新世紀エヴァンゲリオン〜もしセカンドチルドレンがマリだったら〜   作:神光の宣告者

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マグマ・ダイバー【中編】

*

 

 

---NERV本部

 

 

シンジ達の修学旅行待機が決まってからの数週間、使徒からの進行は起こらず平和は毎日が過ぎ去って行った。

ネルフ職員も、おのおのが作戦室でつかの間の安息を謳歌している。

そんな間の抜けた空気が流れる作戦室の中で、いつもと変わらず研究資料に目を通し、仕事に邁進している人物がいた。

ネルフの誇る天才科学者の赤城リツコだ。

リツコは親友であり戦友でもあるミサトとの雑談をBGMにして仕事を進める。

作業効率は下がるがリツコにとってはこの時間が唯一心休まる時間だった。

 

 

「修学旅行?こんなご時世に呑気ね。」

 

「マリの提案なのよ。兎に角シンジくんにご執心みたいなのよね、あの娘。」

 

「あら意外ね。シンジ君じゃなくて、マリの方がお熱なのね。」

 

「そうなのよねぇ。私も2人がくっつくとしたらシンジくんの方からだと思ってたわ。」

 

「まぁ、若い間はいろんな恋愛をしておいて損はないわよね。ミサト?」

 

 

リツコのからかうような声にミサトの顔が曇る。

 

 

「何よ。あの馬鹿と付き合ったのは私の人生最大の汚点なんだから、掘り返さないでくれる。」

 

「本当にそう思ってるのかしら?あなた加持くんが戻ってきてからとても元気よ。」

 

「はぁ~!?そんな訳ないでしょ。最近調子がいいのは家庭を持ったからよ。カ・テ・イ。」

 

 

早口でまくし立てるミサトを見て、リツコは苦笑しながらコーヒーを飲んだ。

 

 

「どっちでもいいけど、その家庭が痴情のもつれで崩壊しないようには気を付けてちょうだいね。」

 

「分かってるわよ。パイロットの精神衛生管理も作戦本部長の仕事の一つだものね。」

 

 

 

---NERV地下施設 室内プール

 

 

結局、戦闘待機で修学旅行に参加できなくなったエヴァのパイロットの3人はマリの提案で、ネルフ施設内のプールで疑似修学旅行をすることになったのだった。

疑似修学旅行へやってきたエヴァパイロットたちの過ごし方は三者三様だ。

レイはスクール水着姿で一心不乱に泳ぎ続けている。果たして彼女が楽しんでいるのかどうかは誰にも分らないことだった。

一方のシンジはレイとは対照的にプールサイドで、ミサトから課された宿題に頭を悩ませていた。

そしてマリはというと...

 

 

「だーれだ。」

 

 

画面上の数式とにらめっこしていた視界が急に暗闇になる。

女の子特有の柔らかい手の感触と、甘い香り。

そして聞き覚えのある元気な声がする。

こんなことをする人をシンジは1人しか知らなかった。

シンジはため息をつくと、声の主の名を呼んだ。

 

 

「真希波でしょ。」

 

「うーん、もうちょっと洒落た答えはできないかな~」

 

 

どうやら求めていた答えとは違ったようで、マリは不服そうに手を離した。

そしてマリはシンジの正面との回り込む。

学校支給のスクール水着に身を包んだマリの姿がシンジの目に飛び込んでくる。

 

 

「いや~おまたせ。これを入れるのに時間がかかっちゃった。」

 

 

マリは自身の双丘を痛そうにさする。

授業中に遠巻きから見たことはあったが、ここまで間近でマリのスクール水着姿を見るのは始めてだった。

明らかにサイズの合っていない胸が窮屈そうに揺れているのを見てシンジは思わず生唾を飲み込む。

 

 

「それでわんこくんはなにやってるの?」

 

「何って、宿題だよ。ミサトさんから渡されたでしょ。」

 

「どれどれ......あーこんな数式習ったにゃー。懐かしいなぁ...ここをこうして......はいっ!できたよ。」

 

 

マリは前傾姿勢になってシンジのパソコンをのぞき込む。

マリは滑らかな手つきで数式を解き明かして、シンジに解説を施してくれた。

しかし当のシンジはブラックホールのように視線を吸い込むマリの胸から逃げるのに必死で、マリの解説など一切頭に入ってきてはいなかったのだが。

マリはシンジのそんな様子も気にせずにどんどん課題を解き進めていった。

 

 

「おつぎは...フムフム...熱膨張ね。とどのつまり、物は温めれば大きくなるってことよん。」

 

「そ、そりゃそうだけど...」

 

 

マリは熱膨張の説明を一通り終えると、シンジの視線を独り占めしている胸に手を当てる。

 

