ボーダーにカゲさんが増えた。(番外編)   作:バナハロ

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一応、オリ主の情報と他のキャラとの関係を載せておきます。

陰山海斗(17)
二宮隊アタッカー、サイドエフェクトで「他人が自分に対して向けている感情を色によって視認できる」、バカ、ヤンキー、奢ってくれる人はみんな大好き、なんやかんやでアタッカー3位になった。

関係のあるキャラ
影浦雅人→ライバル(というより、とにかく仲が悪い)
二宮隊→同じチーム、二宮を超尊敬してる
小南桐絵→彼女
黒江双葉→弟子
三輪、出水、米屋→同じ学校の同級生
玉狛第二→元弟子
風間、弓場→敵
月見、氷見→ほぼ保護者
レイジ→奢ってもらったことあるから超尊敬してる
那須→壊した

他に絡んだ事あるのは村上、荒船、烏丸、嵐山隊、生駒、北添、絵馬、太刀川、迅、香取(こいつは一方的にいじめただけ)、忍田、ヒュース。多分こんなん。




負けん気が強いのは悪いことでは無いけど、ほどほどにね。

 ボーダー、それは異世界の侵略者を迎撃するための、私設軍事集団と言える組織。ボーダーが持つ技術は、手のひらサイズの武器一つあれば軍事基地一箇所くらいなら単騎で落とせそうな威力を誇るが、その中身は学生が半数以上を占めている。

 そんな組織の唯一の武器、トリガーを使えば、人の身体は超人とも呼べる程の力を持つ事になる。

 はてさて、そのトリガー使いの少年、陰山海斗は、自身の学校のクラスメートでありながら、同僚でもある知り合いに声をかけた。

 

「缶蹴りやらん?」

「唐突だな」

 

 現在、四人しかいない三輪隊の作戦室で、呑気な意見に三輪は引き気味に答えた。

 

「なんだよ、海斗。いきなり?」

 

 聞き返したのは、太刀川隊の射手である出水だ。

 

「いやほら、トリオン体って早い話がアメコミに出てくる超人枠なわけだし、この身体で子供の頃にやった遊びとかやったら、これまたスリルが出るんじゃねえかなって思って」

「良いじゃん、面白そうじゃね?」

「お前は少しは否定することを覚えろ……」

 

 ノリノリ賛同する米屋に、三輪はため息を吐きながら苦言を漏らす。

 

「せっかく訓練室なんてもんがあるんだから、遊ばないと損だろ」

「バカ言うな、ボーダーの訓練は遊びでは無い」

「銀魂でもやってただろ? 缶蹴りは注意力とかその辺を身につける絶好の遊びだって」

「……」

 

 それを言われて納得しかける三輪も、中々に馬鹿に毒されて来ていた。

 

「よし、じゃあ多数決で決めよう。缶蹴り、やりたい人!」

「「はい!」」

「お前ら……もう分かった……」

 

 元気よく手をあげる出水と米屋を見ては、三輪も頷くしかない。まぁ、訓練という名目があるのなら仕方ない。銀魂だけでなくとも、様々な漫画に戦闘へ応用できることが多数あるのは理解しているから。

 そんな中、海斗がふと思いついたように言った。

 

「どうせなら、五回やって最後に鬼だった奴が飯奢りとか面白いんじゃね?」

「よっしゃ、やる気出て来た」

「アホか、お前ら。賭けをしたら、それはもう特訓じゃないだろう」

「自信ないの?」

「上等だ」

 

 既に三輪もバカに染まっているようだ。

 

 ×××

 

 さて、最初の鬼はやはりジャンケンで決めるしか無い。人数が少ない鬼側が少しでも有利なように、ステージは市街地Cで、缶は一番上の層に置いてある。そこに一人、残されたのは、ジャン負けした出水公平である。隠れるまでの間、数を数えている出水の様子を割と近くの家の影に隠れた海斗、三輪、米屋はこっそりと眺めていた。

 

「ったく……なんでこうなる……お前ら、トリガーをなんだと……」

「まぁ良いじゃねえか、たまには」

「そうだぜ、三輪。何事も気を張ってるだけじゃ大成しない、たまには抜くことも覚えろ」

「年がら年中、抜きっぱなしのお前らが言うな!」

「デカい声出すんじゃねえよ! バレんだろうが⁉︎」

「お前の声の方がデカいっつーの!」

「そう言うお前の声もデッケーよ!」

「てか、なんでお前ら全員、同じとこに隠れてんだコラァッ‼︎」

 

 なんてわちゃわちゃやってる時だ。出水が顔を上げた。どうやら、数え終わったようだ。

 それを見て、海斗はヒソヒソ声になって米屋と三輪に声を掛けた。

 

