女、神楽に、万事屋の主で
ある銀時について愚痴を漏らしていた。
「どうせいつものように飲みすぎてそこら辺でぶっ倒れてるか家賃の支払いが嫌で帰ってこないつもりネ。そんないつもの不毛な話よりも来れ見るアルよ新八」
そういって神楽はテレビを指差し、新八にテレビを見るよう促した。
テレビには花野アナが、今起きている事象について説明していた。
「えーなになに、あーロマンス星のロマンス星人がロマンステロを起こしてるのか、いやロマンステロってなんだよ…………」
天人が江戸に来てから意味の分からないニュースなんてものはよくあるが、一層の意味のわからなさに新八は思わずツッコミを入れる。
「ロマンス星人のテロは人を無理矢理ロマンスにし、恋愛を成就させるのか……あ、一応女性にしか効かなくて憎からず恋心を抱いてる相手に無理矢理告白させて恋人にしちゃうんだって」
つまりテレビの絶命によれば、ロマンス星人のテロは女性を対象にし、そのテロ行為を受けた女性は好きな人の意思とは関係なく恋愛を成就させるものらしい。
「あー確かにこれは酷いね、本来の意思を無視して成就させるなんて相手にも、それを受けた人にも失礼極まりないよ」
なんと酷いものだと新八は地味に憤慨していると、更に続けて新たな情報が流れた。
「あ、受けた女性にも副作用があるんだ。なになに、テロを受けた女性は副作用として苦手なものを克服してしまう。あーつまり告白するのも告白を受けるのもおじげづいちゃう人の意思を克服する副作用か、いやに徹底してるな」
ロマンス星人のその嫌に徹底したテロに、新八は嫌な予感が隠せなかった。
なんだかややこしい事態になりそう、いつもの感じなら主に今ここにいない銀時が厄介事を引き連れてきそうという、予知にも近い予感。
「まあ、しょせん好き嫌いなんて一過性のものアルよ。本気で好きになったなら自分の力で相手を振り向かせるくらいのことするのが大事ネ」
「そうだね、本気で好きなら自分の力で振り向かせたいよね」
「まあ童貞の新八は告白する勇気もないだろうけどネ」
「なんでそこで僕に矛先向くんだよ!! というか童貞関係ないだろう!!」
「そのすぐにツッコもうとする姿勢が気持ち悪いネ、女と見たら見境なしアルよ」
「ツッコミってそっち!? そんな勇気僕にはねえわ!!」
「童貞アルからな」
「テメエ表でろ!! どんだけ童貞弄りやがんだ!!!」
そうして、新八は神楽に掴みかかろうとして逆にボコボコにされた。