きゅっきゅふきふき☆きらぴかりん♪ ハイスクールD×D異聞~外宇宙文明を添えて   作:グレン×グレン

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 あ、活動報告でこの作品の未来を左右する相談をしているので、良ければ見てください。そしてお力を貸していただきたい。


第一章 其の九 堕天使を打ち落とすは人類の英知なり

 

 錬一Side

 

 

 

 

 

 

 

 っちぃ!

 

 さっきからこっちの攻撃は、全部避けられるかいなされるかで決定打になりゃしない。

 

 流石は神の子を見張る者(グリゴリ)の最高幹部。実力も堕天使で最高クラスってわけか

 

「面白い、面白いぞ! 歯応えがあるじゃないか、褒めてやるぞ!」

 

「悪いが、物差しが違いすぎる相手に褒められてもあまり嬉しくないんだがな!」

 

 俺は戦争狂じゃないんで、お前に褒められても嬉しくないんだよ。

 

 そもそも、決定打が当たってないのに褒められてもマジで困る。

 

 俺が持つ蒼穹天の剛腕(ストラトスルーラー・ボルト)は、天空を司り軍勢を薙ぎ払う神器。その出力は神滅具級と称される領域だ。

 

 神滅具は総じて、通常の神器なら禁手級の力を持ち、複数の別々の力を持つことも多いのが特徴だ。

 

 もちろん俺の蒼穹天の剛腕もそれに漏れない。二種類の力を持ち合わせ、そのポテンシャルはともに通常神器の禁手級だ。

 

 その一つが俺が多用する半自立戦闘武装。

 

 無意識レベルの俺の思考を読み取り、能動的な俺の意識に従って動く自立戦闘兵器、フィンブレード。籠手に接続された六機のこれを使役するのが機能の一つ。

 

 一本一本は聖剣創造や魔剣創造のそれを遥かに超える強度と切れ味を持ち、一本だけでも上級悪魔を切り刻める。そんな一つだけで高位の神器級のそれを、最初から六本使えるという時点で神滅具というだけのことはある。

 

 そしてもう一つの能力が、大気流の操作能力だ。

 

 単純に暴風を生み出すどころか、周囲の大気を圧縮して暴風を放つことができるのがこの神器の特性だ。その気になれば駒王町程度の範囲に小規模な台風のような大気の渦を作り出すこともできるわけだ。

 

 俺はそれを利用して立ち回っているわけなんだが―

 

「……少しは当たれ!」

 

「なら当てて見せろ!」

 

 だよなぁ!

 

 こっちは合計で六つの竜巻を作り、コカビエルを包囲しながら攻撃を叩き込んでいる。

 

 俺自身もフィンブレードも竜巻の影響を受けないようにする程度のことはできる。その上で竜巻の間から光の銃を撃ったりフィンブレードで攻撃したり。時折竜巻を曲げて不意打ちもかましている。

 

 その殆どを、コカビエルは盛大に反応してのけている。

 

 竜巻を曲げた不意打ちも、初見殺しになった一発目以外は全部躱される。その一発目も翼で防がれた。

 

 流石は神の子を見張る者(グリゴリ)幹部で唯一のタカ派。戦い慣れしてるってわけか!

 

 ………さて、こういう時の伏せ札がないわけじゃないんだが、どうやって当てるかが問題だよな。

 

 何とか、動きを止めたうえで時間を稼げればいいんだが―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 Other Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 ハイゲイト・ペンドラゴンと千条武志の戦いは、圧倒的だった。

 

 言うまでもないほどに、ハイゲイトが圧倒的だった。

 

「な……にが、どうなってやがる!?」

 

 千条武志という男にとって、自分の実力を正確に把握することは当然のことだった。

 

 自分がどれぐらいの実力があるかを把握しなければ、長い間戦争を楽しむことなどできはしない。

 

 運否天賦も関わるのが人生だが、それでも自らの努力を完全放棄して幸福を得ようなど、ギャンブルと同じで大抵失敗するものだ。

 

 ゆえに、彼は常に努力をしてきた。それは己を高めるだけでなく、新たに手に入れることも含めてだ。

 

 その貪欲な情報収集において、己の神器はとても役に立った。

 