「とにかく、お前ら散れよ……! 俺が最初にここに隠れたんだからな。これはチーム戦だ、やるからには勝つぞ」

「そりゃ分かってるけどよ……」

「作戦があるのか?」

「単純だ。奴が一番、缶から離れた後、三方向から集中攻撃する」

「なるほど……まぁ、確かに缶さえ蹴れば俺達の勝ちだが……」

「俺はアイビス、三輪は変化弾、米屋は旋空で、あの弾バカ諸共吹っ飛ばすぞ」

「「いやいやいやいや!」」

 

 普通に狙撃トリガーを取り出す海斗を、二人揃って慌てて引き留めた。

 

「それはダメだろ! 蹴ってねえ!」

「卑怯な真似は流石に俺も……」

「じゃあお前ら、飯奢るか?」

「よし、作戦通り行くぞ。海斗、指示を出せ。俺は西へ行く」

「じゃ、俺は南だな」

 

 とのことで、各々は動き出した。

 市街地Cは大きく分けて3つの層に分かれていて、出水がいるのは一番上の層であり、北の民家の前の道路。その並びの最東端にある民家の屋根の上で、海斗はスコープを除いていた。

 その真逆の西で、三輪はハンドガンを構え、一つ下の層にある民家の一室で、米屋は槍を構えていた。二人ともわざわざバッグワームまで羽織って。

 

『各員、配置についたか?』

『俺は平気だぜ、海斗』

『俺も問題ない』

『よし……まず、俺が狙撃する。それで決まればオーケーだが、決まらなかったら米屋と三輪は一斉に仕掛けろ。良いな?』

『『了解』』

 

 飯のためなら本気になるバカだった。特に作戦に不備はないように感じる。

 さて、まずは海斗からである。慎重に照準を缶に合わせ、息を小さく吐く。凄腕スナイパー、というわけではないが、動かない的を外す程下手でも無い。当たらなくても、威力重視のアイビスなら、近くに当たるだけで缶くらい吹っ飛ぶだろう。

 

「撃つぞ」

 

 直後、引き金を引いた。トリオン製の弾丸が吸い込まれるように空き缶へ向かっていく。

 チームメイトの、数々の狙撃を見て来た米屋と三輪は、少なからず感心した。まず、必ず当たると予感したからだ。その上で、中々、悪く無いものだったからだ。

 これは自分達の出番はない……そう予感した時だった。小さくとも分厚い透明の壁が、その狙撃を阻んだ。

 

『⁉︎』

『集中シールド⁉︎』

 

 通信先の二人が狼狽えたような声を漏らす。それと共に、スコープから出水がこちらを見て、殺気の色を放つと共にニヤリと邪悪な笑みを浮かべたのが見えた。

 

「やっぱりな、そう来ると思ったぜバーカ」

 

 直後、見惚れるほど鮮やかな動きで出水の手元で合成弾が生み出される。直進し、海斗を阻む民家や壁を何もかも薙ぎ倒して放たれる。

 

「やべっ……!」

 

 慌てて海斗は民家の屋根を切り落とし、中へ逃れてから、壁を破壊して姿を見られないように民家の外側に出た。直後、海斗がいた民家は大きく滅びる。

 だが、まだ作戦は続行している。合成弾を放ったということは、今の出水に身を守る術はない。強襲を仕掛ければ、缶を倒すことも容易だ。

 米屋と三輪が一気に突撃した。

 

「退けェ、弾バカ!」

「もう一度、鬼をやってもらうぞ!」

「誰が弾バカだ、バカども」

 

 しかし、出水の余裕は崩れない。放った弾丸が、急転換して戻って来た。まさかの変化炸裂弾だった。いや、冷静に考えればその可能性は十分にあったというに。

 

「何っ……⁉︎」

「ヤベェッ……!」

 

 反射的に二人は慌てて飛び退く。直後、出水と自分達を阻むように降り注ぎ、地面が抉れ、爆破する。その間に、出水はニヤリとほくそ笑んだまま缶を踏んだ。

 

「三輪と米屋みっけ。缶ふーんだ」

 

 ×××

 

 その後、出水の爆撃で隠れる場所を全て破壊され、海斗もあっさり見つかってしまった。

 

「くっそー……まさか、初戦から負けるとはな……」

「お前ら……というか、海斗の考えることなんかすぐ分かるっつーの」

 

 それを聞いて、三輪と米屋は海斗を睨む。その視線に、海斗は逆ギレした。

 

「なんだよその目は! お前らだって同意して作戦に参加してただろうが!」

「ちっ……確かに、冷静に考えればこのバカに全てを任せた俺のミスか」

「いやいや、秀次だけの所為じゃねえよ。俺もその辺、ちゃんと詰めなかったからな」

「お前ら喧嘩なら買うぞコラ」

 

