東方 外来人物語   作:佐藤練也

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第150話

私も熱くなりすぎた...ついしょっぱなから力を入れすぎたか。今の練也は八意の薬でなんとか傷は回復に向かっちゃいるけど...問題は心の方だな。歯を食いしばって痛みを耐えていた表情から、突然何かを悟り始めたような顔になり...それから力を抜いて静かに目を閉じた...。

 

くそ...。最初に楽しむように弾幕ごっこをするように教えた身だが...練也の気持ちに応えているつもりが、まさかすり減らすような感じになっていたなんて...。...嫌なら嫌と言ってくれれば...、だけどコイツは最近より一層溜め込むようなヤツだと、私はそう思えてならない。さっきの歯を食いしばっている時の顔だってそうだ。まるで情けない自分を出させまいとしているような、意固地になっているようなそんな具合だ。...無理が過ぎたな、お前も...私も...。いつの間にか今この座敷にいるのは、私と練也の2人だけになっていた。私も、...練也にもっと弾幕を楽しくやってもらいたい。どうせやるなら、楽しくが1番だ。苦痛になるくらいなら、みんな弾幕なんてやらないし...それに外来人のお前がそうそう簡単に出来ることじゃないんだよ。輝夜の野朗だって言ってただろ?一朝一夕では、出来るものじゃないって...。

 

 

ーーーー

 

 

夢のまどろみの中...俺は布団の中にいた。先程まで感じていた火傷の痛みは無い。夢の中だからか、先程までいた妹紅の姿がないし、ボロ雑巾のようになった狩衣も元通りだ。ゆっくりと起き上がり、縁側に面している障子戸をゆっくり開けた。

 

練也「誰も、いないのか...?...まあ、夢の中なら当然あり得る話か...。」

 

あっという間に、俺は眠りに誘われたというのだ。だいぶ即効性の高い薬だったのに違いない。ふと眠りに落ちる前、渡されて飲み込んだ薬を思い返してみる。黒い錠剤のような、そんな形をした物だった...。...妙に既視感を覚える。

 

 

練也「ここ...永遠亭だよな...?」

 

 

誰もいない、永琳さんも、優曇華も、輝夜も、妹紅も、てゐちゃんも...。うさぎの子一匹すら。不気味な静寂が辺りを覆う、その中で響くのは自分の立てる足音と息遣いのみ。薬品保管庫という一室に目を向けて、直感でそこの扉を開け放つ。

 

 

練也「なん...で....。」

 

 

俺は今まさに永遠亭の中にいる筈...。なのに、....なんで....。

 

"神社の宝物庫"の中に...通じる扉が?...嘘だ。たかが夢だ...!こんなものはとっとと覚ますに限る...!早く覚めろ...覚めてしまえ!そう念じながら、俺は板戸を閉めてその場から足早に座敷へ戻っていく。座敷の障子戸を開けると、またもそこは、異なる空間が広がっていた...。そう、あの宝物庫が。俺が幻想郷に転移する原因の大元となった、その要因が、この一室にある。それがどういうわけか、この白昼夢にて付き纏ってきている。確かにあれを初め飲んだ時は、あの湧き上がる熱を抑えられない感覚...。一気に身体から温泉が湧き出すように蒸気が噴き上がる、アレが...勝手に自分のエネルギーが身体中を暴走する感覚というなら、やはり俺はあの云われを聞いた通りの、"潜在する力を発揮させる薬"....。それを飲んだことにより、俺の体がその瞬間を記憶に焼き付けてしまったということなのか....!ならこれはトラウマじゃないか...!....悪い夢だ。そう。きっとあの時から、夜の神社に入って鍛錬したりした、バチが当たったに違いない....。それにしてもいつ頃覚めるんだ、この夢は...。ふと隣を見ると、いつの間にか1人の女性?...おそらく妖怪?そのどちらかが、佇んで俺を見つめていた。

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