新世紀エヴァンゲリオン〜もしセカンドチルドレンがマリだったら〜 作:神光の宣告者
ミサトとシンジ、トウジ、ケンスケの四人を乗せたヘリコプターは国連軍所属空母、オーバー・ザ・レインボーの上空で静止すると徐々に高度を下げて行き、甲板の上へと着陸した。
「すごいすごいすごいすっごすぎる。」
ケンスケはヘリコプターが着艦すると同時に飛び出して、甲板の上に待機している戦闘機を次々とカメラにおさめている。
「予定よりもちょっち遅れちゃったわね。」
「ちょっと風が強すぎひんか?」
「海の上だし仕方ないよ。」
それから少し間を置いてミサトとトウジ、シンジも甲板へと降り立った。
「ちょわ!?ワシの帽子が!」
降り立つと同時に吹いた強烈な潮風のせいで、トウジの被っていた帽子が飛ばされて行く。
「待ってくれへんか〜」
帽子は風に流されてコロコロと甲板の上を転がって行く。それを追いかけてトウジもどんどんシンジとミサトから離れていってしまう。途中何度も船上の軍人たちにぶつかりそうになり、睨まれていた。
「あっ!前見て歩かないと危ないよ。」
ユーロ海軍の兵士達の冷たい視線に晒されながらシンジもトウジの後を追うように走って行く。
「はぁ。あの子たちは……」
ミサトはシンジたちを見てため息をもらす。
(まぁでもシンジくんにも友達ができたっていうのはいいことかな。)
ミサトは苦笑しながらこの船のどこかにいるはずの子供を探しに行った。
✳︎
トウジから逃げるように転がっていた帽子が女性にぶつかりようやく止まった。
「すんません。その帽子ワシのなんで……す。」
トウジは帽子を渡してもらおうとその女性に話しかけたが固まってしまった。
その理由は女性の格好にあった。彼女は殺伐と走り回る軍人達の中で純白のビキニに身を包み、若々しい張りのある肌を惜しげもなく披露していたからだ。
(誰やこのべっぴんさんは!?しかも胸がチョーデカイで!?)
「この帽子のことかにゃ?」
「そ、そ、そうです。ありがとうございます。」
トウジは帽子を受け取る。しかしその視線はメロンと形容できる豊満な胸へと吸い寄せられていた。
その女性はトウジの視線に気付くとニヤリと笑う。
「な、なんや?ワシの顔になんか付いとるか?」
(胸見てたことバレとったんか!?)
トウジは動揺しながらも強気に対応する。
「ムフー、見るのはいいんだけどもう少しコッソリと見た方がいいと思うよ。」
「な、な、な、なんのことかいな!?」
トウジが顔を真っ赤にしていると後ろからミサトとシンジがやってくる。
「あ!いたいた、この子ね。」
「お!ようやく来たんですね部長さん!!」
シンジもその女性を見ると一瞬目が大きく見開いたかと思うと、すぐに顔を赤くして目を伏せてしまった。
その女性はシンジのそんな様子を見ながらニヤニヤとしながら頷いている。
ミサトはシンジのそんな様子を見ながら、この子も年相応なところがあるのだと少し安心していた。
ミサトは少し微笑むとすぐに真面目な顔になりその女性をシンジに紹介する。
「この子はユーロ軍所属のエヴァンゲリオン弐号機専属パイロット、真希波・マリ・イラストリアス大尉よ。」
「エヴァンゲリオン弐号機のパイロット……」
年相応に照れていたシンジの顔から笑顔が消える。
シンジはじっとマリを見つめた。
シンジが何を考えているのか、マリは愚か比較的一緒にいる時間が長いミサトでさえ推し量ることはできない。
(シンジ君は初対面の人とコミュニケーションとるの苦手そうだし大丈夫かしら?)
ミサトは全く話しかける様子がないシンジを見ながら不安に思う。
「どうぞよろしくよろしく。」
マリはシンジのそんな様子を全く気にせず、ミサトとトウジ、シンジと一人一人と握手をして行く。
シンジは少し戸惑って固まったがぎこちなく手を出してそれに応じた。
マリはシンジと握手すると満足そうに笑ってシンジから離れていった。
「ところでさ、なんで私たちが来ること知ってんの?言ってなかったわよね?」
一通り挨拶が終わるとミサトは真面目な顔でマリに問う。
マリはミサト達がここに来ることを知っているようだった。しかし本日の訪問は重要機密事項のはずだ。誰がマリにこの情報を漏らしたのか、作戦部長のミサトとしては見過ごせない事態だ。
「昨日教えてもらったにゃ。」
「教えてもらったって……私たちが来ることを?」
ミサトの顔が曇る。
「それだけじゃないにゃ。部長さんのこともたっぷり教えてもらったよーん。酒癖が悪くて、おまけに寝相も悪い、生活力は皆無で乙女とは正反対の女。」
ミサトの顔がさらに曇る。
「そんなこと言う奴……はっ!?まさかあいつに教えてもらったの!?」
「そうだよ。」
マリの後ろからとぼとぼとスーツをだらしなく着崩した男がやって来た。
年齢はミサトと同じくらいに見える無精髭をたくわえたいかにも伊達男といった雰囲気を漂わせている。
その男はミサトと目を合わせると怪しく微笑み、馴れ馴れしくミサトに挨拶をした。
「久し振りだな、葛城。」
「な、な、なんであんたがここにいるのよ!?」
「そりゃパイロットの護衛だよ、護衛。」
「迂闊だったわ。加持が来るのは充分想像できたはずなのに……。」
無精髭を触りながら格好つけて言う男性の姿を見てミサトは頭を抱えてその場に崩れ落ちてしまった。
うずくまるミサトの横を通り越して、その男性はシンジの前へと行く。シンジは少し警戒して後ずさる。加持はシンジのそんな様子を意に介さずまたしても馴れ馴れしく話しかける。
「やぁ、始めまして碇シンジくん。僕は加持リョウジ、君と同じ葛城の寝相の悪さを知る男だよ。」
加持はそう言うとシンジにウィンクをする。
「「ね、寝相……!?」」
シンジとトウジが赤面してその言葉を繰り返す。
そんな二人の様子を尻目に加持は突然振り返りマリに話しかけた。
「おいおいマリ。葛城には秘密にしとけって言っただろ。」
加持に詰問されてマリは『しまった』という様子で視線をさまよわせると、突然口笛を吹きながらあさっての方向を向いてわざとらしい英語を話した。
「I can't understand Japanese.」
「おいおいさっきまで普通に話してただろ。こりゃ後で説教だな。」
加持が肩をすくめる。
加持とマリが話していると加持の背後からとてつもない威圧感を感じる。
加持は背筋に悪寒が走ったが時すでに遅し、いつの間にか起き上がったミサトが加持の耳を掴んで力任せに引っ張る。
「加〜持〜、あんたは人に説教する前に私にどういうことか説明もらいましょうか。」
「ちょっ!?痛い、葛城、痛いから。もうちょっと優しく、久しぶりに会ったんだしな?ちょっともっと痛くなって……」
ミサトに引きづられて加持は空母内へと消えていった。
予定通りに行けばエヴァンゲリオンの映画も近いので、公開日までに完結出来ればいいなぁと思っています。
質問、アドバイス、感想などなんでもお待ちしております。