新世紀エヴァンゲリオン〜もしセカンドチルドレンがマリだったら〜 作:神光の宣告者
アスカxシンジならLAS
レイxシンジならLRS
だからマリxシンジはLMSになるんでかね。
うーん、なんかしっくりこない(笑)
つかの間の修学旅行を満喫していたシンジたちは、突如非日常へと引き戻されることとなった。
ネルフ本部内に緊急アラートが鳴り響き、シンジたちエヴァパイロットは集合を命じられる。
先ほどまで少年少女の顔をしていたシンジたちは、即座にパイロットの顔へと変化した。
シンジたちが作戦室に到着すると、既にリツコたちが準備万端といった様子で待ち構えていた。
何事かと質問するシンジたちにリツコは一枚の画像を提示する。
それは、人の胎児のような画像。
細胞の中に何らかの生物の原型であろう存在がすっぽりと収まっていた。
「これが使徒...?」
黙り込むパイロットを代表してシンジが質問した。
リツコは手早く、この使徒についての情報を説明していく。
「そうよ。まだ完成していないサナギのような状態ね。今回の作戦は使徒の捕獲を最優先とします。できうる限り原型をとどめ、生きたまま回収すること。」
「もし失敗したらどうするにゃ?」
「即時殲滅すること。」
「りょーかいっ!」
使徒に関する一通りの説明を終えたリツコは次に作戦概要について、続いて作戦担当者について話していく。
「そして作戦担当者は...『はいはーい、私いきまーす!』
リツコの声を遮るようにマリが高らかにその右手を挙げた。
リツコはシンジとマリを見比べる。
そして小さく瞬きをすると、作戦担当者を告げた。
「マリ。二号機で担当して。」
「やったー!ついに一転攻勢だにゃ!」
隣で大きくガッツポーズするマリをシンジは理解できないという表情で見ていた。
それもそのはず、使徒と接触するということは常に死と隣り合わせの作戦である。
そんな作戦を担当することになって喜んでいるマリの心境を、シンジが理解することなど到底できるはずが無かった。
「私は?」
レイは冷静に自身の役割について問う。
いつも通りのレイだった。作戦に忠実で、必要以上の言葉は話さない。
この娘に果たして感情はあるのかと、その場にいた伊吹マヤは思ってしまう。
マヤはレイに彼女の今回の任務について伝える。
「プロトタイプの零号機には特殊装備は規格外なのよ。レイと零号機は本部での待機となるわ。」
マヤいつも通り、レイからの『了解』の二文字を待った。
彼女からその2文字以外の返答を聞いたことはいまだかつてなかった。
レイはいつものようにゆっくりと口を開いて...
「いや。」
と任務を拒否した。
「え?」
予想だにしなかったレイの返事にマヤは思わず固まってしまう。
(あのレイが命令を拒否したというの!?)
マヤはパニックに陥り、レイに掛けるべき言葉を見つけられない。
そんなマヤに対して、レイは淡々とその理由を語り始めた。
「3人でいると心がポカポカする。1人ぼっちは、ダメ。」
本来であればこんな緊急の状況で命令拒否などたとえエヴァのパイロットであっても許されない。
そんなものは無視されるのが当たり前だ。
しかし拒否したのがあのレイだったという事実が、大人たちの判断を鈍らせた。
「行かしてあげればいいじゃないの。どうせ向こうに待機するのは変わらないんだしさ。」
最終的に大人としての判断を下したのは、いつのまにか作戦室に来ていた加持リョウジであった。
「まぁそうね。特段作戦が変わるわけでもないわ。レイと零号機も現地で待機よ。」
「...ありがとう。」
レイの言葉にマヤはまたしても目を丸くする。
あのレイが笑った。
マヤたちネルフ職員ははレイがゲンドウと一緒にいる時以外で、笑っているところを始めてみた。
