きゅっきゅふきふき☆きらぴかりん♪ ハイスクールD×D異聞~外宇宙文明を添えて   作:グレン×グレン

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はい、ヴァンパイア編に突入します!







 まあ基本的に自分の作品での基本傾向ですが、禍の団は必然的に強化される傾向にあるのが基本です。

 そんでもって今回なんですが、傾向としてはロンギヌス・イレギュラーズに近い強化手法。具体的に言うと、オリジナルの小規模派閥とかを多めに出す感じで行こうかと思っております。

 原作のアンチの一つは禍の団の構成がもとをたどるとでかい部分で三大勢力が大きく絡んでることも多かったんで、ならそうでないものや似ている亜種的な勢力などを大量に増やしていこうという発想になりました。

 すでに組織概要はいくつか作っているので、メインとなるオリ敵勢力も含めて結構な数が出てくると思います。


第一章 其の十一 

 

 英雄になりたいということそのものが悪いのか。それに関しては色々な言い分があるだろう。

 

 人間、上を目指すことそのものは悪くない。そういう意味じゃあ、大いなる危機を打ち砕いたり、戦争を勝利に導いて国家を守ったり、例え負けたとしても頑張って国家を守ろうとした者たちに憧れるのは当然。誰だって立派な奴やすごい奴になりたいと思うことは、一度ぐらいはあるだろう。

 

 だが、こと日本では「目指す時点で英雄失格」という風潮がある。

 

 だが前にも言ったが、戦争などで人々が苦しんでいる状況なら賞賛される可能性が高いだろう。

 

 まあそれはそれとして、どうも日本は「すごい存在は自然となったり結果としてそうなる者で、なろうとするものではない」という印象があるようだ。

 

 これもまた、出る杭は打たれるということわざが生まれやすい環境だからだろう。そもそも出ようとするものそのものが叩かれやすい風潮もあるのかもしれない。

 

 そんな文化体系だから、職人芸が尊ばれるくせに職人の後継者問題が発生するんだろう。外国人の方が伝統的な日本関連の者で古きよきを体現しているケースが結構あるのはそんな感じだと思う。

 

 まあそれはともかく。俺はふと思ったわけだ。

 

 英雄ってなんだ? とだ。

 

 コカビエルの暴走を食い止め、三大勢力戦争再発の危機を防いだ俺たちは、ある意味で英雄といってもいいだろう。

 

 戦争の再発を望まない側からすれば、英雄のように思うことは十分あり得るだろう。

 

 だが戦争の再発を望んでいる者からすれば? 当然決起したコカビエルを英雄視し、阻止した俺たちは「腑抜けた首脳陣の飼い犬」として敵意を向けるだろう。

 

 とにかくそういうことだ。

 

 何を持って英雄とするかなんて、TPOで大きく変わる。そして英雄を判別する物差しや単位なんて、そいつの立場や価値観で大きく変わる。

 

 ……英雄を目指す者は英雄失格である。これはすなわち、英雄的行動に見返りを求めてはならないということでもある。

 

 だが、見返りもなく死に物狂いで頑張る手合いなんてそうはいない。俺だって、アメリアや珊瑚と一緒にいる為に職務でやったんだ。保障や立場や給金など、見返りを先行で貰っている。

 

 だから、そもそもの英雄の定義が全く異なる連中が軍勢で存在するとしよう。

 

 もしそうなったら、「英雄を目指す」を全否定するような価値観の者たちは大きなしっぺ返しを食らうのではないだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな予想が、最悪の形で当たることになると、俺はこの時思ってもみなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 何故なら、これは趣味の片手間になんとなく思ったことでもあるからだ。

 

 オーブンの時間が過ぎたことに気づいたので、俺はその思考を断ち切ってオーブンを開ける。

 

 天板を張った水は沸騰状態が余熱で続いており、俺は水蒸気で火傷しないように気を付けながら、中に入れていたものを取り出す。

 

 それは卵・砂糖・牛乳をかきまぜた後、裏ごしにした液体。

 

