僕が美術部に入って生きる目標を見つけるまで   作:生煮えまぐろ煮

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前話にて廃部の人数が2人以下とありましたが誤りです。
正しくは3人であります。全話を読んでくださった方、申し訳ございません。
現在は訂正済みです。


友人

「お待たせ、出来たよ油淋鶏(ユーリンチー)青椒肉絲(チンジャオロウスー)小龍包(ショーロンポウ)。美味しそうでしょ、青椒肉絲は私が作ったんだよ」

 

 そう言って藤院さんは料理を持ってきた。2人でこんなに食べられるのか?めちゃくちゃ大盛りなんだけど。

 

「大丈夫。私結構食べるんだ、それに美味しいから食べられるよ」

 

 料理を机に置いて彼女は僕の向かい側に座った。気を利かせた火神さんが飲み物も持ってくれた。

 

「それじゃあ乾杯しようよ。樂漸君が美術部に入ってくれてことを記念してで良いよね?」

「そんな乾杯するほどのことでもないと思うけど。そうだね、それで良いと思うよ」

「じゃあ樂漸君の美術部加入を記念して、乾杯!」

 

 そう言って藤院さんは僕の方へグラスを寄せ、僕もそれに返した。爽やかなライチの香りが鼻を抜ける。どうやらライチ水だったようだ。

 

「ほら食べてよ樂漸君、早く食べないと冷めちゃう!」

 

 そう言って彼女は皿に料理を取り分けると僕に渡した、良い香りがする。結局昼ご飯を食べなかったから多い気がしたけど案外食べられるかもしれない。

 まずは青椒肉絲をひと口食べてみる。美味しい。青椒肉絲を食べる僕の顔をニコニコしながら藤院さんが見ている。

 

「美味しいかな?最近やっと火神さんにお客さんに出せるレベルだって褒められたから結構自信あるんだよね」

「うん。美味しいよ。藤院さんって料理上手なんだね」

「でしょ!すごい練習したからね!」

 

 自慢げに笑う藤院さん、こういうふうに笑う人だったんだな。教室ではほとんど寝てたから知らなかった。

 明日からは少しぐらい起きていようか、彼女の普段の様子が見れるかもしれない。

 

「嬉しいな。友達を誘っても皆バレー部とかテニス部に入ってたから誰も美術部に入れなかったんだ。けど樂漸君が入ってくれたからあと1人ぐらいなら誰か入ってくれそうだし」

「あと1人……だよね? それなら僕がいつも一緒に昼食を食べてる毒島(ぶすじま)とかどうかな、見た目は不良みたいだけど多分良い奴だし、帰宅部だから」

 

 毒島鈴也(ぶすじまれいや)は僕や藤院さんのクラスメイトで、多分僕とは友達だと思う。彼女がいる上に、雅楽川(うたかわ)さんっていう美人な幼馴染がいて彼女も一緒に昼食を食べている。授業は寝てるし髪は金髪だしオマケに顔が怖いが頼めば多分入ってくれるだろう。藤院さんが怖がらなければの話だが。

 

「毒島君かぁ……。見た目が怖いけど樂漸君が言うなら誘ってみようかな」

「じゃあ明日の放課後にでも一緒に誘ってみようよ、もしかしたら雅楽川さんも入ってくれるかも」

 

 そんな会話をしていたらいつの間にか食べ終わっていた。2人だと多いかと思ったけどそんなことは無かった。火神さんが、デザートにパフェを持ってきてくれた。出来たての中華料理を食べて熱くなった体にはちょうど良い冷たさだ。というかあの強面でこのパフェ作ったのか……

 

「羽奏、19時からの今日のバイト無しにしてやるからそこの─」

「あ、樂漸って言います」

「樂漸君と遊びにでも行ってくると良い、羽奏がこの店に友達を連れてきたのなんて初めてだからな」

「え、でも私がいないとお客さんが……」

「どうせ上で暇してる綺華(あやか)に働かせる。元々ここはアイツの親父の店だ、アイツも料理ぐらい出来る」

「うーん……後で綺華さんに謝っとかなきゃ」

 

 いや待て。そこに僕の意思はないのかよ僕に予定があったらどうするんだ。別に何も無いけど。というか藤院さんってそんなに友達居なかったのか。

 

「それじゃあ樂漸君はどこに行きたい?」

「あー、それじゃあゲームセンターとかどうかな。南口にあるよね?」

「良いね、私ゲームセンターなんて久しぶり」

「僕も3ヶ月は行ってないかも」

 

 そんなことを言いながら僕達は志在千里を出た。藤院さんが奢ると言ったけど流石に半分は出した。知り合って一日の女の子に食事を奢らせるとかヤバすぎる。ヒモだ。

 

 南口だから今度は橋を渡らずに51号線を進む。退勤するサラリーマンや高校生、大学生で混み始めた駅南通りを進み、途中で曲がって駅南中央通りを歩く。営業を始めた飲み屋だろうか、良い匂いがする。駅に着くとエクセルみなみを横切りゲームセンターの方へ向かうがやはり人が多い。

 

「混んでるね」

「まあ時間帯が時間帯だからね。どうする? やめて別のところ行く?」

「いや別に大丈夫だよ。別のところは毒島君が入部してくれたら行こうよ。入部してくれるか分からないけど」

 

 そう言って彼女は笑った。毒島鈴也は良い奴だ。入学3日目で財布を忘れて昼食抜きになった僕にパンを奢ってくれるぐらいには。

 知り合ってから3日目。しかもあんまり話してない人にパンを奢れるだろうか? 僕は奢れないかもしれない。けど鈴也は奢ってくれた。金髪でツーブロックで服は着崩していつも寝てるけど良い奴だと思う。彼なら美術部に入ってと頼めば入ってくれると僕は信じてる。

 

「じゃあまずはUFOキャッチャーでもやろうよ」

 

 そう言って彼女はゲームセンターの中に入っていった。慌てて僕も追いかける。

 藤院さんは意外と上手かった。僕が1000円溶かしたアンコウのぬいぐるみ(藤院さんが欲しそうに見ていた)を彼女は300円で取ってしまったし、かの有名な太鼓を叩くゲームでは「むずかしい」でフルコンボをたたき出した。ちなみに僕には「ふつう」が限界だ。

 

 そして1時間ほど遊び、記念にプリクラでも取ろうかと話していたところで

 

「あれ? 湊和じゃん。なにしてんのこんな所で?」

「鈴也? え、今日は彼女乗せて袋田の滝を見に行くんじゃ─」

「ああ、俺別れたからアイツと。桃花とつるんでるのが気に入らないって言われてムカついたからさ。それよりなんで藤院さんと居んの? あ。わり、もしかしてデート中? 俺邪魔した?」

「なっ──」

 

 絶句。まさかここで会うとは思わなかった。ダメージジーンズにスカジャン。金髪ツーブロで身長は184cmもあるうえに顔が怖い男だ。

 そう、こいつが毒島鈴也である。というかデートとか言うなデリカシーってもんがないのかこいつは。僕なんかとデート扱いとか藤院さんが気を悪くするかもしれないだろうが。

 




ここまでお読みいただきありがとうございます。
初めて書いた小説なので文法等おかしな点がありましたらどうか御報告お願い致します。
本作は実在する茨城県某市をモデルとしております。ときおり某市にある建物等が登場しますがゲームセンターであること、そういう名所の駅ビルであることなどが分かれば読む際には大丈夫だと思います。
もし宜しければ調べて茨城について知っていただけると嬉しいです。
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