 

「私の胸も温めたらもっと大きくなるのかな?でもこれ以上大きくなっても重いだけかにゃ?わんこくんは今の大きさで十分満足らしいし。」

 

 

マリからの指摘を受けて、シンジは逃げるように視線を逸らす。

 

 

「ご、ごめん...」

 

「いいよ、いいよ。やっぱり青春はこうじゃなきゃねぇ。さぁ飛び出そうわんこくん、いざ大海原へ~!」

 

「え?ちょっ、うわぁ!?」

 

 

マリはシンジの腕を掴むと力任せに引っ張り、シンジとともにプールへと飛び込んだ。

激しい水しぶきが上がる。

その大きさは、一人で泳いでいたレイが足を止めるほどであった。

足を止めたレイの視線の先には、顔を真っ赤にして怒っているシンジと、わざとらしく胸を隠しているマリの姿があった。

何やら言い合いをしているらしいが、2人の顔は楽しそうに笑っていた。

その光景を見ていたレイの心に、新たな感情がわく。

ゲンドウといる時とも違う、シンジといる時とも違う新たな感情。

 

 

「心が、ポカポカするけど少し寒い...これは...なに?」

 

 

レイの視線に気づいたマリとシンジがレイの元へとやってきた。

2人を見て固まっているレイをシンジは心配そうに見つめる。

 

「大丈夫?」

 

「寒いの。」

 

「体が冷えちゃったのかな?えーと医務室は確か...」

 

「体は寒くない」

 

「え?」

 

 

シンジはレイの話していることが理解できず固まってしまう。

マリといいレイといいエヴァの女性パイロットはみんな時々変なことを言うなぁとシンジは頭を抱えた。

 

 

「心が、寒いの。」

 

「こころ?」

 

 

レイは自身の胸のあたりを指してそう言う。

意図せず水着越しの胸を凝視してしまい、後から気づいたシンジは赤面した。

心が寒いとは、レイの言うところの『ポカポカする』の反対なのだろうとシンジは推測した。

しかし、ここでシンジはまた思い悩むことになる。

レイが自分と真希波が一緒にいるところを見て、なぜ負の感情を抱いたのだろうか。

疎外感か、それともほかの理由が...

 

 

「それは寂しいからだよ。」

 

 

シンジが結論を出す前に、マリがレイに答えを提示した。

レイはその答えを小さく何度か反芻する。

 

 

「寂しい?」

 

「そう。私たちエヴァパイロットは3人で1つのチームなんだよ。君は今1人でいたから寂しかったの。」

 

「1人でいると心が寒い。3人でいると心がポカポカする。」

 

「そうそう。なんたって私たちは地球を守る正義のヒーローだからね。いつも一緒にいなきゃいけないんだよ!」

 

「碇君と2号機の人、一緒にいるとポカポカする。いつも...一緒にいなければダメ。」

 

「私が赤レンジャーで、わんこくんが青レンジャー、そして君が黄レンジャーだね。」

 

 

微妙にかみ合っていない会話に聞こえるがどうやら綾波の悩みは解消したようだった。

シンジは一安心するとともに真希波の対人能力の高さに改めて驚いた。

シンジ自身、綾波と意思疎通ができるようになるまでに多大な時間と危険の共有が必要だった。

しかし、真希波はシンジを遥かにしのぐ速度で綾波との関係を構築していっている。

シンジは真希波に対して憧れと少しの劣等感を抱く。

 

 

「それでそれで、美女2人のおっぱいに夢中のむっつりわんこくんはもう満足したかな?」

 

 

マリの言葉で、思考の世界に沈みかけていたシンジは現実へと引き戻された。

 

 

「え?ち、ちがうよ。僕はそんなとこ見て...」

 

「ほんとかな~さっきからずっと私たちの胸ばっかり見てる気がするけど。」

 

「み、見てないってば!」

 

「碇くんは...胸を見ると心がポカポカするの?」

 

「違うよ!」

 

「心が寒くなるの?じゃあ隠す。」

 

「...いやっ!そういうわけではないんだけど、そういう意味で見てるわけでもないというかその...」

 

 

顔を赤らめて釈明するシンジと、それを聞いて首を傾げるレイ。

そして2人を見て昔を懐かしむように笑うマリ。

そこにある風景はどこにでもある学生たちのほほえましい光景に他ならなかった。

 

 

「にゃははぁ...なんだか昔を思い出すなぁ。」

 

 

マリの呟きはシンジとレイには届かないほど小さなものだった。

 




この作品はなんとしても完結させたいので定期更新の形をとっていきたいと思います。

具体的には『月・水・金』の週3更新でやっていきたいと思います。

今後ともよろしくお願いします。
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