ダイヤのA トルネード   作:イマムー

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入部初日

 

 

 

 

 

 時は流れ3月。特に問題を起こすことなく過ごしたおかげか青道へと無事入学が決まった。卒業式も終わり遂に今日から青道高校での練習が始まる。

 現在時刻5:00

 いつもより2時間早い起床に2度寝したい気持ちをぐっとこらえベットから抜け出す。手早く朝食の用意を済ませた。ちなみにメニューはドンぶり飯に焼き魚、漬物、味噌汁。

 朝食を食べ終えその他もろもろの準備を終わらせ家を出た。

 現在時刻5:45

 チャリで20分出し走れば30分くらいで着くはず。練習は6:30開始だから十分間に合う計算だ。てか練習開始早すぎだろ。

 軽くストレッチをしてランニング開始。

 目標は25分だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あ~~まんまと遅刻だ。まぁ道端で座り込んでたばあさんを見捨てるわけにもいかなかったし。仕方ねぇ、楽にいこ。

 

「宮川シニア出身 大嶋 広!希望ポジションはショートです!守備には自身があります!頑張りますのでよろしくお願いします」

 

 うわっ自己紹介始まってるよ、入りづら。しかも監督っぽい人超強面なんだけど。とりあえず頭下げて入れてもらうしかないか……ん?

 物置の裏に見覚えのある二人がいた。確か……沢村と御幸さんだったかな。あの二人も遅刻か?とか思っていると沢村がなにやら姿勢を低くして走り出した。

 

「あ~~~~~こいつ遅刻したのに列に紛れ込もうとしてるぞ~~~~~!」

 

 御幸さんの声に立ち尽くす沢なんとか。

 

「あ…いや……その……」

 

「初日から遅刻とはいい度胸だな、小僧。しかもバレないように忍びこむその腐った根性……練習が終わるまで走ってろ!!」

 

 あ~忍びこもうとしてたのか。そして御幸さんに裏切られたと(笑)

 

「ひぃ~~すべてが裏目に~~~」

 

 可哀想に。俺が少しでも早く来てたら同じ展開だったな。危ない危ない。

 

「それから、この男の同室の上級生、どさくさに紛れそこに並んでる大バカ者……お前らもだ」

 

 コワッ!俺今からあの人に遅刻したって言いに行かなきゃ行けないんだけど……

 ええい!迷っていても仕方ない!覚悟を決めよう!

 

「遅れてすみません!」

「初日から遅刻してくる馬鹿が二人もいるとは……練習が終わるまで貴様も走っとれい!!」

「はい!」

 

 まぁ予想通りの結果だな。せめて理由くらい聞けよとは思うが、理由を言ったところで信じて貰えないだろうしあきらめよう。

 タイヤ装着して先輩たちを追う。

 

「お?白銀じゃねえか!なんだお前も遅刻したのか?」

「ども、お久しぶりです」

 

 俺に気付いた御幸さんが話しかけてきたので当たり障りのない返事をしておく。

 

「コイツあん時のトルネードサイドじゃねえか!」

「(東さんを三振にした)」※紙に書いてます

「はじめまして白銀 龍樹です。これからよろしくお願いします」

「倉持洋一だ。ヒャハハ」

「(増子透 よろしく)」

「アンタら俺ん時と態度違い過ぎんだだろーが!」

 

 そんな感じで朝練の間ずっとランニングをやらされていた。ちなみに途中で沢村と張り合いになりお互い練習が終わる頃には動けなくなっていた。

 

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

 

 ここにきてまさかのルールが発覚した。

「必ず3杯以上食べる事!」

 そんなふざけたルールを決めた奴を俺は許さない。朝練の間ずっと走りっぱなしだったんだぞ……その後にドブンリ3杯とか無理だろ。

 

「わ~~~~~~大丈夫かお前!!」

「ここで吐くなよ!!吐くなら外にいけ!!」

「やめろーーー!!!」

 

 沢村がグロッキーになっていた。俺も油断したら吐きそうだけど。

 なんとか飯を食い終えたので監督のところに謝りに行くことにした。

 中学の時に一度寝坊で朝練サボった後に練習行っためちゃくちゃ怒られた経験から、寝坊や遅刻の時はきちんと謝りに行く事にしている。

 

