きゅっきゅふきふき☆きらぴかりん♪ ハイスクールD×D異聞~外宇宙文明を添えて 作:グレン×グレン
エグゾールの存在は大きな影響力を常に与えている。
優れた馬力を持つ人型重機であるが故に、真っ先に技術的先進国が警戒したのは、スクーターや軽自動車などの個人で使用する乗用車業界や、工事などの重機業界に対する大打撃である。
結果としてこれに関しては、人型という柔軟性に特化した構造ゆえの自走速度の半端さと全体的なサイズの拡張と各種特化型重機の優秀さでさほどのことはなかった。第三世界への輸出方面においても、エグゾールの年間供給数が二百万足らずであるため、各メーカーを合計すれば数千万を超える製造数に届かないこともあって、ダメージは受けたが想定を大きく下回っているといってもいい。
しかし、それゆえに世界列強が油断したことは否定できない。弱小側も狙っていたわけではない。
しかしその可能性を見出した者が、弱小側をたきつけた可能性は極めて高い。
人間を二回りほど大きくし、人体をはるかに超える頑丈さと強靭さを持つ、人体に近いフレーム。
なまじ軍事用ロボットの研究が進んでいた先進国は、それゆえに「人型ロボットの兵器利用」を軽視してしまっていた。
軍事兵器という「金のかかる事業」の経験者こそ、それゆえに「人型ロボットの兵器利用」は、コストパフォーマンスに釣り合わないと考えてしまっていたのだ。
真剣にそのあたりを考察した作品において「直接戦闘で現行兵器を打倒できるものではなく、高さも一般的なロボットアニメよりはるかに小型」という作品が出ていることもそれに拍車をかけたのだろう。
人型というものは柔軟性に長ける代わりに強靭さでは獣より劣っており、現行文明の兵器や技術などが人型ではないのは「特定分野において人型を圧倒できる」からにほかならない。
それゆえに軍での採用を考慮しているものであっても、基本としては「工兵の発展」などにとどまっていた。
だが、それが誤りであることを知るのは比較的早い部類であった。
人型という人類とほぼ同じ骨格構造が、思考操作による操縦性が、そして何より中古のピックアップトラック程度の予算で手に入るということが、どれだけ危険であるか。
それの痛感こそが、世界を大きく変えることになる。
その自衛官にとって、この状況は想定外の連続だった。
きっかけは同僚たちとの飲み会でのバカ騒ぎ。
まさかドラグ・ソボールの空孫悟の真似をしたら、居酒屋の壁を粉砕することになるなんてと今でも思っている。
結果としてなぜか陰陽師や巫女皆体な者たちが幕僚と肩を並べている光景を目にすることになり、そしてあれよあれよと転属命令。
その結果として、自衛隊の裏部隊………それも「神や妖怪がらみの騒ぎにおいて活動する部隊」に配属されるなどとは思ってもみなかった。
この世に神が実在するかどうかは「まあ神頼みぐらいはするし、いてもおかしくないよなぁ」ぐらいの認識だったが、大半の神話宗教の存在は本当におり、鎖国と冷戦を足して二で割ったようなにらみ合いになっていると知ったときは驚きだ。悪魔に至っては後天的になれるとか、どこのなろう小説だよと思わず突っ込んで「だろうな」と苦笑交じりで同情されたことも覚えている。
そして悪魔になった者や、後天的先天的にかかわらない吸血鬼など、人に危害を加える異形がいることについてはスルー出来た。
人間だって戦争もするし犯罪もするしテロもする。連続での情報の打撃に感覚がマヒしていたこともあり、彼はそれを「個人や集団にそういうのがいる」と認識しても「種族全体がテロ国家じみている」などとは思っていなかった。
そんなわかりやすい世界でないことなど、この調子だと生きている間にテロリストと殺し合いをするかもしれないなどと不安に思って考えた身としては当然だ。そんなわかりやすく種族=一つの思想なんて理屈があるのなら、人類はもうちょっと平和に生きているだろう。
神器という聖書の神が人に与える力が、時として暴走を懸念して人を殺す理由になると知ったときは多少憤慨したが、それで異形に戦争を起こすなど論外だろう。
なので悪魔や堕天使と共闘することもあったし、そういった時はいろいろ興味があったので話をしてみたこともある。
あからさまにこちらを見下す者もいるが、よほどしつこくなければちゃんと対応する者たちも数多い。中にはこちらと話が合う貴族もいて、リベラルから保守的なものまでいろいろなタイプがいる、肉体性能以外は人間とさほど変わらないメンタリティだとよくわかった。
だが、命がけの任務であることに変わりはない。