 己と同じ戦争を望む者たちを見つけることができるからこそ、いつか戦争を楽しむ為につなぎを作ることができた。

 

 その貪欲さで様々な内情を知ったからこそ、バルパーに接近して聖剣因子を移植することができた。

 

 その上でエクスカリバーの特性を調べ上げ、早撃ちを得意とする己と相性の良い人工神器やエクスカリバーを見つけ、それを組み合わせた運用を求め、手にすることができた。

 

 聖剣因子だけでなく、聖剣と人工神器の組み合わせ、それらすべてがあった今の自分は、最上級悪魔すら単独で打倒できると自負している。

 

 それが―

 

「なんで、こうまでワンサイドゲームになってやがる!!」

 

「一言で言おう。相性が悪すぎる」

 

 冷静にハイゲイトはそう答え、そしてその通りの状態になっていた。

 

 振るわれる聖剣はあっさりと長剣に弾かれ、銀弾もハイゲイトが着込んでいる戦闘服を突破できない。

 

 人工神器で強化された身体能力で何とか戦闘の形にはなっているが、この趨勢をひっくり返すことは不可能だと断言できるほどには不利だった。

 

 それが信じられない。

 

 確かに手に持っているエクスカリバーは量産型だ。本来の性能はオリジナル、それも七分割された状態の三割程度が限界でコストパフォーマンスも悪い。更に祝福の聖剣は聖なる力に関する装備であり、必然的に悪魔の類ではないハイゲイトに不利なのは認めよう。

 

 だが極光の超人装具により疑似的に本来と同等規模を維持した量産型の祝福の聖剣、そしてそれによって攻撃力を大幅に強化された無尽の銀弾があれば、その特性を抜きにしても最上級クラスとすら戦えると自負している。

 

 それが、こうまで敗北する理由とはいったい何が―

 

「我が神器、聖域の楽園聖墓(アクルックス・カタコンベ)は聖地を作り金属を聖別する神器でね。極限までまとめれば「聖別」こそが特性と言っていい」

 

 そして振るわれる聖剣を弾き飛ばし、ハイゲイトは断言する。

 

「ゆえにその力は、祝福の聖剣(エクスカリバー・ブレッシング)の上位互換なんだよ。量産型程度が相手なら、その力を封じ込める程度の応用はできる」

 

 その言葉に、千条は己の敗北を悟る。

 

 運否天賦は戦いにおいて必ず存在する。努力でそれを補うことはできるが、それでも限界はある。

 

 ゆえに、徹底的なまでに運否天賦が悪い状況下をどうにかするには、あまりにも準備も情報も足りていない。

 

 それを悟ったその瞬間、ハイゲイトは拳を握りしめていた。

 

「色々聞きたいことがある。だから背骨を粉砕する程度で抑えてあげるよ」

 

 そしてのその拳が、胴体に盛大にめり込んだ。

 

 そしてその一撃はただの拳ではない。

 

 神滅具の特性を応用して再現されるは、悪魔祓い(エクソシスト)の生ける伝説がなす奥義。

 

 鋼の鍛錬と揺るがぬ信仰心が生み出した、人の拳と思えぬその一撃の名は―

 

「聖拳っ、鉄槌!」

 

 ―聖なる祝福を悪用する者が、其の上位互換によって叩きのめされる。

 

 その皮肉の利いた末路を笑う余裕もなく、千条の意識は闇に閉ざされた。

 

 

 

 

 

 

 

 そしてその頃、バルパー・ガリレイもまた苦戦を強いられていた。

 

 彼はこの事態を冷静に受け止めつつ、しかし同時に屈辱も覚えている。

 

 自分が戦士でないことなど十分理解している。エクスカリバーに対する焦がれから、剣術そのものはかじったことがあるがその程度。ゆえにどれだけ性能を底上げしても、本職で技術に長けた戦士と戦えば苦戦は必須だとは思っていた。

 

 仮にもデュランダル使いであるゼノヴィアを圧倒できたのは、こちらが戦場の流れを掴んでいたことが大きい。加えて祝福の聖剣によってデュランダルという聖剣に干渉をかけており、更なる理由も存在する。

 