 それをオーブンで蒸し焼きにして固め、その間に作ったカラメルソースもいい感じだ。

 

 日本ではゼラチンを使って固めているが、厳密にいえばそれはカスタードゼリーであり、教義的には別物なお菓子。

 

 そう、プリンである。

 

「……よし。我ながら上出来!」

 

「プリンできた!」

 

 そして気づくの早いな、珊瑚。

 

 ま、珊瑚の分もしっかり作ってるから問題ないんだがな。

 

「じゃ、俺はそろそろ定時連絡に行ってくる。プリンのあまりは食べていいぞ」

 

 俺はプリンが冷めるまでの時間も計算しつつ、覚ましているプリンを人数分取り分けて箱に詰める。

 

 そのあまりを期待に満ちた顔で見る珊瑚は、ちょっとだけ首を捻る。

 

「いいの? 錬一のは?」

 

 ああ、そこを気にしてたのか。

 

 基本的に俺は食べる為に菓子を作るからな。食べずに行くとは思ってなかったのだろう。

 

 だがまあ、そこはいらぬ心配。

 

「向こうで情報交換もしつつ食べることにするさ。ほれ、あちらの人数より一つ多めだ」

 

 そう言って見せつつ、俺はちらりと寝室の方を見る。

 

 ここを諸事情を話して借りてから結構経つが、割とあの部屋は閉まったままの時が多い。

 

 ちゃんと食事の時は顔は出すし、きちんと連絡業務とかはしてるんだが、空いた時間は塞ぎ込んでるみたいだからな。

 

 珊瑚もその辺が気になるのか、自分に割り当てられた部屋じゃなくてドアの前でじっとしてることが多い。そのくせ気を遣わせないように、気配を察したらすぐに離れる感じだ。

 

 俺もまあそんな感じで、鈍らせない為の自主トレと肉確保の為のトカゲ狩り(殺さない)をしつつ、こうして結構な頻度で趣味の菓子作りを考え事をしてしまいながらやっている。

 

 まあそれはともかく。

 

「んじゃ、アメリアのことは頼んだぞ」

 

「うん。グレモリーの方は任せたから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺たちプルガトリオ機関ジュリエット部隊第三班は、まだ駒王町に留まっている。

 

 理由は単純。聖書の神の死を知ったことが原因だ。

 

 なにせ広まれば教会は壊滅的打撃を受けるとんでもない厄ネタ。こんな最高機密レベルの情報を、現場の一部隊が知っていていいとはとても思えない。

 

 正直俺は、不意打ちで暗殺されるのではないかと気が気でない。

 

 ハイゲイトやゼノヴィアと口裏を合わせて誤魔化そうとも企んだが、ここで想定外の事態が発生。

 

 具体的に言うと、ハイゲイトもゼノヴィアもその事実を上に通達したらしい。

 

 ハイゲイトはエクスカリバーをイリナと共に返しに行くと去って行った豪気な態度だが、ゼノヴィアの方はリアス・グレモリーの眷属に転生するというトンでもないことをやらかした。そのくせ時々主に祈ってはシステムでダメージを食らうという真似をしでかしている。

 

 そんでもって俺たちも、そうなったら隠し立てできないので上に連絡。

 

 ……そしたら当座の支度金が送られて「リアス・グレモリーを監視しろ」と来たもんだ。

 

 どうも上層部は、これを機に不本意ながら悪魔側と連絡を取り合いたいと考えているらしい。天界の上層部も動くとか言う話だ。

 

 まあそんなわけなので、俺は定期的にリアス・グレモリーのところに顔を出しつつ、お互いに軽い腹の探り合いをするわけだ。向こうもマンションを一室安値で貸してくれたし、俺は悪魔稼業の合間に一息つく為のスイーツを、趣味の菓子作りを兼ねて提供している。

 

 で、そんなこんなで七月に突入したわけなんだが―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわぁあああああん! ビビりました、部長ぉおおお!」

 

 リアス・グレモリーの膝に顔を埋める兵藤一誠。

 