「失礼します!1年生の白銀龍樹です!監督に用があって来ました」

「なんの用だ?」

「今朝は遅刻してすみませんでした」

「初日から遅刻など気持ちがたるんどる!今後内容に気を付けろ!」

「はい!」

「午後からは練習に混ざれ」

「ありがとうございます!失礼しました!」

 

 てなやり取りがあり無事に練習に参加させてもらえることになった。

 

「一年生集合ーーー!!これより希望ポジションに分かれて能力テストを行う!スパイクに履き替えてBグラウンドに集まれ!!」

 

 能力テストか~。なんか周りの奴は今朝の練習でグループを作ってるな。

 

「沢村~、一緒に行こうぜ」

「いいぜ!」

 

 とりあえずぼっちは回避だ。

 

「いよいよ始まるんだな……自分の力を試す時が」

「ここでいい結果出せたら一軍も夢じゃないかもな」

「一軍……よっしゃぁあ!気合入れていくぜ!」

 

 テンションの高い沢村と二人で歩いていると

 

「どこへ行く?」

「「え?」」

 

 監督に呼び止められた。

 

「どこって自分の力を試しに……」

「お前は参加しなくていい暇なら走ってろ!…白銀は行ってよし」

 

 あ、俺はセーフか。また走らされるかと焦ったぜ。沢村はいったい何をやらかしたんだ?

 

「えぇ!?なんで俺だけ……先輩達と白銀はもう練習に戻ってるのに!」

「あいつらと白銀はさっき頭下げに来たからな…」

「うそ!?」

 

 沢村が裏切り者的な目でこちらをみている。いや、俺のせいではないよな。悪い事したら謝る。これ常識。

 

「遅刻してきて謝罪もできない男など、ウチの一員とは認めん!!」

 

 監督の言葉に沢村は崩れ落ちた。

 

「気に入らないなら来なくていいぞ、永久にな…」

 

 先輩たちの反応をみる限りかなりやばい状況か…

 

「わあああああああ!!」

 

 沢村の恐怖か焦りかはわからないが必死の叫びがグラウンドに響く。

 

「ね…寝坊したのは自分の気持ちが甘かったから……言い訳するつもりはありません。けど俺は…俺は……エースになるためにここに来てるんだ!その気持ちだけは誰にも負けるつもりねーっスから!!」

 

 でた大物発言!これだからコイツは面白い。ただエースになるって気持ちは俺も負ける気はないけどな。

 

「フン…………くだらんな」

 

 振り返った監督がどこから取り出したか分からないボールをブン投げた。

 助走もなしに投げられたボールは

 

 ガシャン

 

 レフトのフェンスに直撃した。

 マジかよ……肩も録に作らず100m近く投げやがった。

 

「何だぁ今のはぁ~~~!!まさかここから投げて……」

「ひゃ、100mは飛んでんじゃねぇか!?」

 

 周りの一年生も俺同様に驚いてる。

 

「小僧……エースになると言ったな。だったら言葉はいらん。才能で語ってみろ!」

 

 お、なんか熱い展開になってきたな。

 

「このホームベースからあそこのフェンスまで約90m……遠投であのフェンスに届いたら練習に参加させてやろう……ただし、フェンスまで届かなければ投手を即刻あきらめてもらうぞ!」

 

 一瞬の静寂。

 90mをワンチャンスって……肩も作ってないのにそんなチャレンジ無謀にもほどがある。よっぽど肩に自身があれば別だが……

 

「要するにあのフェンス軽~く飛び越えりゃいいんすよね?」

 

 いや、自信あり過ぎだろ。

 

「「「はぁ!?」」」

「お前の自己記録何mだよ!?」

「知らない。測ったことねーから…」

 

 コイツは……

 前のピッチングをみる限りはキレのあるいい球は投げてた。可能性はあるかもしれない。ただし……真っ直ぐ飛べばの話だ。

 

「赤城中学出身沢村栄純!記念すべき高校生活第一球投げさせていただきます!!」

 

 豪快な叫び声と共に放たれたボールは途中までは届きそうな勢いだったが、沢村の持ち味であるムービングボールの特性から軌道が変化し惜しくも届かなかった。周りは沢村がカーブを投げたと思って笑っているが問題はそこじゃない。変化する球で90m投げた事に気付くべきだろう。

 

「約束通り…投手は諦めてもらうぞ!」

 

 しかし無情にもそう監督に告げられた沢村を残し俺たちは能力テストに向かった。

 

 

 

 

 

 

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