「……よく分からないけど、リチャードアラヤルっていうのはリチャード一世にあやかっているのねぇん?」

 

 そして遠距離から支援攻撃を行っているゼルマンは、こちらのその理由に辿り着いていた。

 

「リチャード一世は手に持つあらゆる物にエクスカリバーと名付けるほどのアーサー王フリークで有名。それにあやかったその力、手に持つ物をエクスカリバーにできる……といったところかしらぁ?」

 

「五十点と言っておこう。実際のところはそこまで便利なものでもない」

 

 そう返答しつつ、バルパーは敵の攻撃を可能な限りしのぐ。

 

「リチャードアラヤルは確かにエクスカリバーの力を手に持つ物に付与するが、然しそのエクスカリバーの力は「聖剣エクスカリバーに対する大衆の意識」に左右される。七本に分割されていることどころか、そもそも七つの特性を持つことすら知らぬ一般大衆のイメージ故、本来では頑丈勝つ切れ味のいい聖剣程度の力しか出せぬさ」

 

 それに関してはきちんと説明されているし、テストもしたので断言できる。

 

 加えて聖剣に対する具体的な能力イメージが関わる為、その強化率は本当に真のエクスカリバーからは程遠い。

 

 だがしかし、この状況下に限ってはそうではなかった。

 

「つまり、可能な限り本物に近いエクスカリバーを武器にすることで、その辺りの補正を行っているのね? さっきから動きづらいのは支配の聖剣(エクスカリバー・ルーラー)を使っていると」

 

「正解だ。だからこそ、私でもデュランダル使いを圧倒できたのだが……」

 

 支配の聖剣とは、七本に分割されたエクスカリバーでも最強とされる一振りだ。

 

 あらゆるものを支配する力を持つその聖剣は、現段階では行方知れずゆえに手に入れることはできなかった。

 

 だがそれ以外のすべてを合一化した状態で、更にリチャードアラヤルの力で上乗せすれば、それもまた再現できる。

 

 場の流れによる士気の違い。祝福の聖剣による干渉。更に支配の聖剣による干渉。

 

 その三つが重なったからこそ、身体能力で上回っていても技術で劣るバルパーが、仮にもデュランダルに選ばれた天然ものであるゼノヴィアを圧倒することができたのだ。

 

 しかし、種が割れればある程度は対応されるのが世の理。

 

 三人がかりで仕掛けられているうえ、堕天使ゆえに聖剣の特性を生かしきれないのも大きい。

 

 加えて―

 

「大体慣れてきたわ。そろそろ終わらせるわよ!」

 

「そうだね。そろそろ終わらせよう!」

 

 前衛を担当する二人の女が、想像以上に強大だった。

 

 片方は聖なるオーラを身に纏って戦闘をしていたが、こちらが祝福の聖剣の力を主体にしていると知った瞬間にそれを解除。神器使いでありながら神器を副兵装にしか使ってないその戦闘術は、それゆえに強大で対処しづらい。

 

 片方は日本刀を使ってこちらと真っ向から撃ちあっている。細身の割には頑丈程度の日本刀で、受け流すどころか真っ向から破壊の聖剣(エクスカリバー・ディストラクション)の一撃に耐える辺り、神器による強化と当人の技量の高さが伺える。

 

 双方ともにこちらより戦士としての力量で上回っている。その上ゼルマンにこちらの種はほぼ見抜かれた。

 

 ゆえに、戦士でないバルパーに勝てる要素は存在せず―

 

「……忌々しい。だが、エクスカリバーを使いここまで本職と戦えたのは、本望だとも……っ」

 

 長年の敗れた夢をここまで体感することができた。

 

 その僅かな救いを胸に、三方向から放たれる光力の一斉砲火にバルパーは吹き飛ばされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 イッセーSide

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺は、俺は負けない!

 

 ここで頑張れば、相手がコカビエルじゃなくても部長からご褒美があるかもしれない!

 

 おっぱい! 乳首! ぶちゅぅっと!

 

 それに街の安全とか色々あるからな!

 

「おぉおおい!? 今君、街の平和よりおっぱいのことをモチベーションにしてませんかぁ!?」

 

 うるせえよフリード! 俺の心読むな!!