今日は自分たちの知らないレイの顔を多く覗けた。
そんな奇妙に空気になりながら、作戦会議は進んでいった。
*
作戦会議が終わり、作戦担当のマリはリツコに連れていかれる。
そして30分後、耐熱使用のプラグスーツに身を包んだマリが同じく耐熱装備を換装した二号機の前に現れた。
「おやー、君もドラ〇〇ンになったんだね。」
格納庫には、某国民的アニメキャラを彷彿とさせるまん丸姿のマリと二号機がいる。
そのあまりにも滑稽な姿にシンジは笑いをこらえるのが精いっぱいだった。
「さ、早く出発するわよ。」
リツコの言葉で現場は一瞬で引き締まる。
職員たちは大慌てで残りの作業を進めていった。
職員たちがせわしなく動き回っている中を、その耐熱スーツの巨体で避けながらマリはシンジの元へやってくる。
マリは、いつものようにシンジに抱き着いてシンジの匂いを堪能する。
いつもであれば人目を気にしたシンジが逃げ出すはずなのだが、今日は珍しく抵抗しない。
異変に気付いたマリは抱き着いたままシンジに話しかける。
「何考えてるの?」
「怖いんだ。」
「何が?」
「真希波がいなくなっちゃうかもしれないから。」
「...わんこくんは優しいね。」
シンジを掴む力がより一層つよくなる。
「絶対に大丈夫だよ。」
「そんなこと分からないじゃないか!」
「絶対に大丈夫だよ。私はいつだってわんこくんのそばにいるから。だから絶対に帰ってくるよ。」
「絶対に戻ってきてくれよ。」
「うん、まかせて。帰ってきたら一緒に浅間山の温泉に入ろうね。」
もう既に出発準備はできているのだが、熱い抱擁を交わしている2人の間に割って入れる勇気のある者は誰もいなかった。
この難解なミッションに取り組んだのはもう1人のエヴァパイロットだった。
「1人はダメ。3人でいなければダメ。」
レイの介入で我に返ったシンジは慌ててマリから離れる。
少し名残惜しそうに鼻をさすったマリだったが、今度はレイに向き直るとなんの躊躇もなくレイに抱き着いた。
「君はなんだかほっとけないなぁ。顔はそっくりなくせに中身はまるで...」
マリは、レイに対してのみ聞こえる音量で何かを話す。
「そんじゃ、いっちょお仕事行きますか」
マリはレイから離れると、鼻歌交じりにエヴァに乗り込んだ。
こうしてエヴァパイロットたちは3人で死地へと向かって行った。
*
浅間山に展開された使徒捕獲作戦通称『A17本部』にはピリピリとした空気が漂っている。
地上ではこの前代未聞の作戦に対処すべくネルフ職員と3機のエヴァが待機していた。
上空では、UNの空軍が最悪のケースに対応するべく集結している。
空にきらめく戦闘機たちをコックピットから見たマリがリツコに質問する。
「戦闘機は何しに来たのかにゃ?」
「私たちが失敗した時の後始末よ。使徒をN2爆雷で熱処理するの。私たちごとね。」
「なるほどねー。信頼ないなぁ私たち。」
大人の汚い思惑に触れてもマリは怒ることなく笑い飛ばした。
しかしシンジは、マリのように冷静に受け止められほどの度量は持ち合わせていない。
シンジは不快感を露にしながらリツコに問う。
「そんな命令誰が出すんですか?」
「碇司令よ。」
シンジの質問にリツコは手短に答えた。
彼の最も聞きたくなかったその名を。
その名を聞くとシンジは黙り込んでしまう。
使徒を倒すためなら実の息子でさえも巻き沿いで殺してしまう。
その常軌を逸した冷酷さにシンジは、ますます父親に対して不信感を募らせることとなった。
「相変わらず容赦ないなぁ、ゲンドウ君は...」
さすがのマリも思うところがあったようだが、それを簡単に周りに見せるようなことはマリはしない。
『レーザー作業終了
進路確保
D型装備異常なし
二号機発進位置』
