きゅっきゅふきふき☆きらぴかりん♪ ハイスクールD×D異聞~外宇宙文明を添えて 作:グレン×グレン
まあそんなこんなで、七月後半という学生でいう夏休み突入。
そして俺達は冥界にやってくることになったわけだ。
とはいえ、リアス・グレモリー眷属は城に直行だが、アザゼル先生直属の部隊として再編された俺達ローズ・セイバーは、先生についていく感じで、現魔王政府の会議関係についていくことになった。
まあ当然だが、俺達自身は会議には参加しない。外で待機という感じだ。
もちろん護衛は近くに待機する必要はあるが、護衛部隊を全員会議室に投入するようなことはない。
俺達も教会側出向なので、更にその辺りもあって外側待機だ。内部で護衛をしているのは、龍華姉さんと麗華姉さんだな。
と、いうわけで―
「結局、お前もこっち側になるかぁ。そういえばアメリアは?」
「ん。天界側で手続きをしてから、別ルートだって」
と、施設内の喫茶スペースで、俺はローズ・セイバー新入りになる珊瑚と駄弁っていた。
結局、珊瑚もローズ・セイバー出向ということになった。
まあアメリアと一緒にいたいからこそプルガトリオ機関にいる以上、どっちに転んでもリアス・グレモリーと肩を並べる部隊の一員になるアメリアとは一緒になれる。その辺りは結構フランクになるようなメンツで構成するそうだし、そこも考えるとこうなるだろう。付き合いで信仰している悪魔や堕天使の因子持ちってのば微妙だし、だからこそ祈って頭痛を感じる環境から解放したいという意見もあるだろうし、まあその辺も色々あったということだろう。
しかしまあ、生きている間に冥界に行くことになるとはなぁ。
俺は見慣れない紫色の空を、窓越しに眺めながら少し息を吐く。
喫茶スペースとはいえ、悪魔社会は貴族社会。その直属の護衛も当然それなりな立ち位置と見られるからか、個々の喫茶スペースは豆から拘っているようだ。
ミルクも砂糖も高級品。喫茶メニューもランチメニューもかなり美味しい。珊瑚がメニュー制覇を目論んだが、そういう店じゃないんで説得はきちんとしている。
俺は砂糖をどこで仕入れているか聞きたかったが、その辺は我慢。あとでリアス部長に頼んで調べてもらおう。……俺が買える値段かどうかはちょっと心配だが。
とはいえ、和平を結んだ直後ってこともあり、会議は結構時間が掛かってるな。
普通会議って、始まる前の時間で大まかな流れが決まっているはずなんだが。一時間もオーバーするとか、結構トラブってるのか?
姉さん達が疲れてるだろうなぁと思い、俺はどうしたものかと考える。
麗華姉さんは一般市民生活がらか、コーヒーはインスタントで十分なタイプだ。缶コーヒーも適当に選ぶ。
龍華姉さんは道場出身なこともあって、茶道の心得もあるからブラック派だ。缶コーヒーも無糖ブラックがないならジュースとかにしてる。
珊瑚は味覚も子供っぽい為、砂糖もミルクも入れる。そもそもブラックコーヒー文化は日本中心の少数派側で、こと日本は茶道文化の影響で最多勢力だ。逆に世界的に流行とかして言ってはいるが、砂糖もミルクも入れるのが普通なので、これは問題なし。
アメリアは龍華姉さんと同様にあまり拘りがな。これは浮浪児時代の影響で砂糖やミルクなしの苦いのも平気……というか、浮浪児仲間優先で自分は敬遠されやすいのを自発的に取ってた影響もある。ついでに言うと紅茶派で、そっちは砂糖少なめのミルクティー派だ。
俺も日本人出身だが、子供だったこともあってミルクは入れてるのが引っ張られてるな。砂糖にはあまり拘りはないが、まあ甘味を食べるから甘さ控えめの方が個人的には嬉しいな。
まあそれはともかく。
「……色々あって付き合わされるのも面倒だな。予定なら、明日はイッセー達若手悪魔が会合……か」
さて、悪魔というのも結構色々いるというのが、俺の感想だ。
リアス・グレモリーは人間でも中々いない善良さを持っている。王族出身ともいえるから我が儘なところはあるが、必要な相手にはきちんと回りと歩調を合わせられるタイプだ。