 

 なんで俺の周りには俺の頭の中を読み取るやつが多いんだ。しかも小猫ちゃんだけじゃなく、フリードまで呼んできやがる。

 

 そこまで分かり易いか! 俺はそんなに単純なのか!?

 

 この憤りも込めて左腕でフリードをぶん殴る!

 

 フリードは天閃の聖剣(エクスカリバー・ラピッドリィ)を持ってて滅茶苦茶足が速くなってる。しかも人工神器とかで能力まで上がっている。

 

 だけど、この状態なら真っ向から追いつけれる!!

 

「うっぜぇえええええ!!! せっかくめちゃすごエクスカリバー使ってんだから、チート無双されろやぁ!」

 

「いやに決まってんだろうガァああああ!!」

 

 俺は真っ向からフリードとぶつかり合う。

 

 エクスカリバーは一本しかないから、ドラゴンのそれになってる左腕で受ければ聖剣のダメージは入らねえ!

 

 他は悪魔だから喰らうとまずいけど、光の銃弾は鎧を貫通しないから戦えるぜ!

 

「あぁ~もぉおおおおっう! せっかく無双プレできイると思ったのにこれってないよぉう! すいまっせーん、テイク2お願いしまーす!」

 

「ふざけんな! テイク2が欲しいのは俺の方だ!!」

 

 この野郎、俺の気持ちも知らないで!!

 

 何がテイク2だ。そんなもの現実に無いんだよ。

 

 ないから悲しいんだ。絶望だってするんだ。嘆きと後悔を背負いながら、それでも前に進むしかないんだ。

 

 その程度のことも分からないようなやつに、これ以上好きにさせてたまるかよ!!

 

「お前の無双できないつらさなんて、俺の乳首を吸えない悲しさの足元にも及ばないんだよぉおおおおお!!」

 

「いや、それは君がどうかしてるだけだと思うよ?」

 

 マジ返しするんじゃねぇえええええええ!!!

 

 勝つ! なんとしても勝つ! 意地でも勝つ!

 

 俺はその気合と根性で、フリードの動きに食い下がる。

 

 鎧になったおかげでスピードも上がってるのに、それでも時々翻弄されるってのがきつい。

 

 これが、天閃の聖剣の力かよ。流石は俺でも名前ぐらいは知ってるエクスカリバーってか!

 

『それもあるが、速さの性質が違うのも原因だな。最高速度ではこちらがしのいでいるが小回りで劣っているから、こういう範囲の限定された地表では奴の方が有利なのさ』

 

 なるほど。参考になったぜドライグ。

 

 つまり―

 

「もっと広いところに出せば、こっちも有利になるってことだよなぁ!」

 

 だから、俺は全力で地面をオーラを込めてぶん殴る。

 

 そりゃもう校庭の半分ぐらいをクレーターにしたけど、その代わりフリードと俺は宙に吹っ飛んだ。

 

 ああ、戦ってる場所がフリードに有利なら、強引にこっち向きにすればいい。

 

 範囲が広ければこっちに有利。何より(ここ)なら―

 

「お前は飛べないだろ、フリードぉおおおおお!!!」

 

「………ありですか、こんなの」

 

 アリだよ、馬鹿野郎!!

 

 俺は渾身の力で、フリードの顔面に拳を叩き込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

錬一Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 全力で攻防を繰り広げながら、俺は勝利の布石を何とか整えた。

 

 あとはそれを決める為の手順だ。ここからは賭けだな。

 

 さて、ならやるか。

 

「……見事だコカビエル。本当にお前は最強格の堕天使だよ」

 

 俺はそう言いながら竜巻を消し、フィンブレードを呼び戻し、そして地面に降り立つ。

 

 そして可能な限りこう、大物っぽい雰囲気を見せて、ゆっくりとコカビエルに向き直った。

 

 それに対してコカビエルも、何かを感じたのか地面に舞い降りる。

 

 ……よし。ここまでは好都合な展開だ。

 

「ふん。何やら戦法を変えるようだな。それも最大級の大技を叩き込むということだろう」

 

 よし、いい反応だ。

 

 なら、望み通りにしてやる。

 

 俺は右腕を天に掲げて、フィンブレードをその周囲に展開して旋回させる。

 