 悪魔稼業から慌てて帰ってきたこいつは、とんでもない事実をぶちかましながらこうしてリアス・グレモリーに慰められている。

 

 で、そのとんでもない事実なんだが―

 

「なんてことをしてくれたのかしら、アザゼル。私の縄張りで営業妨害なんて……っ」

 

「……むしろ報酬には色付けてるんだし、営業妨害ってのは違うんじゃないか?」

 

 俺が突っ込んだ通り、堕天使総督のアザゼルが、正体を隠して兵藤一誠の顧客になっていたそうだ。

 

 まったく、何を考えてるんだそいつ。

 

 前回コカビエルが盛大にやらかして色々警戒されてるだろうに。馬鹿なのか大物なのか判断就かないことするなや。

 

 組織や国家のトップがバカって話は意外と多いし、正直ちょっと不安なんだがな。

 

 盛大にやらかしてこっちまで焼き尽くさないでほしいんだがな。

 

「しかし、コカビエルが暴走したとか言っていた割には調子に乗っているな。リアス部長が怒るのも無理はない」

 

「まあそうなんだが、人間でも神経が図太かったり面の皮が分厚い奴は多いからな。挑発のつもりがない可能性は十分あるから、突っつきづらいわけなんだよなぁ」

 

 俺はゼノヴィアにそう返しながら、現地で作ったホイップクリームをプリンに乗せる。

 

 ちゃんと生クリームと砂糖を使っている。小型のクーラーボックスに入れたから、衛生面でも万全だ。

 

 さて、完成っと。

 

「んじゃ、誰から食べる?」

 

「……いただきます」

 

 ……一瞬で目も前に移動したんだが、塔城小猫とかいう転生悪魔。

 

 まあ、自分でいうのもなんだが自信があるからな。本職の菓子職人には劣るが、家庭の手作りで考えるなら割といい感じだという自信はある。

 

 そして小猫の目は、完全に味の審美を目で行っている猛者のそれだ。

 

 腕の見せ所だな。

 

「どうぞ、ご賞味ください」

 

「……お手並み拝見します」

 

「いや、旗本も小猫も何をしているんだ?」

 

 ちょっとしたコミュニケーションだから気にするなゼノヴィア。

 

「……イッセー君、気持ち悪いだなんてそんな……」

 

「あらあら。祐斗くんもしょげてないで、プリンを食べて元気を出しましょう?」

 

 と、女王の姫島朱乃が騎士の木場祐斗を慰めるの使ってやがる。いつの間に取った。

 

 というより、これだけのキレイどころが揃っているのに何で男相手に顔を赤くしたうえ、迫ってるんだよ。

 

 そりゃ一誠も引くだろうに。あいつ、ガチのスケベだからそういうの苦手そうだしな。

 

 もっとこう、スポ根的なノリがいいんじゃないだろうか?

 

「イッセーさんも部長さんも、旗本さんが作ってくれたプリンを食べて、落ち着きませんか?」

 

「……そうね。本当に美味しいから、イッセーも食べて元気を出しなさい?」

 

「もぐもぐ。……これが部長やアーシアの手作りだったらもっと嬉しいけど、悔しいけど美味しい」

 

「おい、木場祐斗相手にドン引きしておきながら気持ち悪い褒め方するな」

 

 昔ゴミ捨て場で拾ったエロ漫画にそんな展開あったぞ。

 

 お前はなぁ。自分がされて嫌なことを人にするなと言われなかったのか。

 

 だがまあ……。

 

「で、どうするんだ? 流石にこのタイミングで堕天使総督をボコるのもあれだろうに」

 

「意外と直接的ね。まあ、確かにやりづらいわね」

 

 リアス・グレモリーはそう言って、俺の言葉で状況を考え直した。

 

 まったく。こんな面倒な時期に面倒なトラブルを起こさないでほしい。

 

 正式にリアス・グレモリーが苦情を出せばいいんだろうが、時期が時期だからな……。

 

「堕天使側の動きが見えないし、相手が堕天使の総督なら、下手な手は打てないし……」

 

