東方 外来人物語   作:佐藤練也

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第15話

白狼天狗A「そういえば....。」

 

白狼天狗B「どうした?」

 

思い出したように、取り調べ現場の撤収作業を行っていた1人の白狼天狗が口を開いた。その目線の先にあるのは、身の丈以上もある両柄に煌めく十文字の刃を持つ、槍であった。

 

白狼天狗A「尋問した男の持ち物がそこに。....届けなくてもいいのだろうか....?」

 

白狼天狗B「本人が置いていったんだ、また気付く迄そのままにしておけ...。」

 

 

 

 

瘴気の中で人形の少女を頭の上に乗せて(連れられて?)歩き、小一時間が経った。頭の上に乗っていた人形は俺の頭からフヨフヨと浮き離れていく。こちらを向いて軽く手招きをしてから、その人形は道なき道へと進んで行った。

 

 

擬態練也「....ついて来いってか....。」

 

 

ガサガサと生い茂る草木を分け入って、その人形の後へと続く。このような場所に案内するとはどういうつもりだろうか、この人形は何者なのか。疑念が晴れるのは、そのあとすぐのことだった。視界がいきなり開けた、その先に人家が見えた。洋風の邸宅、それを囲むように色鮮やかな花々が咲き並んでいる庭園。少女の人形は、そこへ俺を案内しているようだ。

 

 

上海人形「シャンハーイ。」

 

擬態練也「.....。」

 

 

何故か、今人形が待てと言っていた気がする....。浮遊したまま屋敷の中へ入って行く彼女の姿を見届ける他ない。....いや待て、何かおかしい。今とてつも無く大切なことを忘れている気がするが.....、....今は成り行きに身を任せる他あるまい...。....おや、先程の人形と共に誰か出てきたようだが....。

 

 

???「上海、いきなりどうしたの?私に急なお客人って....。」

 

上海人形「シャンハーイ♪」

 

 

道中時折呟いていた「シャンハーイ」という言葉を発してから、また俺の頭へ鎮座する人形の少女。そこは貴様の特等席か何かか...?その光景を目に入れた一人の少女も、戸惑いを隠せない様子。一番この状況を理解できていないのは俺だが.....、恐らく彼女はこの動く人形の持ち主、それが赤の他人の頭の上に乗っかるのだから驚くほかないだろう。

 

 

???「........えっ?」

 

 

 

 

練也「.....まずい....!!」

 

椛「どうしたんですか、練也さん?!」

 

 

先程俺の拳と椛さんの斬撃を浴びせて吹き飛ばしたワーム蛹体の方を見ながら、俺は苦虫をかじったような顔を浮かばせた。視界に入ったワームは、多少よろめきながらもまだ立ち上がる気力が残っていた。このまま時間が経過するのはおいしくない、それはワームにとって都合が良いからだ。それは個体の状況によって異なるが。焦りを見せ、俺はワームに向かい攻撃を仕掛ける。先程と同じように、何かを放出する感じを意識しながら俺は拳を振るった。

 

 

練也「おおっ!!」

 

 

先程と同じくめり込む拳、その時に鈍い音が辺りに響く。椛さんも攻撃の手を休めず、その刀身を煌めかせワームに斬りかかった。拳でひるんだ隙に、刀の斬撃が硬質な皮膚をなめる。それと同時に火花が散り、更に蛹体の体勢が崩れた。

 

 

「くああっ!!!」

 

「(一体練也さんの先程の言葉は....、何かあの妖怪に秘められた力でもあるというのか....。ならばここは多少の被害を覚悟で、....この妖怪を倒さなくては!)スペルカード...!行きますっ!」

 

 

椛さんが手にカードをかざすと、彼女の周囲には無数の光弾が出現。刀を用いた近接戦闘から、弾幕を使用した遠距離からの射撃戦を開始した。

 

 

練也「.....!(弾幕っ!!まずい、巻き込まれる前に!)」

 

 

どうやら彼女は本気でワームを叩き潰すらしい、その意思がこの光景から伝わって来た。早速ワームにめがけ放たれる弾幕。俺が拳を数撃放ったところで周辺に地しぶきと軽い衝撃が生じ、それに合わせて俺は間合いを切った。

 

 

椛「風神『天狗礫』!」

 

 

スペルの詠唱をすると、彼女の身体を中心として360°円形に弾幕が展開。そのままの形でワームへ向かい放たれる。著しい被害を受けている筈だが、ワームは依然としてそこから動こうとしない。地しぶき、爆炎、それらによりワームの姿が見えなくなった....。これでは状況の判断が出来ないが....、あれだけ大量の弾幕を喰らったのだ。ただでは済むまい。

 

椛「....練也さん....、先程聞いた言葉についてなのですが....。」

 

練也「(危うく巻き込まれるところだったぜ....。)....ああ。あの妖怪は、更に姿を変えるのさ....、時間が経てば経つ程それが顕著に表れ始める....。」

 

椛「.....と言うと?」

 

練也「“脱皮”するのさ...。」

 

 

次の瞬間。俺と椛さんはその場から何かに吹き飛ばされた。付近の樹木に勢いよく叩き付けられ、衝撃が身体を襲う...。何とか2人体勢を整え、正面を見ればそこに先程のワームと思われる者が居た...。

 

 

椛「.....!」

 

練也「....脱皮しやがった....!」

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