自衛隊は実戦経験をなかなか積まないが、自分の部署は割と危険な仕事だ。奇跡的に入院することすらないのが彼だったが、同僚が戦死したという経験は多少ある。
だからこそ、丁度三年目、二等陸曹として分隊長を任されていることもあり、今回の任務でも恐怖心を少し覚えていた。
命がけの戦いを仕事とするのなら、少しぐらいビビリでちょうどいい。いざという時腹をくくることができるのなら、無謀と区別がつきにくい勇敢さより、慎重さと似ている臆病さは長生きには向いている。何人もの部下の命を預かるならなおさらだ。腹をくくらなければ巻き込むことも見捨てることもできないぐらいが、職業意識と人倫のバランスを取りやすい。
だから、油断はしていなかった。
「クリスマスを祝い初詣に行くいい加減な信仰は神に対する冒涜である」とする過激派宗教団体。これが本当に日本の神に仕えており、更に武装勢力と化しているのは見過ごす余地などないし、警戒必須ではある。
八百万の神には多くの「神として祀り上げる代わりに厄をもたらさないようにしてもらう」という形の存在がいることは、本格的に異形とかかわるようになってから知ったことだ。菅原道真の名前は知っていたがし受験前に拝みに行ったが、もともとは非業の死がらみでめちゃくちゃ祟っていたとかは知らなかった。
そちらに関しては五代宗家という専門家が担当しており、更にキリスト教徒が被害にあったことから、バチカン法王庁からエクソシストまでもが来ているらしい。
どうもこういう「ちょっと堂々とできない」類担当の、いわゆる暗部らしい。世界的に見て宗教的に
表の人間社会より実力主義らしい。子どもの権利条約とかにこだわってるやつが見たら、大騒ぎになりそうだなぁと一瞬思ったので覚えている。
だが、それだけ裏の世界は強大だ。
最下層でも戦闘訓練を受けているのなら、テクニカル程度の戦闘能力はある、普通科なら一個分隊で仕掛けても犠牲者が出るどころか全滅の可能性もあるし、一対一で打倒できるのは身体能力・戦闘技術・仙術立案能力のすべてを高水準で保有するものが、事前に準備をするぐらい必要だろう。
なにせ素質を見込まれて悪魔になったばかりの文系ですら、本領発揮の夜間なら陸上の地方予選程度なら好成績をたたき出せるような身体能力を出せるのだ。本格的な戦闘担当ならどうなるかなどお察しの通り。
あくまで補佐であるとはいえ危険であり、だからこそ新しく配属された新入りに意識を向けていた。
いたのだが―
「……びっくりしたぜ。自衛隊か」
と、在日米軍兵が銃口を下ろそうとしたので、彼はM4A1をつかんでそれを諫める。
「やめとけ。いつでもフルオートでぶっ放せるように構えてろ。それでようやく異形との戦闘で足止めできるんだからな」
そう言いながら、彼はその米軍兵と引き連れている兵士たちを見る。
味方にあって思わず気が緩むほどの消耗なのは見えている。どうも複数の分隊があつまって形だけでも整えたその分隊は、然し一個分隊にしても数が少なかった。
常にだれかが気を張って警戒するようにしつつ、然しほかの者たちが少しでも精神的な消耗を回復できるようにしていた自分達とは違い、反応から言って信徒警戒のために呼ばれた異形経験の浅い者たちなのだろう。負傷の度合いも消耗の度合いも、全員無事で分隊を維持している自分達よりはるかに重い。
「いいか。俺たちの装備で異形をワンパンできるとすりゃ、オタクの対戦車担当が持ってるその
部下に改めて言い含めることもかねて、彼は米軍兵士たちにそう告げる。
どこかの現代ファンタジー作品で「魔術師はアメコミの敵ぐらいだから、マシンガンやミサイルがあれば十分殺せる」なんてあった。
だが現実の異形はそう甘くない。そんなレベルでどうにかできるのは雑兵程度。戦闘能力のスケールが違う。
「今回の敵は八百万の神でそれも武闘派。核シェルター級のディフェンスと
具体的に軍事的な物差しでそういうが、どうも若干反応が悪い。
核でもぶち込めば倒せるだろう。そんな甘い観測を吹き飛ばすため、彼はあえてはっきりという。
「異形の世界じゃ、放射線も出さずにツァーリ・ボンバクラスの破壊ができて初めて最上級悪魔クラスだ。八百万の神々は聖書の神様よりはるかに格下だが、武闘派ならそれぐらいはできるって考えとけ」
その言葉に戦慄する者たちをあえて無視し、彼は視線を周囲に向ける。
宗教団体が根城にしていた過疎状態だった村。神の加護をそれとなく与えることで発達を促し、小規模の企業城下町じみた体制を整えられていたことから、それとなく戦力は集められていた。
