ダイヤのA トルネード   作:イマムー

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沢村VS東さん

 

 

 

 とりあえず沢村と先輩の対決の後に俺は肩を作ることにした。ちなみに俺はジャージと道具一式は持ってきていたので借りてない。

 沢村がグラサンとキャッチボールをしている間、俺はとりあえずランニングとストレッチを念入りにこなす。

 

「よーし!アップは十分だろ!始めるぞ!」

 

 どうやら始まるようだ。一人で見るのも寂しいのでメガネさんの近くで見ることにする。

 

「いいんですか高島先生!?中学生をマウンドにあげると高野連が……」

「大丈夫よ!あなた達が黙っていればね!」

 

 そんなやりとりがあったが俺は知らない。てかメガネさんって先生だったんだ。とりあえず初めて実践で硬球を投げるから指ではじいたりして感触を確かめておく。

 

「クソガキが何マジ顔になっとんじゃ!その顔一発で変えちゃるにきはよ投げーや!」

 

 緊張した顔の沢村を先輩が挑発する。それでも沢村の緊張はほぐれない。

 キャッチャーの構えはインコース。

 もしかして体格に似あわずアウトコースが得意なのか?

 足を大きく上げた大胆なフォームから放たれたのはベース手前のワンバウンド。

 

「ワハハハハハ、なんじゃあおい!ビビって手が振れとらんやないかい!投げるんが怖いんやったら正直に言えや!」

 

 こっちから見た限り、腕が振れてないというよりは無理やり軌道を変えたように見えた。

 

「すいませんちょっとタイム」

「あ!?打ち合わせなら先にしとけや!」

 

 一球でタイム?とか思っていると何やら騒がしい。グラサンが緊張をほぐそうとしてんのか?

 打ち合わせというかじゃれ合いの後、ようやく再スタート。

 2球目はキレのあるいい球がアウトローギリギリに決まった。

 そして3球目、またもアウトローに投げ込まれたボールはわずかにファールのあわやホームランの当り。やはりこの人スイングの速さは一級品だ。それに体格に似合わずバットコントロールも器用だ。

 ていうか沢村もすげぇ。ボール半子分の出し入れしてやがる。俺まだ内外の投げ分けがやっとなんだけど……

 続く数球もファールで捉えさせない。

 

「フフ……いようよ出始めたわね。彼本来の持ち味…」

「持ち味?」

「沢村君は肩関節が柔らかくまるで鞭のようにしならせることができるわ。それに手首も柔らかいからリリース直前にボールに強烈なスピンを加えられる。そこから生み出される七色に変化するナチュラルなムービングボール!!それが彼の持ち味よ!」

 

 ムービングファーストボールってメジャーでよく投げられるあれか?確かにそれなら捉えられないのも納得だ。

 

「おそらく限られた――」

 

 メガネさんが沢村の解説を始めた興味がないので聞き流しておく。

 キャッチャーが真ん中に構えた。これで勝負を決めるみたいだ。

 これまでの一番キレのある球は強烈なスピンをホップする力に変え、バットに触れられうことなくミットに吸い込まれた。

 

「ナイスボール」

「おおおおおおお!」

 

 見事三振を奪った沢村はマウンドで大きくガッツポーズをしている。打席の先輩は悔しさのあまりフォロースイングの態勢のまま動かない。

 

「ナイスピー」

「おう!君も頑張りたまえ!はっはっはっ!」

 

 マウンドから降りてきた沢村に声を掛けると異様なテンションの返事がきた。ちょっとコイツ調子に乗りすぎだろ。

 まあ、ようやく俺の出番だしいっちょやってやりますか。

 

 

 

 

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