永琳「あらあら....。」
竹林の中を縦横無尽に駆けていく練也に、妹紅が放つ炎の弾幕が迫る。爆炎に巻かれ吹き飛ばされてもなお、その場で稽古が終わる気配はない。吹き飛ばされた練也の姿を見て、永琳は応急処置を施す準備をして縁側でのんびりと茶を啜っていた。隣では、優曇華も飛び散る竹の葉の燃えカスや爆炎の中を走り回る練也と、それに弾幕を浴びせる妹紅を傍観する。
優曇華「今日もやってますね、妹紅さんに練也...。ここのところ激しさを増している気が...。」
永琳「彼の問題よねぇ....。だけど....あの様子じゃ...。」
再び弾幕が彼の近くに当たって、爆発。それによりまた吹き飛ばされる姿が見えた。竹の茎に当たり、ベキベキ、ベキベキィ...!!!という凄い音を響かせ何本もの茎をへし折りながら、吹き飛んでいく。爆発の威力が凄かったのでしょう、彼の姿は私達の間近に迫り....。縁側の近くにまで擦り転がってきた。身につけていた神職が纏う狩衣からあの心地よい麻の香りはせず、使い古された雑巾のように汚れ、煤だらけになっている。破けた部分からは痛々しい火傷が顔を覗かせていた。ヨタヨタと立ちあがろうとするも、また膝から崩れるように体勢を崩してしまう。
永琳「長くは保たないでしょう...。」
もはや先程まで熾烈な弾幕を浴びせていた妹紅も攻撃を止め、小走りになって練也の下へ駆け寄ってくる。それはそうよ、これ以上は稽古とは言えない状況になってしまうわ。私も優曇華と共に練也の下へ駆け寄って、容態を確認する。爛れた皮膚、数多くの裂傷。打撲。一目で戦える状態では無いことは明らか。応急処置を施し座敷に運ぶ傍ら、妹紅も申し訳無さそうな顔を浮かべ側に付き添っていた。
練也「......。」
意識が朦朧とする...。痛みを堪えながら、表情を歪ませて歯を食いしばる。いつの間にか、こんなにも深傷を負っていたなんて....今になって気付いた。始まった当初から、凄い勢いで妹紅は弾幕を放ってきた。まじで殺される。そう思いながら放ったものは、どれも形を成していない"衝撃波"だけ。どれだけ念じようが、どれだけ意識しようが...出るのは全力の空回り...苦し紛れに弾幕を払い退ける、見えない壁だけ。一向に好転しない状況に、焦りや無力感を感じる。これが延々と繰り返される...。ふと思う....。俺は苦汁を啜りに、この世界に来たのかと。決してそんな筈はない、そんな気持ちじゃなかった筈なんだ....。なのに、なんで....。
練也「......。」
こんなにも....苦しいんだ....。