どうも信者に在日米軍が殺されたとかで、聖書関連に縁深い者たちを入れることで教会と五代宗家の共闘を促す目的もあってこうなった。だが、少々見積もりが甘かったといえるだろう。
あくまで戦闘は五代宗家や教会暗部の精鋭が担当し、自分達は信徒を逃がさないための露払いが基本だった。
本格的な戦闘要員なら、それこそ人間型に圧縮された軍用兵器クラス。それも攻撃ヘリと戦車のいいとこどりじみた奴がごろごろいる。対戦車兵器抜きで戦闘を行うのは困難だ。
生身の人間でも戦闘用魔法を習得していればそのレベルを警戒する必要がある。少なくとも民生品に車載兵器を乗っけたぐらいの難易度を想定していたが、どうやら甘かったらしい。
そして何が甘かったかと言えば、それは異形側の力ではなく―
「……ファッ〇。まさか、エグゾールがあそこまでできるだなんてな……っ」
「そこについては同感だ」
米国兵の一人の愚痴には同意するしかない。
今回の最大の想定外が何かといわれれば、まさにこれだろう。
異星人によりもたらされる人型重機エグゾール。コレの軍事転用が最近騒がしかったのはよく知っている。
人型ゆえに不整地走破性が高く、それゆえに密林や山岳地帯での優位性は地球技術より上だった。
しかも操縦性が破格であったこともあり、近年山岳地帯や密林地帯でのゲリラとの戦いで被害が大きいことは知っていた。あと、第三社会では市街地でのゲリラ戦で戦車や攻撃ヘリが撃墜されたという話も聞いている。
……それを、木々の生い茂る山地を主体とし、基本的に人口が都市部に密集している日本で起きる可能性を警戒するなということが間違いだったが……。
「……建築物を飛び跳ねて移動して山なりに爆弾を投げてくるとか、反則ですよね」
「二階建てレベルの家を間に挟むからな。命中精度が低いから、何とかこっちはけが人で済んでるけどよ」
自分の分隊員もそう吐き捨てるぐらいには、面倒なことになっていた」
「エグゾールの市街地戦闘は、
そう漏らす米軍の分隊支援火器手は、劣化したと思われるバレルを交換しながら、思わず上を見上げる。
「……手投げ弾満載でよく屋根の上とか走れるよな。
「……災害大国日本だからな。海外と違ってビルの爆破解体が難しいって聞くし、最適な環境だな」
と、建築業者社長の三男坊といっていた、こちら側の射撃班長が遠い目をする。
よもや都市ゲリラのエグゾール乗りにとって、この国が天国のような環境だとは思っていなかった。
「生きて帰れたら、
「いいね。
そうジョークを叩きあうと、全員が頷きあって顔を見合わせる。
「……いま、陸自はこっち側が手薄になってる。増援には時間がかかるが、そっちはどうだ?」
「喜べジャパニーズ。
米国分隊長の言葉は理にかなっている。
エグゾールの最大の優位性は安さ及び立体機動力にあるといってもいい。
こと直接戦闘するにあたって、人型の柔軟性とロッククライミングやパルクールの複合による立体軌道は脅威だ。
基本的に思考操縦なので、自分の体を鍛える必要がある直接活動よりはるかにスムーズかつ無茶のある運用ができる。くわえて割と軽量なのでSASUKEのような真似をして、ビルの隙間に入って手足を使って登り、その後はビルとビルの間を飛び跳ねて移動してあらゆるところから攻撃を行うのがエグゾール・テロの基本戦術だ。
戦車相手なら上面装甲に爆弾を放り投げる、ヘリ相手ならコンクリートジャングルを利用して、相手を翻弄して爆弾を叩きつける。
だからこそ、どの敵が相手でもいえることだが「相手の土俵に乗ってはならない」のだ。
エグゾールが戦車や攻撃ヘリの土俵に乗ったら圧倒される性能しかないように、戦車もヘリもエグゾールの土俵に対応できる機能がない。人型でないことは、特化した性能を発揮することはできてもそれ以外には脆弱になる。ゆえに長所を押し付けなければいけない。
だからこそ、コストパフォーマンスに目をつむって対応する。戦車と攻撃ヘリでフォーメーションを汲みこちらの土俵に近寄らせないようにしつつ、歩兵部隊でその穴を埋めることで圧殺する。
ゆえに、全員がその案に賛成して米軍部隊と合流を図る。
慎重に警戒しつつ、少しずつ聞こえる音に近づく。
そして一個小隊規模の歩兵と、それぞれ二機ずつカバーに入っている戦車とヘリを見た時、一瞬だけだが気がわずかに緩んだ。
部下や米国兵はなおさらだろうが、それに引っ張られずに警戒心を取り戻したのは評価されるべきだろう。
何が起きるかわからないからこそ、せめて確実に入りきると思えるまでは油断しない。
だからこそ、その
……戦慄が走ったのは、当然だった。
「……ヘリも戦車も逃げろ! 穴を突かれてる!!」
