東方 外来人物語   作:佐藤練也

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第156話

 

 

慧音「しかし驚いたな、輝夜がまさか練也の家に自ら出向くとは...。」

 

 

そう独り言をこぼしながら、私は人里の大通りから外れた場所を歩く。練也の為に拵えた狩衣を届ける為、輝夜に会ったのは結果的に大助かりではあるがただ単に暇を持て余していただけだったのか、わざわざ竹林から人里の外れまで行くなど...。そんなに距離が離れていないにしても彼女はめんどくさがるばかりかと思っていた。それとも稽古をつけている途中で、何か特別な感情でも芽生えたが為に起こした行動か....。輝夜の意外な一面というものを垣間見た気がする。そのまま寺子屋に向かう私の目には、自警団の一団が天邪鬼の捜索に奔走する姿が見えた。その中に、弓と矢を背負った青年の姿が目に映る。今日も彼等は元気そうで安心した。近くにいるだけで頼もしく思える。

 

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忠正「....。」

 

 

自警団の一団を離れ、火の見櫓に登り里を一望出来る位置へと向かう。遠くには妖怪、天狗が住む妖怪の山...その概ね反対側には魔法の森、そのまた違う方角を見れば背の高い竹が繁茂する地域...迷いの竹林が広がる。雄大な自然、その中に身を潜めているであろう天邪鬼をその瞳、耳で感じ取ろうと感覚を研ぎ澄ますが、そう簡単には見つからない。ヤツは話に聞いたところ、永遠亭で強奪した魔力だか霊力を回復する薬を飲み込んで力を十分に蓄えているらしい。ついでに言うなら、甲冑を身に纏う力も身につけたと話には聞いた。

 

 

忠正「.....。」

 

 

耳に入って来るのは冷たい風のみ。それは、秋の到来を告げていた。弓に矢を番えることなく、火の見櫓から辺りを見渡す。念の為足下やその付近にも気を配り、警戒の目を絶やさない。そこに寺子屋の教師、自警団の長をしている慧音さんと目が合った。...ああ、なんて美しい蒼髪だろう。風に吹かれ、フワリと揺られるあの美しい髪の匂いを嗅いでみたい...。こちらに向けて笑顔を向ける彼女に、こちらも笑顔を以って応える。なんとも忙しない日だが、なんとも幸せな瞬間が今こうして俺の心に癒しを与えてくれる。俺は火の見櫓から急いで降りて、仲間や馬之介の下へ走り出した。

 

 

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輝夜「.....////」

 

 

私は今、自分で何をしているのかわからない。こんな感情はない、今まで過ごしてきた時間の中において。異性を意識したことはただの一度もなかった筈...なのに。

 

 

輝夜「ボロ布みたいになっちゃって.......、もうこれじゃあ着れないじゃない...////」

 

 

スンスン、スー...ッス〜〜〜〜〜...。誰にもバレていない...わよね?私は今、焼けた狩衣に顔を埋めてそこに埋めた鼻腔から思いっきり空気を取り入れる。もっと詳細を言うなら、彼の匂いや仄かに感じる麻の心地よい匂いを、その場で楽しんでいた...。絶対に見られるわけにはいかない...見られればどう思われるか、何を言われるかわかったモノじゃないわ...、...だけど無理...やめられない...!スンスン...スンスン...。

 

 

輝夜「....はぁ ....。練也、当分修行は休むって言っていたのよね、確か...。馬鹿妹紅と修行がなくなるってことは....。この匂いはお預け....。....はぁ。」

 

 

残念な気持ちを抑えながら、私は"彼の匂い"を楽しんでいた。

 

 

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このバイクとか言う乗り物も悪くはない。風を切って進むくらい速い、そして後ろに乗せてもらうと、なんか心地よい風を感じるからだ。更に練也の着ている新品の狩衣からは風に乗って麻の香りが漂ってくる。これもそう感じる原因だろう。そう考えれば、なんか修行が当分の間なくなってしまうのも残念な気がする...。

 

 

妹紅「なあ、練也...。その...。」

 

練也「...修行は....、...また頼むよ。妹紅。」

 

妹紅「...!....ふふ♪あいよ!♪」

 

 

迷いの竹林の案内人と外来人の師弟は、カブトエクステンダーに乗り竹林を駆けて行った。




輝夜「....///」

妹紅「なーにやってたんだ〜?1人で?」

永琳「...あらやだ、ようやく殿方に興味を持つようになったのね、姫様は。」

優曇華「今までどこの男がどんなに来ても、お断りしていたとは聞いていたんですけど,...ちょっと意外...」

輝夜「...そっ、それ以上言うのは辞めなさい!///磔にされたいのアンタ達!」


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