静寂の中に、潜む者がいた。藪を漕ぎながら行き着いた場所は、博麗神社のすぐそば。そこに息を潜めていたのは、鬼人正邪。博麗霊夢の近くに潜伏をすること、早数時間。博麗神社の近くには、続々と人だかりが集まり始めていた。
霊夢「いつもになく、今日はやけに賽銭が集まるわね。」
いつものドライな巫女さんの片鱗は露わにせず、快く参拝客を迎える霊夢は手に竹箒を持ち境内の掃除に勤しむ。そしてそれを終えた後に縁側へ来れば、魔理沙が煎餅を片手にのんびりと寛いでいる。
魔理沙「よー、霊夢。」
霊夢「よーって、魔理沙。それ私の煎餅なんだけど。勝手に食べないで頂戴?」
魔理沙「今はご覧の通り、賽銭が潤ってんだし。そんなケチ臭いこと言うなって〜。あとで私の採ってきたキノコ分けてやるから。」
霊夢「ちゃんと美味しいんでしょうね。」
そう話す彼女等の下に、1人の少女が現れる。この神社の狛犬、高麗野あうんだ。
あうん「霊夢さーん。あっ、魔理沙さんもいらっしゃったんですね!」
霊夢「あうんもこっちに来て休憩しなさい、疲れたでしょ?」
魔理沙「そういえば、あうんはどこ行ってたんだ?狛犬だから、神社を守らなきゃだろ?」
あうんは、博麗神社の布教活動にも献身的な働きをしており、人里にまで行っては博麗神社の宣伝などを行なっている。本来の狛犬に課せられた職務ではないが、神社の為に動き回る彼女の働きはまさに眷属の鑑であろう。その頃、博麗神社の長い階段を行き交う参拝客の中に見慣れる顔がちらほらと見受けられた。奉納能楽をやる為に荷物を背負う秦こころ、人里に住む妖怪達、そしてアリス、シャンハイ、そして擬態練也の姿も見える。擬態練也の頭の上には、相変わらずシャンハイがのんびり腰を下ろしている。
霊夢「人里からの集客はバッチリじゃない、あうん。頑張ったわね♪」
あうん「えへへ♪ありがとうございます、霊夢さん♪」
魔理沙「おっ、あいつ等も来たみたいだな!」
こころは衣装を着替える為横断幕の奥へ入っていき、ミスチーや美宵は自分が開設したブースにて準備を行う。蛮奇、小傘、響子なども足を運んで来ており、昼間っからの人妖が入り混じった大団円の様相を呈していた。
魔理沙「おーい、アリスー!練也ー!」
魔理沙が見慣れた友人の名前を呼び、それに気付いたアリスと擬態練也はゆっくりとした足取りでその場に向かう。擬態練也の上に乗ったシャンハイも、どこか楽しげだ。
アリス「いきましょ、練也♪」
擬態練也「ああ...。」