思わず声を張り上げ、しかしそれは装甲を超えることはなく、だからこそ決定的だった。
ビルとビルの間のそれ又中間地点から放たれるロケット弾が、戦車とヘリにあたり両者ともに戦闘不能になる。
ヘリは奇跡的に不時着ですみ、戦車も搭乗員に致命傷が入るところには当たらなかったが、然しこれによる巨大な兵器はすべてが歩兵の動きを妨げる障害物になる。
そしてそれは、一回り大きい体格とはるかに上回る馬力を持つエグゾールからすれば、的確に障害物にできる状態だった。
「……は? オイ待て、あの位置からどうやってエグゾールが―」
思考停止寸前になる米軍兵を責めることはできないだろう。
だからこそ、彼はそれを即座に伝えることで我に返らせる。
「ラぺリングだ! あいつら、ワイヤーを事前に設置してこっちを待ち伏せてやがった!」
そしてその言葉の通り、エグゾールが九体ほどビルの隙間から飛び出して着地する。
最低限の布やフレームで全体を包み、使い捨ての歩兵用ロケットランチャーを投げ捨てたエグゾールは、汎用機関銃と回転弾倉型のグレネードランチャーを組み合わせた銃をもって、完全に歩兵たちを包囲していた。
それに対して、彼は呆然とする分隊や米軍兵から離れつつ、手榴弾を取り出す。
幸い相手はこちらに気づいてない。安全装置などを利用して何個も同時に用意し、一斉に投げつけて連鎖爆発されれば、不時着したヘリに隠れている三機は無力化できる。
その隙をついてぎりぎり無事なエイブラムスの重機関銃や対戦車兵器で仕掛ければ、勝機はある。
この指揮ではうまくいかないとわかっているが、然しこのままでは全滅する。
なので持っている手榴弾すべてを取り出して床に置きつつ、自分の移動に気づいた部下をハンドサインで静止しようとし―
「……落ち着いてください」
その少女の声に、彼は思わず振り返った。
とっさにけん銃を引き抜いてしまったのは、さすがに想定外だったからか。
それをうまく抑え込みつつ、薄い金髪の少女が、苦笑を浮かべつつも視線をエグゾールに向けていた。
「カバーが遅れて申し訳ありません。教会から派遣されたジュリエット第三班班長の、
「……だがどうする? あの連中、あいつらをなぶり殺しにする気満々だぞ?」
完璧にテンションが上がり切って狂暴化している信徒達を放っておけば、今威圧されて動くに動けない米国兵士たちが殺される。
だが、その言葉に対してアメリアという少女は微笑みをうかべた。
「大丈夫、今から対神戦力が割って入ります。この地区はそれで制圧できますよ」
………あ、相手死んだな。
そんな同情心すら浮かんだその瞬間―
「……えい」
横から時速120kmは余裕で超える速度で
「よし、あとは俺に任せろ」
さらに四方八方から飛んできたブーメランのようなブレードが、残ったエグゾールの手足を切り落とす。
―ほんと、俺の盛ってる異能よりはるかに強いのがごろごろあるから、異形社会は魔境なんだよなぁ。
思わず苦笑いを浮かべる彼の横で、少女が銃を構えて前に出る。
エグゾールから這い出た信徒たちは拳銃で抵抗の意思を示すが、その瞬間に子供ぐらいの身長の人型が襲い掛かり、一人につき二体がかりで組み付いて取り押さえた。
その鋼でできた
「こちらジュリエット第三班。敵エグゾール部隊の無力化に成功。米軍戦車二台とアパッチ・ロングボウ二機が中破しているため、負傷者多数と思われます。衛生兵及び、可能ならばバチカン増援組のディートヘルムさんを連れてきてください」
その光景を見ながら、彼はこうも思った。
年長者として、せめて命がけで頑張ってるこの子供たちの力になれるぐらいには、頑張らないとな。
これが、教会暗部組織プルガトリオ機関の日本主体部隊であるジュリエット部隊。その第三班の初めての対エグゾール戦闘であり、
その三人が高校生としてDの交わる戦いに巻き込まれる、その直前の任務である。
最近、人型兵器って可能な限り小型にすることこそが現実で活用される最低条件ではないかって思う今日この頃。皆様いかがお過ごしでしょうか?
軍事的にも強化外骨格は割と真剣に考えられているとのことですし、歩兵の上位担当としての立ち位置が最も実現可能なんだろうなぁと、OBSOLETEを見ていると本当に思います。
それはそれとして、チョイ役としてのみ登場した主人公たち。これはもうプロローグといっていい物なんだろうかとふと思ったりしましたが、まあいろいろとタグ入力の試験とかもやったりしているのでいいだろうかと思っております。
この後簡易的な資料集を投降したうえで、本格的に第一章が始まる形になります。