だが、それだけというわけでは断じてない。
典型的な貴族主義で、悪魔という種族そのものを絶対とするタイプももちろんいる。人間を見下し、転生悪魔を自分の奴隷のように扱っているタイプも、確かに存在している。
その辺りも含めて、大抵の国家と異形勢力はそれなりの折り合いをつけている。中にはもちろんその関係に不満を持っている者はいるが、それは悪魔の中にも当然いるだろう。
旧魔王派が
それを踏まえると、今後の展開も色々と面倒になりそうだ。
なんたって、
あいつらからすればむしろ歓迎するべきことなので、本当に無秩序にばらまいているのが面倒を加速させている。
「なあ珊瑚。イッセー達、大丈夫か気になるな」
「……ん。気になる」
もふもふとケーキを食べながら、珊瑚ははっきり言った。
「王族の末裔のお茶菓子、美味しそう」
「いや、出される食い物の話じゃ無くてな?」
……ま、いいか。
「お、錬一君じゃん! 君も護衛ってのはいいね、一緒にケーキのレシピを想像してみないかい?」
「……ってデュリオ? ……ああ、天界側も会議に参加してたな」
……思わぬメル友との再会も込みで、これは俺で充実した時間を過ごすことになった。
アザゼルSide
ったく。会議はまだまだかかりそうだな。
一応、会議の大間中プロット的なものは出来てたんだよ。
だからまあ、今回は紛糾することなくスムーズに済むかと思ったんだが……甘かった。
会議のちょっと前に情報を集めていた連中が更なるヤバい情報を掴んできたこともあって、俺達は会議が更に長くなることを覚悟することになった。
「ホント、めんどくさくて嫌になるよねぇ。でも、ここでめんどくさいことを終わらせとかないと更にめんどくさいことになりそうだから、続けるよー」
そんなことを言うのは、現アスモデウスのファルビウムだ。
自他共に認めるめんどくさがりで有名だが、だからこそめんどくさいことをしない為に努力できる性分でもある。具体的に言えば「夏休み初日に、夏休みの宿題を全部終わらせるタイプ」だ。
そんな奴だから、転生悪魔制度が導入されてからは優秀な眷属をとにかく探し出した。そして基本的にそいつらに仕事をさせている。
そんな奴が自分から仕事をし始めるなんぞ、もうそれだけで重要だってわけだ。
そんでもって、まさにそういう事態だってのが頭痛くなる展開だな。
……そういや、イッセー達は宿題をどれぐらいやったのかねぇ。
思わずちょっと現実逃避しながら、俺は資料をもう一度見直す。
「……確認できる裏ルートでの地下資源の類が一気に数倍にまで上昇。更に世界各地で内乱が頻発し、その戦力も明らかに異常の領域……か」
「加えて、エグゾール用の強化ユニットも世界的に流通されています。これによる戦略的脅威度は明らかに問題でしょう」
俺とミカエルがぼやくのも当然ってレベルだな。
まず、駒王会談で出て
その流通量が大幅に跳ね上がった。具体的にいや、もう昨年度の確認された量を二割ぐらい上回っている。
ま、ここに関してはそこまで慌てることでもねえ。
「……まあ、この辺は今までに開拓した流通ルートを利用して、本格的に資金獲得を目論んでるってことだと思うのよ。問題は、そっちじゃないのよねぇ」
セラフォルーがため息をついた通りのことが問題だ。
なんたって、世界各地での武装蜂起や内乱は明らかにヤバいレベルだ。
いわゆるテクニカル・エグゾールは確かに脅威だが、決して無敵の兵器じゃない。
絶大なコスパや不整地走破性に柔軟性は確かに世界最強の兵器になるだろうが、決して無敵にはなりえない。だからこそ、歩兵は軍隊の最重要であってもすべてをカバーしてるわけじゃないんだからな。
例えば戦車。こちらは広い平原や砂漠で戦うなら、きちんと対応すれば十倍以上のエグゾールをどうにかできる。
ぶっちゃけエグゾールに取り付けられる装甲じゃ、キャニスター弾頭でも余裕でぶち抜ける。獲物の射程距離なら尚更って奴だ。
例えば航空機。それも爆撃機とか攻撃機の類でも優勢だ。