それぞれの思いが交錯する中、ついに作戦結構時間がやってくる。
失敗すればすべてが終わり。
この作戦の重要性を知っているだけに作戦本部にいる全ての人が皆一様に緊張していた。
その緊張の糸を裁ち切るように、ミサトが声を発する。
「マリ、準備はどう?」
「いつでもどうぞ。」
「...発進!」
ミサトの合図とともにローラーが回転し、二号機をマグマの火山の底へと運んでいく。
マリは真っ赤の世界の中をぐるりと見まわす。
予想ではこのあたりに使徒の卵があると聞いたが見当たらない。
「反応なし。見当たらないにゃ。」
『目標の移動速度に誤差が生じています。』
安全深度はとうに越している。
ミサトは作戦の続行か中止を判断しなければいけなかった。
ミサトは何の躊躇いもなく続行の判断を下す。
『再計算急いで、作戦続行、再度沈降よろしく。』
ミサトの合図でエヴァ2号機はさらなる深度へと進出していく。
限界を超えた装備についに亀裂が生じる。
鈍い金属音とともに、何かが破裂する音があちこちで鳴り始めた。
『深度1480、限界深度オーバー』
『目標とまだ接触していないわ。...続けて。』
装備が悲鳴を上げる中、エヴァはなおも降下を続ける。
『マリ、どう?』
「まだまだ行けるにゃ。でももう汗でベトベト。特に胸の谷間なんてもう大洪水。」
『近くにいい温泉があるわ。終わったら一緒に行きましょう。もう少し頑張って。』
過度の沈降が機体に多大な負荷を懸ける。
その代償はほんの小さな形で現れた。
『エヴァ二号機プログナイフ喪失』
明らかに限界を超えているエヴァ二号機を前についに現場で作戦中止を訴える声が出始める。
これが無人探査機であればいくればでも無理をすればいい。
仮に壊れたとしてもネルフの多大な資金をもってすれば弁償は十分に可能だからだ。
しかし、今回は状況が違った。
エヴァ二号機の中には人が乗っているのだ。
もし仮に二号機が破損すれば中にいるパイロットも死んでしまう。
そのことの重大さが理解できないミサトではなかった。
しかしミサトは尚も作戦続行を支持する。
『この作戦の責任者は私です。続けてください。』
この非情ともとれる決断に対して、今まさに命の危険と対面しているマリも作戦続行に賛成する。
「ミサトさんの言うとおりだよ。ここまで来て手ぶらで帰ってきましたじゃ格好がつかないしね。」
二号機が悲鳴を上げて爆散するのが先か、それとも使徒を発見するのが先か。
緊張は最高潮に達する。
「あっ!いたよ。」
マリの言葉に続いてモニターに使徒の姿が映される。
何かの卵のような楕円形のそれはまさしく使徒の卵であった。
『お互いに対流で流されているからチャンスは一度きりよ。』
速度を落としてゆっくりと卵に近づく。
チャンスは一度きり。ミサトの言葉を頭の中で何度も反芻させながら、マリは二号機の腕を慎重に動かす。
マリは電磁柵の展開ボタンを押す。
卵の周りをすっぽりと納める電子の檻が展開される。
「よしっ!使徒の卵ゲットだにゃ!」
マリの言葉で張り詰めた作戦室の空気が一気に和らいだ。
ミサトも一息ついてマリにねぎらいの言葉を贈る。
ローラーが逆回転を始め、二号機を地上へと戻していく。
あとは無事に地上まで上がってくるだけだ。
誰もが作戦の成功を信じて疑わなかった。
作戦成功に沸く本部に冷や水を浴びせるように警告音が鳴り響いた。
「なんか、出てきたー!?」
計算上はまだ孵化するはずのない使徒が急速に活動を始めた。
鋭い爪が殻を突き破り、電磁ネットを内部から引き裂く。
『捕獲中止。キャッチャーを破棄。作戦変更。使徒殲滅を最優先。二号機は撤収作業をしつつ戦闘準備。』
「ほいキター。」
戦闘開始の合図とともにマリは勢いよくプラグナイフを取り出す。
取り出したはずだったのだが...
