新世紀エヴァンゲリオン〜もしセカンドチルドレンがマリだったら〜   作:神光の宣告者

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マリ、来日【後編】

正体不明の敵襲により次々と大破していく太平洋艦隊。

シンジとマリは戦艦の上から海中を蠢く大きな影を見つめる。

 

 

「無線が繋がった!ミサトさんどうすればいいですか?」

 

 

無線がオーバー・ザ・レインボーのブリッジとつながると何やら賑やかな声が聞こえてきた。

 

『なんだと!?』

『ナイスマリ!!』

『いかん、起動中止だ。元に戻せ!』

『構わないわマリ。』

『なんだと!?エヴァンゲリオン弐号機およびそのパイロットは私の管轄……』

 

 

無線から聞こえてくるやり取りにシンジとマリは顔を見合わせて吹き出す。

 

 

「あははは。部長さんたちヒートアップしてるね。」

 

「やっぱり勝手に乗ったらまずかったんじゃ……。」

 

 

『気にしなくていいわ。話はもうつけたから!!』

『ムゴムゴ……』

 

 

「「……」」

 

 

シンジとマリは再び顔を見合わせたが、お互いに頷きあってこのことには触れないことにした。

 

 

『いい?二人とも。エヴァンゲリオン弐号機は今B型装備なの。』

 

「海に落ちたらまずいってことですね。」

 

「取り敢えず予備電源をちょうだい、部長さん。」

 

『わかったわ。こっちで用意するから、海に落ちないようにここまで来て。』

 

「了解にゃ。」

 

 

その言葉を言い終わる前に、太平洋艦隊を次々と足場にしていき、オーバー・ザ・レインボーへと飛び移る。その動きは、シンジやレイとは比べ物にならないほど軽快である。

 

 

「外部電源接続。」

 

 

その動きを見ながらミサトは密かに感心する。

(噂には聞いていたけど、ここまで自由にエヴァを動かせるとはね。)

 

 

「どうするの?装備もプログナイフしかないし、接近戦しかできないよ。」

 

「そうだにゃ〜。」

 

 

シンジとマリ、ミサトが頭を悩ませていると、甲板から一機の戦闘機が現れる。

 

 

『おーい葛城。』

 

『加持!!』

 

『届け物があるから俺先に行くわ。あとはよろしく葛城一尉。』

 

「「「……」」」

 

 

上空へと飛び立って行く一機の戦闘機を3人は呆然と見送ることしかできなかった。

 

 

「あ、近づいてきた!!」

 

 

シンジの言葉でマリが前を向くと、水中を動く大きな影は二号機めがけて直進してきていた。

 

 

『じゃあまずはここから海に落ちないように牽制して……ちょっとマリ!?』

 

ミサトの指示が出る前にエヴァンゲリオン二号機は踏み込み迫ってくる影めがけて突っ込んだ。

大きな影の正体はクリーム色の巨大な魚の形をした使徒であった。

使徒は口を大きく開けて、一口で弐号機を飲み込もうとしている。

その口の奥に赤く輝く球体をマリは発見した。

 

「コア発見。」

 

「食べられちゃうよ!?」

 

 

シンジが目をつむる。

マリは何の躊躇もなくさらに使徒との距離を詰めていく。

 

 

「うららぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。」

 

 

マリが鬼の形相で声をあげる。

プログナイフを持ち使徒の口へ向かって突き立てる。

使徒はすかさず口を閉じて二号機の右腕に噛み付いた。

グシャリと嫌な音を立てながら二号機の右腕が潰れる音がする。

 

 

「真希波さん大丈夫!?」

 

 

マリは文字通り腕が引きちぎられそうなほどの痛みを感じて顔が苦痛に歪む。

その鬼気迫る表情のマリを見てシンジは恐怖を感じる。

 

 

「イッターい。でも

 

……いい!!」

 

 

マリの目が大きく見開かれたかと思うと、力一杯ハンドルを動かす。

二号機は、力づくで使徒の口を開こうとする。

二号機の抵抗を受けて、使徒も咥えた右腕を食い千切ろうと力を込める。

 

「あぁぁああああぁあああああ」

 

警告音とマリの悲鳴が響き渡る。

シンジはそんなマリの様子に気圧されて固まってしまう。

目尻に涙を浮かべながら必死に痛みに耐えるマリの姿が、綾波と重なる。

 

(綾波だって、マリさんだって、僕と同い年くらいの女の子がこんなに頑張ってるのに、男の僕が何も出来なくていいのか……。)

 

 

小さく頭を振ったシンジは、決意を決めてマリに手を重ねた。

 

 

「二人でやればなんとかなるかもしれない。やるよ!」

 