絨毯爆撃なら一掃できるだろう。ぶっちゃけ対物ライフルでも撃破できる兵器なんて、航空機の二十ミリはある機関砲なら余裕も余裕。
ま、それも全部「費用対効果が悪い」という点を除けばだがな。
だからこそ、どの国でもエグゾールの採用が求められている。需要が供給を大きく上回り始めているが、これに関してフォリナードも本腰を入れている感じだ。
エグゾールの供給量が明らかに増えている。これまでは確認できているだけでも一日一万八千機を超えた。
俺達は今年の平均提供数を一日一万三千程度と見ていたが、この時点でそれを大きく超えている。
その結果エグゾールテロも頻発化しているが、それ以上に他の軍事面においても改良が進んでいる。
人型ゆえの限界があるからこそ、対エグゾールでは手数が重要だ。対物ライフル程度の火力があれば撃破できる以上、COIN機でも無双する余地はある。
その所為か、高性能化より弾幕を張れる余地を作った仕様の開発が進んでる。今のところは既存兵器の転用だったり、自走式対空砲から対地に不必要な機能を削除したモデルとかだが、まあこれはいい。
しっかし、ここに来て更に問題が増えた感じだ。
「……世界各地の軍需産業に、匿名の寄付が行われたそうだよ。「これで世界を磨いてください」と書かれた紙と共に、一社につき100憶ドルと、
「……その上、世界各地の反乱軍では同型の兵器が大量にプレゼントだろ? マッチポンプ過ぎて引くっての」
ファルビウムに頷きながら、俺は本気で頬が引きつった。
そう。一番厄介なのは奴さんの滅茶苦茶なプレゼントっぷりだ。
世界各地の武装蜂起した連中は、どいつもこいつも第三世界の軍隊レベルの兵器で武装してやがる。
例えば陸戦兵器なら、120mm口径の滑空砲を仕込んだ戦車仕様と、35mm機関砲二門を仕込んだ対空砲使用の砲塔を切り替えられる、不整地で時速60kmは出せるキャタピラ付きの車体。
更にそれとは別に、20mm砲弾の直撃に耐える重装甲と不整地で時速60kmは出せる走力を持った重装甲のキャタピラ車両が多数。これまた歩兵一個分隊やら通信設備やらある程度の使用変更が簡単にできるようになっており、砲塔もいくつかの仕様で多目的に対応できる代物だ。
更にジェット戦闘機まで完全配備。質の悪いことに、基本性能こそ控えめだがステルス機能をしっかり仕込んでやがる奇襲特化型だ。
更に気づいたら滑走路や防空設備が満載。結局企画倒れになったイージス・アショアじみた防空設備を仕込んだ拠点までもが建設されるという素敵仕様。
そんな拠点付きまでセットの状態で、先進国・第三世界を問わず、約五十か国で二百以上の反政府組織が宣戦布告。世界各国はとても苦労してる。
………絶対楽土創生軍だ。間違いなく断言できる。
「あれだ。
賭けてもいい。そんな感じでやらかしやがった。
真面目に言うと気がめいりそうなので茶化して言うと、ファルビウムも納得なのか、突如出てきた連絡用の魔方陣に視線を向けながら頷いた。
「そうだろうねぇ。しかも、世界各地で野生動物をアラヤル化したものと思われるモンスターの出現報告が相次いでるし。……あ、日本の都心にイノシシベースが三匹現れて大変だって、五大宗家から救援要請が来たよ」
あの鎖国的な五大宗家が、かなり早いタイミングで
いくら朱雀が俺達に好意的でも、上の老人共は少しは躊躇するはず。それすらできないぐらい忙しいってわけだ。
「加えて、彼らが使用している術式にはアースガルズやオリュンポスに由来する術式の素養も含まれていました。ロキやハーデスがこちらを擁護したのも、その辺りが理由だと思われますね」
「なるほど。自分達の内部に内通者がいることが濃厚なので、三大勢力と共に突き上げを食らうより、三大勢力と共に「自分達も被害者」という印象操作を目論んだのか」
「狡猾……と言いたいところですが、その程度はどの勢力でもやるでしょうね。
ミカエルからの情報で、サーゼクスやウチのシェムハザがそう判断する。