「にゃー!?落としたんだったー!?」
『マリ!!初号機のナイフを落とすわ。受け取って!!』
「りょーかいっっとやばいんじゃない!?」
孵化した第10使徒『サンダルフォン』が丸腰の二号機に向かって突進してくる。
今の二号機にこの攻撃を回避する方法はない。
マリは、サンダルフォンの突進を迎撃するしかないのだ。
「オーダー、ナイフ一丁、プリーズ!」
マリは精いっぱい腕を上に伸ばしてナイフを掴みに行く。
熔岩の中を航海するプログナイフは焦るマリをあざ笑うかのようにゆっくりと落ちてくる。
サンダルフォンが突撃する直前、マリはなんとかナイフを掴むことに成功した。
「間に合ったぁぁぁぁ!!!」
マリはありったけの力を込めてナイフを突き立てる。
しかし、灼熱の熔岩をスイスイと泳げるサンダルフォンの装甲はプログナイフで貫けるような柔らかいものではなかった。
ダメージこそ与えられなかったがサンダルフォンの勢いを止めることには成功した。
サンダルフォンはその大きな口を開けると、2号機の顔を食いつぶそうする。
「こんな固い体のやつどうすれば...」
その時、マリの頭の中にプールでの会話が浮かんできた。
「そうか、熱膨張だ!冷却液の圧力をすべて三番に!!」
マリはD型装備の冷却管を使徒の口内に突っ込んだ。
マリの指示を受けて、冷却管から大量の冷却液が放出される。
サンダルフォンの体内が急速に冷やされていく。
冷却されたサンダルフォンの体は周囲の熔岩との温度差に押されて、内部から破裂していく。
膨張した体に対してマリは再びプログナイフを突き立てた。
熱膨張により脆くなったサンダルフォンの体が粉々に砕け散っていき、熔岩の海へと落ちていった。
マリはこの最悪の環境下での使徒の迎撃に成功した。
しかし、その代償はあまりにも大きなものだった。
冷却機能を失った2号機を引き上げるローラーが熱に負けてみるみる崩壊していった。
支えを失った2号機が灼熱の海へと急転直下。
察しのいいマリは静かに自身の最期を悟った。
「ごめんよ、わんこくん。さよなら。」
ついにローラーの最後の一本が千切れて2号機は奈落の底に落ちていった。
...はずだった。
マリが恐る恐る目を開けると、マリは自分が落下していないことに気づく。
上を見ると、そこには見慣れた紫色の機体、エヴァンゲリオン初号機が2号機の腕をがっちりと掴んでいた。
「まさか君に
マリは嬉しそうに小さく呟いた。
*
激闘を終えたネルフ一行は、長野のとある旅館に来ていた。
神経をすり減らすような作戦を終えたシンジは、ミサトの愛犬のペンペンとともに温泉で疲れを癒す。
「わんこくーん、今からそっち行くねー。」
「ちょわっ!?い、いいわけないだろ!!」
隣の女湯から突然聞こえてきた声にシンジは思わず体を隠す。
しかし、さすがのマリも壁を乗り越えて男湯に突入するという無謀なことはしなかったようだ。
「ちょっと、ミサトさんどこさわってんのさー!?」
「アンタが、壁を乗り越えて男湯に行こうとするからいけないんでしょ。」
「はーなーせー。私はわんこくんところに...。」
「レイ、あんたも手伝って。」
「了解。」
「っちょっとくすぐった、アハハ、やめて...ウンッ...そこは、反則...イヤンっ...もう観念したからお代官様~」
壁越しに聞こえる桃色な声にシンジはただ悶々とするばかりであった。
*
長きにわたる拷問の結果ようやく男湯へ行くことを諦めたマリは、ミサトとレイと並んで大人しく湯船につかっていた。
「マリあんたねー、いくらシンジ君のことが好きでもチョッチやりすぎよ。」
「え?」
マリは驚いたように固まってしまう。
「だ・か・ら、いくらエヴァのパイロット同士でも不純異性交遊は許さないわよって言ってんの!」
「私がわんこくんのことを好き...?」
「あんたまさかバレてないとでも思ってたの。大人の私にはバレバレよ!」
ミサトは新しいおもちゃを見つけた子供のような、いやらしい笑顔をマリに向ける。
一方のマリはなにやら頭の中でいろいろ考えていて、そんなミサトにの様子にはまったく気付いていない。
「まさかミサトさんにはそう見えてたのか...。でもまぁそっちの方が都合がいいのかな...」
「安心しなさい。不純異性交遊はだめだけど清き交際は全然オッケーよ。なんなら私がアシストしてあげるわ。」
「えー、それはなんだか不安。」
「ちょっとそれどういう意味よ!?」
「いや~ん、だからそこは弱いんだってぇ~」
長野の露天風呂に、マリの甘い悲鳴が響き渡った。
つづく
ネルフを快く思わない人々が、第3新東京市全ての電源を止める
近代設備が何も動かないネルフに、使徒が迫る
次回、『静止した闇の中で』
この次も、サービスしちゃうわよ