僕が美術部に入って生きる目標を見つけるまで 作:生煮えまぐろ煮
僕が美術部に入らなかったらどうなっていたのか、たまに思うことがある。
きっとつまらない3年間を過ごしていたのだろうな。
人生、芥川龍之介風に言うと地獄より地獄、アインシュタインが言うには自転車のようなものらしいが、僕は文豪でも哲学者でもないし、天才でもないからよく分からない。けどあの日の出会いが僕の人生を変えた出会いだとは思う。
僕は人と話すのが好きじゃなかった。小学生の頃父が死んだ事がきっかけだ。別に親戚から厄介者扱いされたとか言う訳では無い、むしろ皆優しかった。父の姉はよく僕の家に来て遊んでくれたし、祖父母も可愛がってくれた。もちろん母方の親戚もだ。
学校の先生も僕を気遣ったし、友達も僕の前では親の話題を出さないという気遣いまでしてくれた。母も姉も明るく振舞っていた、本当は自分だって辛いのに母は僕達のために地方へ単身赴任までしていた。姉も必死に勉強して今や大手一流企業に就職している。
けどあのころの僕はそれが嫌だった。父親が死んだのを受け入れられなかった。優しくされるのが不快に感じた、その優しさを受け入れたら父が死んだことを受け入れることになるから。父が死んだなんて絶対に受け入れたくなかったから。
もちろん今はそんなことは無い。高学年になる頃には現実を受け入れる気になったし、中学生になってからはそこまで気にしなくなった。
それでも1度嫌いになった人間をまた好きになるのは難しくて、友達なんてものは父が死んでから
藤院さんは不思議な人だ。小柄で明るく元気、警戒する隙も与えずに人の懐にいつの間にか入ってきていた。自分では友達があんまりいないと言うが、誰にも分け隔てなく話すので彼女がいるだけでクラスの雰囲気が明るくなる人気者だった。
友達がいないというのは多分彼女の思い込みだと思う。
美術部に入ってから少しずつクラスの輪に混じれるようになってきたと思う。人気者の藤院さんと仲良くしているせいで裏で何か言われてるかもしれないがそこまで考えたらどうしようも無いから考えないようにしている。多分僕の被害妄想だけど。
そして5月の中頃、ゴールデンウィークが終わりそろそろ定期テストという嫌いな人間は絶対に居ないような悪夢の存在を感じ始めた頃、鈴也が持ってきた1つの話、それは色々な意味でヤバい話だった。
〈了〉
ここまでお読みいただきありがとうございます。
初めて書いた小説なので文法等おかしな点がありましたらどうか御報告お願い致します。
1章完結です。実はこの作品にでてきた人は作者の友人をモデルにしています、鈴也あたりは3人ぐらい合成していますけど。
2章も出来るだけ早く書きあげる予定です、もし見てくださっている方が居たら2章も読みに来てくれると嬉しいです。