……ま、この調子なら他の勢力にもシンパはいそうだな。
なにせ能力の肝が普遍的無意識との接続だ。人材発掘やスカウトにおいて、今までの神滅具とは比べ物になりゃしねえ。何時ヘッドハンティングを受けているか判別が困難だし、そもそも寝てる間にできるってらしいじゃねえか。
しかも思想は極端だが、同時に滅茶苦茶やってるから、注目を集めやすい。
……異形社会は鎖国的な連中が多いからな。その辺で閉塞感を感じてる連中とかが、一気に集まりそうな状況は揃ってやがる。
下手に鎖国を続けたりすれば、その分更に入る奴が増えて後々突かれる。
その辺りが想像できる勢力なら、さっさと和平を結んだ方が得だと判断するだろう。
上手く援助にとどめることができれば、火中の栗は三大勢力に拾わせることができる。更に三大勢力を擁護する側に回れば、自分達から参加者が出ても同じように擁護される余地がある。なにより、三大勢力に続いて和平を結ぶという新しい道は、楽土創生軍に惹かれそうな連中の閉塞感を打破するだろうしな。
……ま、トップがバカだったりする場合も多いから、その辺りが上手くいくとは限らないがな。
「……その辺りも考えれば、この和平を機に一気に変えるべきところを変えたいのが実情だ。変化と刺激を求める者達を楽土解放軍に入れさせない為には、我々の側が変化していくのが一番だろう」
サーゼクスはそう言うが、俺はその辺に関しちゃ否定的に行きたいところだ。
「つっても、そっちの老害や教会のお堅い信徒からすりゃ和平の方が不満だろ? 下手に変えまくると、その辺りが後ろから爆発するんじゃねえか?」
実際のところ、その辺りも危険っちゃぁ危険なんだよなぁ。
変化を求めない連中は一定層いる。教会の連中からすれば、絶対的な悪として教えられていた悪魔や堕天使との和平は納得できないだろう。悪魔側だって、老人共の過半数は和平にも内心渋ってたろうぜ。
そういう連中からすれば、このまま一気に和平を加速させれば文句を言ったり余計なことを考える手合いもいそうだな。
……問題は、そういうことを言ってる余裕もないってことだ。
禍の団っていう巨大な敵が出てきて、そのトップは実力的にもこの世界最強の双璧が片割れだ。
対抗するには一つの勢力だけってわけにはいかないだろう。いやでも和平を結ぶ必要に迫られるはずだ。
だからこそ、その辺りをつつき間違えれば今度は後ろから刺されかねない。
まったく、マジで面倒なことになってるんだが、どうしたもんかね。
そう思ったその時、ミカエルとサーゼクスが苦笑した。
「……なのですが、そこでパトリシアから面白い提案がなされているのですよ」
「
「ん? どれどれ……」
まったく。魔王血族の信徒って立場だから、どうしても
兵藤邸大改装とか絡みか? いったい何を―
「――面白いこと考えてるな、
マジかよ。
なるほどな。確かにこれなら、新生オカルト研究部に匹敵する、新たな三大勢力和平の象徴になるってわけか。
それに、並列しているこの提案も考えたな。少なくとも、悪魔祓い共のガス抜きにはピッタリじゃねえか。
「……ちょうどいい。俺達も採用する気はなかったが、転生システムには興味があったんだよ」
いいぜ、乗ってやるぜ。
しっかり楽しませてもらおうじゃねえか。
堕天使の技術力、その目と体で満足するまで体感させてやるぜ!
とまあ、そんなわけでロキとハーデスが擁護した理由は「擁護しておかないと、後々自分達の首が締まる」からですね。
すでにアースガルズやオリュンポスに内通者がいる可能性が濃厚である以上、三大勢力を責めてから確定事項になれば「お前ら人のこと言えないだろう」と双方から突き上げを喰らいかねない。しかしここで三大勢力を確定じゃない時期に擁護しておけば、少なくとも「確定しても擁護した恩で連携はとれる」という判断ですね。
非常に忌々しいと両者ともに思っていますが、不本意極まりないがそうしておかないと「最悪他の善勢力から袋叩きに合う」という懸念をすり合わせて、最悪に備えて不快な手段を取った形です。