事が起きてからと言うものの、幾刻か過ぎた。幻想郷の空が明るみを帯び、朝焼けが大地を照らす。所は博麗神社、この神社には1人の巫女が居た。博麗霊夢。この幻想郷に唯一無二にして、この世界の存在を確立しているといって過言ではない存在である。博麗大結界の修復作業でクタクタになって帰って来た、目の下にクマをこしらえている彼女には、ねぎらいの言葉をかける者は今はいない。何故か。単純に寝ている時間だからである。
霊夢「ふう.....。あと少し....、かしらね。」
そう一言こぼす。私の口は、何かを求めるように動いていた。そうよ、昨日から何ひとついいものを食べていない.....、ってそれが日常なのだけれど。昨日は突然空から降って来た隕石騒動で歪んでしまった結界を直す作業であまり寝れなかったし.....。というかあの隕石も間が悪いのよ、なんでよりによって宴会が終わったその直後に降ってくるのよ....。絶対月の連中の仕業よね.....、後でとっちめに行きましょう。そう心中でぼやく私にも無慈悲に、太陽の光は疲れ切った顔に日光を届ける....。まったく....おかげで眠気が覚めたわ.....。
紫「霊夢。おはよう。」
霊夢「....おはようも何も....私が寝てないのは貴女が一番知っているでしょ....。」
紫「ええ....。それより、藍から報告が入ったの。」
霊夢「....また厄介ごとかしら?」
紫「そう言わずに、聞いてちょうだい。」
そのころ、妖怪の山。紅魔館にて単独取材を終えて戻って来た射命丸文は、配下の白狼天狗である椛から捕縛者一名ありの報告を受け、早速椛が案内する場所へ向かっていた。
椛「文様、こちらです。」
文「ありがとうございます、椛。」
ガチャリとドアノブを回しギイイィという音をたてて、扉をゆっくりと開く。そこには白狼天狗複数によって監視された状態に置かれた、一人の男性の姿が。成程このお方が椛たちが発見した、不法侵入者のようですね。見るからに疲弊はしているようですが、油断をせずに取り調べをしていきましょう。.....おや。よく見れば昨日の湖で会った御仁ではありませんか。一瞬で消えたかと思えば、まさかこのような形で御会いするとは....。
文「ふむ.....。」
練也「.....なにか思うところでもあるのか?」
文「貴方には、先刻御会いしたばかりだとは思っていましたけど....。」
白狼天狗「文様?この侵入者と面識が....?」
文「いえ、面識と言うほどのものではありませんが.....。昨晩霧の湖で見かけましてね....。瞬きするうちに見えなくなってしまったのですが....。」
白狼天狗「それには異なことを申すようで恐縮ですが....。」
文「なんですか?何か他に懸案事項でも....。」
白狼天狗「....この者は妖怪の山で我々が捕縛して以降、牢にて拘束をしていました。紅魔館へ向かっていた文様と会うことは、ほぼあり得ないかと....。」
文「...むむ?」
俺は先程の会話を聞いて合点が言った。この白狼天狗と、その上司である烏天狗...。射命丸文が話している人物について、誠に遺憾ではあるが認めざるを得ない現実があると認識した。.....俺に擬態したワームも、やはりこの世界に”飛ばされてきた”のだ。