 全くだ。

 

 この状況下で火薬庫が爆発したら俺たちもまずいので、知恵を貸したいがそれも難しい。

 

 何せ俺たちジュリエット部隊第三班は実働部隊。こういう政治的なことに対して専門的な部署じゃないからなぁ。

 

 俺たちがそんな感じで悩んでいると、ふと気配が増えた気がした。

 

「アザゼルは昔からああいう男だから、リアスが気にしなくてもいいさ」

 

 そこにいたのは、リアス・グレモリーに似た雰囲気と同じ髪の色の男。

 

 すぐ後ろに銀髪のメイドを控えさせている男に俺があっけにとられていると、いつの間にか悪魔たちが慌てて膝まづいた。

 

「おおお、お兄様!?」

 

 なんと。リアス・グレモリーの兄ということは、現ルシファーのサーゼクス・ルシファーか!

 

 慌ててゼノヴィアや一誠たち新入りが膝まづくが、サーゼクス・ルシファーは苦笑しながら軽く手を挙げる。

 

「くつろいでくれたまえ。今日はプライベートで来ているし、見ているうるさい貴族もいないしね。と、その前に―」

 

 と、そこでサーゼクス・ルシファーが俺の方に向き直った。

 

 ……蒼穹天の剛腕(ストラトスルーラー・ボルト)を展開したいんだが、このタイミングだといろんな意味でまずい。

 

 正直生唾とか油汗が出そうだ。コカビエルの時とは違い、タイミングがあれだからちょっと戦闘モードじゃないし。

 

 俺が内心で困っていると、サーゼクス・ルシファーはにこやかな表情のまま、軽く頭を下げた。

 

「結果的にとはいえ、リアス達を助けてくれてありがとう、旗本錬一君。後で他のジュリエット第三班にも私が礼を言っていたと伝えてくれると嬉しい」

 

「え、あ、どうしたしまし……て?」

 

 まさかお礼を言われるとは。

 

 どうやらこの魔王、人が良すぎるレベルで人がいいらしい。

 

 ある意味政治家に向いてないな。意外と苦労しているかもしれん。

 

「……あ、プリンいります? 余分に作ってなかったんで、そちらのメイドさんの分は用意できないですけど」

 

 いや、俺は何を言っている。

 

 混乱してるな俺も。フレンドリーすぎる魔王の対応に、どう対応していいのかよく分からん。

 

 そんな俺の反応に、サーゼクス・ルシファーは苦笑しながら首を振る。

 

「いやいや、サプライズで来て困らせているのに、人のお菓子をとるほど意地は悪くないさ」

 

「その通りです。それに私はサーゼクス様のメイドですので、このような場でお気遣いはしなくても構いません」

 

 そ、そうですか。

 

 ……プリンは後で食べよう。

 

 俺がプリンを戻すと、サーゼクス・ルシファーは苦笑を浮かべて、アザゼルが悪魔稼業の報酬として渡したと思える置物を見る。

 

「アザゼルは悪戯好きだが、コカビエルのような早まった真似はしないさ。その高級品も、チップと迷惑料を兼ねたつもりなんだろう」

 

 そう言うと、サーゼクス・ルシファーは俺たちを見渡してこう告げる。

 

「さて、ちょっとしたサプライズではあるが、公務も兼ねてこちらに来ていてね。ちょうどいいから、旗本君にも伝えておこう」

 

 ………俺とリアス・グレモリー眷属に対して、同時に言うべき内容?

 

 何かと思った俺は、ちょっと腹をくくる。

 

 なんか、壮大に嫌な予感がする。

 

「実は三大勢力の会談をこの駒王学園で行おうという話になっていてね。おそらくミカエルたちが連絡するだろうが、君たちジュリエット部隊第三班にも出てもらうことになるだろう」

 

 うっわぁ……。

 

 暗部が公式の会談に参加とか、大事じゃねえか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 まさか、会談とは別の意味で大事になるとは、流石に俺もこの時は思っていなかった。

 

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