 その上で大気を圧縮し、圧縮して圧縮して圧縮する。

 

 同時に後ろ手に回した左手である操作をしながら、俺は声を張り上げる。

 

「これぞ我が究極の最! 大! 火力! 超高圧縮した大気圧は、熱すら圧縮することでプラズマへと変貌。それを叩きつけた火力、ツァーリ・ボンバも真っ青と知るがいい!」

 

 そう吠え、俺はまっすぐにコカビエルを見据える。

 

 ……よし、いい感じだ。

 

 そんでもってコカビエルもこっちに夢中だ。

 

 なにせ今準備している技はまさに最大火力。それが嘘でないことを、コカビエルは目の前の球体を見ることで察したんだろう。

 

 全力を出して楽しめる戦争を望んでいるのなら、こういう土俵は楽しみで仕方ないはずだ。

 

 だから、俺は遠慮なくそれをチャージする。

 

「いいぞ! 戦争とはこうでなくっちゃならないよなぁ! 面白くなってきたじゃないか!!」

 

 そう、だから俺は手順を終えた勢いのまま、そのプラズマ球体を―

 

「ってするわけないだろ馬鹿か」

 

 ―そのままゆっくり、上に向かって放出させる。

 

 イメージとしては、風船に穴を開けるのではなく、風船の口に括り付けた蛇口を小さく捻る方向だ。

 

 破裂しないように慎重に、ゆっくりとゆっくりと放出する。これなら爆発して周囲を巻き込むこともない。

 

 そして予想通り、目の前の展開に面食らって意識を完全に俺に向けているコカビエルを確認。

 

 そして最後の賭けともいえる左手での小細工をかまし、その上でコカビエルに告げる。

 

「なに驚いてる。こんなところでこんな攻撃をぶちかますわけがないだろう。何も知らない一般市民を十数万人も吹き飛ばすとか、現代文明でありえると思うか?」

 

 全く、想定通りとはいえ困った奴だな、オイ。

 

「なんだと? 俺を倒すなら、それこそそれぐらいの力は必須だろうに」

 

「お前の物差しと俺の物差しは同一じゃない。あと使うべき物差しはきちんと使い分けろ」

 

 ああ、この辺に関しては本音をぶちかます。

 

「お前が戦争大好きなのは分かった。だが生憎今の時代、戦争なんてのは「やる必要があるからやる」程度が基本。何より客観的に戦争なんて「必要最低限な時やる、下の下の外交手段」だ。少なくとも俺の物差しじゃ「積極的にやる」なんて目盛りも単位も存在しない」

 

 はっきりと告げ、そして俺は睨みを利かせる。

 

「そんでもって、人間を神滅具保有者といった物でしか見れてないお前に、人間の持つそれ以外の強大な力を見せてやる」

 

 ああ、準備は完了した。だからやって見せる。

 

 見せてやる。お前が舐めてかかっている人類の力!

 

「何を見せる気だ? 脆弱な人類という種族が、兵器という外付けを複数で動かしてなお、中級に届くことすら困難な分際で!」

 

「ああ、それは―」

 

 俺はその瞬間、隠していた左手である物を取り出して見せつける。

 

 それは、小さな起爆スイッチ。

 

 ぽちっとな。

 

「……食への探求心だ」

 

 その瞬間、最初に左腕てこっそり操作したラジコンに乗せた、小瓶が遠隔起爆式の火薬で割れた。

 

 そして中身がこぼれ、その香りがコカビエルの届く。

 

 それは、とある寒い国で産まれた食材。

 

 牧畜と漁業を生業とするその国は、冬の保存食として魚の漬物を大量に作ることで、貴重な塩分とタンパク質を摂取している。

 

 しかし製塩に不向きなお国柄、塩をつけるのではなく塩水につけるという手法をとることになる。結果として腐敗は防げるのだが、発酵がどんどん進んでくる。

 

 その過程においてアンチョビのように班に乗せ、玉ねぎやトマトといった野菜、マッシュポテトといった炭水化物、もしくはクリームチーズ、日本に馴染みがない物ならば山羊の乳から作ったバターにクリームやシナモンを加えてブラーナとかいるものを付け合わせにするらしい。

 

