東方外来人物語、この後すぐ!
マミゾウ「せっかく面白そうだったというのに、儂の出番がまるでなかったではないか。」
博麗神社に来た時と同様、マミゾウは練也が運転するカブトエクステンダーの後部座席に腰を据え、手を彼の腰に添え心地よい風を感じていた。急を要する時とは打って変わり、ゆっくりと走る赤いボディー、けたたましい音も鳴らさずに田んぼの真ん中を2人を乗せて駆ける。せっかく出向いたのが無駄足になった、物見雄山だけになってしまったことの、なんと不本意なことか。そう愚痴をこぼす越後の大化け狸に、練也が言葉を返す。
練也「戦いたかったの?」
マミゾウ「そうじゃ。ここ最近退屈でのぉ、力を持て余しているのじゃが。お主も”変身”とやらいう、化ける力を持っている者と確認出来たのはよかったがの。」
練也「俺は貴女が化けているなんて最初は気づかずに乗せていたけど...。お互いに化けることを知れたわけだ、俺たちは。」
マミゾウ「いや。儂はもう一つわかった。一回化かされた相手を、その素性を知ったうえで再び乗せるお主は、奇特な人間だということじゃ。くくくっ。」
練也「あはは、なんだよそれ。」
笑いながら途中までマミゾウを送り、そして道中別れた後に練也はまっすぐ自分の神社へと向かう。いつも通りの、周りを杉の木に囲まれた素朴な佇まいの社、そして母屋に年季の入った納屋と宝物庫が彼を出迎えた。カブトエクステンダーを納屋に格納してから、ゆっくりと社へ向かい二礼二拍手一礼をして、母屋に足を運ぶ練也。
練也「ただいまぁ....どひゃあ!もう疲れたあ!」
玄関に入るなり、その場に尻をつく神主、佐藤練也。今日は動きたくない、そっとしておいてくれと顔に出すその様は疲弊しきっていると容易にわかる。這うようにして玄関から草鞋を脱ぎ、居間へ。座り机に上半身を机上にもたれさせて、ボーッと焦点の合わない目を虚空へやった。
練也「この世界ハード過ぎるよぉ...。気付けば弾幕が降ってきたり修行の毎日、それから飛び込みのお祓い厄除けの祈願、祝詞の写し...。更には今回の天邪鬼の捜索に奔走したと思ったら....。次はザビーに変身した、妖怪天邪鬼の登場とはな...。」
言い終える前に、誰かが玄関のインターホンを押す。居留守を使うわけにもいかないので、のそのそとその場から立ち上がり玄関の曇りガラスの向こうにあるシルエットで大まかな識別をする。訪ねてきたものはすぐにわかった。妹紅だ。
練也「妹紅?」
がらがらーっ、と音を立てて引き戸が開けられればそこには見知った蓬莱人の姿が。
妹紅「話は聞いた。天邪鬼は逃げたらしいな。」
練也「ああ....。」
ゆっくりと境内に歩いていく妹紅の後を追い、俺も足をもつれさせながら草鞋を履きつつ玄関から境内に出る。そこにいた妹紅は、酷く気が立っているようだった。