 まぁ、お互い様と結論が出た以上は、海斗を咎める気はない。とりあえず、次のゲームである。奢りまで、まだ時間はあるのだから。

 

「で、次は誰が鬼なわけ? てかどっち?」

「そういや同時だったよな」

「一応、俺が名前をあげた順番は、三輪、米屋だったけど」

「「じゃあ三輪だな」」

「なんでだ! ……いや、まぁ良いか。あと4回やるわけだし」

 

 逆に言えば、それだけ巻き返すチャンスがある。さっさとやって、とりあえず鬼の立場から逃げたい。

 

「じゃ、数えるぞ。お前ら隠れろ」

「ん、おお」

「よし、行くぞ」

 

 そんなわけで、二回戦目を始めることになった。とはいえ、三輪としてはこのまま始めるのは如何なものか、と思う。何せ、相手には出水がいる。極端な話、爆撃して視界をくらませている間にアタッカーが詰めて来て缶を蹴ればそれで終わりだ。

 なら、こちらも手を打たなければならない。

 

「しかし、やられたものだな、陽介」

「? 何が?」

「さっきの作戦、万が一、海斗が出水の狙いに気付いていたとしても、自分だけは鬼になる事を避けていた、という風にも見えるな?」

「は?」

「「……!」」

 

 何も察していない海斗はアレだが、出水と米屋には、三輪が何を言わんとしているのかわかった。この缶蹴り、よーく考えれば、過程がどうであれ、最後に鬼だった奴が負けるのだ。

 つまり、例え味方同士であっても、途中で刺そうと思えば刺せるのだ。海斗にそんな気はなかったとしても、安全圏から誰かに突撃させることができる。

 

(クッ、あの野郎……! なんて恐ろしい手を考えやがる……!)

(こちらの結束力を緩ませる気か……その手には乗るか、と言いたい所だが……!)

((奢るくらいなら誰かを騙して奢らせた方が良い!))

 

 半端に賢い二人の意見が、心の中で重なった。そして、その視線の先にいるのは、陰山海斗だ。

 

 ×××

 

「汚ねえぞお前らああああ‼︎」

「「いえーい!」」

 

 見事に嵌められた海斗の目の前で、出水と米屋はハイタッチする。三輪はもはや、キョトンとするしかなかった。

 何が起こったか、を簡単に説明すると、今度の作戦は狙撃をやめ、海斗がレイガストのスラスターを使って囮を展開することだった。

 三輪がおそらく一番、警戒していたのは出水の爆撃。そんな中で何かがガサっと音がすれば、必ず気が逸らされる。その隙に、出水がメテオラを飛ばし、煙が舞い上がった直後にアタッカー二人が缶を押さえる。二人で真逆の方向から攻めれば、三輪の鉛弾もどちらかしか抑えられない……というもののはずだった。

 しかし、それこそ米屋と出水の罠。爆撃の後、米屋は突撃しないでバカ一人に突っ込ませた。

 当然、爆撃の最中とはいえ、その程度で慌てることのない三輪はあっさりと鉛弾を放ち、バカを一番に抑えたのだった。

 

「テメェらマジ覚えとけよ⁉︎」

「「騙される方が悪い」」

「その言葉が許される限度を超えてんだろうが!」

 

 海斗の言い分はもっともだったが、二人はどこ吹く風。むしろニヤニヤしながら「言い訳なんてほんとに男か?」と言わんばかりの表情だ。

 こうなったら、もう仕方ない。そっちがその気なら海斗もそういう手段を取るまでである。

 

「上等だお前ら。マジ次速攻で終わらせてやっかんな」

「はっ、バカ言ってんなよバカのくせに」

「こういうのはバカじゃ勝てねえんだよ」

「良いから、次の飯の出費を計算しておくことだな」

 

 そう言いつつ、各々は隠れ始めた。

 

 ×××

 

「「「お前の方が汚ねえわ‼︎」」」

 

 サイドエフェクトで何かするまでもなく終わった。これは忘れてた方が悪い。

 

「うるせーバーカ! 先に嵌めたのはお前らだろうが!」

「これはそれ以前の問題だろうが!」

「キックオフでペナルティエリアから始まるようなもんだろうが!」

「これでは賭けにならないだろ!」

「知るかバーカ! 騙された方が悪いんだろ⁉︎」

「ふざけんな! ルール変更だ!」

「今から四人で模擬戦して最初に落ちた奴が奢り!」

「「「上等だ!」」」

 

 数分後、入って来た三輪隊のオペレーター、月見蓮に四人揃って「喧嘩両成敗」と怒られるのだった。

 

 

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