 基本的に現代では缶が主流だが、日本の定義では缶詰にはならない。何故なら加熱殺菌をしないから。

 

 そのニシンを使った食材からニシンそのものは他の連中が食べたものだ。俺はその残った汁を回収して、こういう時の最終手段として用意していた。右腕にごつい装備ができたうえ、こういった目立つ手段を用意できるからこそ、こういう伏せ札をときおり効果を発揮する。

 

 そしてその為に左手だけで簡単なラジコンなら操作できるようにして、その上で用意した俺のキリングレシピ。

 

 これまでに最上級クラスの悪魔や吸血鬼、荒魂すら悶絶させ、致命の一撃を叩き込む決定打になった切り札。必ず殺す為の技と言える、ある種の必殺技ならぬ必殺兵器。

 

 そう、その名を知れ、コカビエル。

 

 その名は―

 

「……シュールストレミングだ!」

 

「ゴブォッハァ!?」

 

 あ、運悪く汁が鼻に入ったぞあいつ。これはきついな。

 

 そしてもう遠慮はしない。ここで決める!!

 

「……やるぞ、珊瑚ぉ!」

 

「らじゃーっ!」

 

 そして俺のハンドサインに気づいてくれた珊瑚が、一斉に攻撃を開始する。

 

 投げ飛ばした整地用ローラーを回収して叩きつけながら、そのまま躊躇なく光力を叩き込む。

 

 更に時々ローラを回転させる為のシャフトの方を叩きつけると、コカビエルに裂傷が刻まれる。

 

 どうも魔力特性がベルフェゴールのそれらしく、何かしらの血縁があると思われるが詳細は不明。

 

 それはともかくとして、俺も躊躇しない。

 

「うぉおおおおお! 喰らえ窒息攻撃と連続フィンブレードぉ!」

 

 フィンブレードをローラ攻撃の合間に叩きつけながら、更に周囲の大気を少しずつ薄くして酸欠を起こさせる。

 

 その結果として、コカビエルは五分後についに失神した。

 

 ………見たかコカビエル。

 

 人類の英知と食への探求は、こんなにおいの物すら食材とするんだ。

 

 シュールストレミングに関わらず、中国の腐乳や日本のくさやなど、本来食べる気になれないような者すら、食べて美味いなら何度も食べる。その人間の食への探求を持たないお前が、悶絶するのは当然の結末だ。

 

 増して人間に近い嗅覚を持つからこそ、人間でも悶絶するにおいはきついだろう。なまじ攻撃のダメージを覚悟した対応するからこそ、想定外の打撃には効くのさ。予想外ってのはそれだけで強力なのさ。

 

 ………俺たちの、勝利だ!!

 

 

 




 勝利のカギ:シュールストレミング(残り汁)

 自分のD×D二次創作はイッセーとの差別化ともあり「デフォルトテクニックタイプ」が基本で、手数などが多い手合いになりやすいです。

 そのため蒼穹天の剛腕は、多様な手札が取れるだろう大気を操る神器になりました。さらにオールレンジ攻撃もできる有能装備。

 しかし! それにとどまらないのが旗本錬一という男。彼は神器を一つの要素としてとらえ、それ以外の手段を集め利用することも躊躇しません。

 コカビエルにも言ってますが、錬一は「物差し」という形容をよく使うキャラにしており、その上で「使い分け」を重要視しています。

 彼は自分も敵も「異能」という単位だけで測りません。むしろそこばかりは買っている連中の裏をかくことがスタンス上得意であり、シュールストレミングのような手段も多用します。このあたりも物差しの使い分けというスタンスの影響ですね。

 なので、これからも神滅具を主体とする基本戦闘にしつつ。そこにはまった強敵を奇策で撃破するキャラクターにしたいですね。イッセーも強敵相手には別の要素を持ってきて妥当する展開もありますし、その辺も考慮したい。



 そしてハイゲイトの神器である聖域の楽園聖墓。

 基本的には戦闘用ではないのですが、その特性上戦闘に使っても効果は高い。むしろ聖別をつかさどる神滅具といってもいいので、ある意味信徒に対する影響力は大きいです。

 彼も別の出番がありますので、その時をお楽しみにしていただきたい。
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