シンジの言葉にマリは驚く。

しかしその変化は一瞬で、マリはすぐさま手に力を込め直す。

 

「……よし。いくよ!」

 

「「開け開け開け開け開け開け開け開け開け開け開け開け開け開け開け開け開けぇぇぇぇぇ!!」」

 

 

弐号機の目が海中で赤く光り口を力づくでこじ開ける。

使徒の心臓、コアが露出する。

 

 

「死ねぇぇぇ。」

 

 

マリは力一杯プログナイフを使徒のコアに突き立てた。

 

 

✳︎

 

 

正規空母オーバー・ザ・レインボーを中心とする国連軍、太平洋艦隊は第六使徒との戦闘で半数以上を失う大打撃を受けたが、辛うじて新横須賀(旧小田原)に到着し、任務を遂行した。

エヴァンゲリオン二号機の受け渡しを終えたミサトは二号機の確認へと訪れたリツコの車に乗って帰路についていた。

 

 

「こりゃまた派手にやったわね。」

 

 

運転しながらリツコは右手が潰れたエヴァンゲリオン弐号機の姿を思い起こす。

 

 

「私のせいじゃないわ〜。パイロットが勝手にやったのよ〜。」

 

 

ミサトは窓に肘をついて適当に相槌を打つ。リツコはそんなミサトの様子を横目で見ながら言葉を続ける。

 

 

「あら、言い訳?作戦を考えるのは作戦部長なんだし瞬時に有効な作戦を提示できなかったあなたにも責任があるんじゃない?」

 

「そうね〜。普通なら懲罰房行きだけど、作戦が思いついていなかったのも事実だし今回だけは見逃すかしらね。」

 

 

使徒は殲滅した。しかしミサトの心は晴れないその理由は明確だった。本人に言えば怒って否定するだろうが間違いないだろう。

 

 

「やっぱりリョウちゃんのことかしらね。」

 

「あの馬鹿は関係ないでしょ!!」

 

 

不機嫌になるミサトを見てリツコは小さくため息をついた。

 

 

✳︎

 

 

「いやはや。波乱に満ちた船旅でしたよ。やはりこれのせいですか?」

 

 

加持がアタッシュケースを開けるとそこには古代の生物アンモナイトのような見た目をした生物のような化石のような何かが入っていた。

 

 

「そうだ。」

 

 

それを見るとゲンドウは短くそう答える。

 

 

「既にここまで復元されています。硬化ベークライドで固めてますけど生きています。これが人類補完計画の要となるものですか?」

 

「ああ。最初の人間、アダムだよ……。」

 

 

ゲンドウは眼鏡を直しながら邪悪な笑みを浮かべた。

 

 

「それと

 

 

……セカンドチルドレンが息子さんと接触しましたよ。」

 

 

加持は何事もないように言う。しかしその視線は少しの表情の変化も見逃さまいと注意深くゲンドウに注がれている。

 

 

「……そうか。」

 

 

ゲンドウは表情を一切変えずに短くそう答えた。

 

 

✳︎

 

 

第3新東京市立第壱中学校2年A組の教室ではいつものようにシンジとトウジとケンスケがたわいもない会話をしていた。

 

 

「にしても凄い体しとったで!あれこそボン・キュ・ボンって言うんやろなぁ。」

 

「くっそー、そんな美人がいたなんて。せめて一枚だけでも撮っておきたかった〜。」

 

 

トウジは船上で見たマリの水着姿を思い出して鼻の下を伸ばしている。

ケンスケはトウジからマリの話を聞いてショックを受けて頭をかきむしっている。

朝から騒がしい二人の様子をクラスの女子たちは冷ややかな目で見ていた。

 

 

「にしてもええなぁ。センセはあんな美女と毎日会えるなんて。」

 

「ほんと、綾波さんにミサトさん、それだけでも羨ましいのにそこにさらに一人増えるなんて、シンジばっかりズルいぞ!」

 

「あ、ちょっとやめてよ。」

 

 

ケンスケとトウジはシンジの頭をガシャガシャとかきむしる。

朝礼のチャイムが鳴り、先生が教室へと入ってくる。 

騒がしかった教室がいきなり静かになった。

 

 

「転校生を紹介します。」

 

静寂を切り裂くようにひとりの少女が教室に入ってくる。

誰もがその美貌に言葉を失う中、シンジは驚きの声をトウジは歓喜の声をあげた。

 

 

「転校生の真希波・マリ・イラストリアスです。みんなよろしくにゃ!」

 

「「えぇー!?」」

 

 

つづく

 




性格も考え方も正反対のマリとシンジは、使徒にこてんぱんにのされてしまう。
ミサトは二人のユニゾンを目指し、一計を講じた

次回、『瞬間、心、重ねて。』

この次も、サービス、サービスゥ!
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