「変身っ!!!!」
そう声を高らかに宣言して、手に持ったカブトゼクターをベルトへ装着したのであれば、俺の身体には早速変化が見られた。カブトゼクターを起点として六角形状の装甲が水面に広がる波のように徐々に展開をしていく。そして胴、両腕、両脚、頭部に至る全身各所迄に至ると同時に、顔面部にある複眼上部からきらめきが起こると同時にエネルギー波が発せられ、アラクネアワームを吹き飛ばした。自身の眼前に二本の腕を持ってきて、実際に変わったことを確認。目に見えたのは人肌のそれではなく、赤と銀に煌めく、見るからに堅牢な装甲....”ヒヒイロノカネ”に覆われた両腕が、俺の目に映っていた。
〈HEN-SHIN〉
そうベルトから音声が発せられ、変身を完了。俺は余韻を薙ぐようにその場から駆け出していき、アラクネアワームめがけて、その鋼鉄以上の強度を誇る拳を振り下ろす。拳が一発一発アラクネアワームの胴体にめり込むごとに、そこから火花を散らし、アラクネアワームを退かせつつ前進して、威力8tもの拳打を胴に繰り返し叩き込んだ。たまらずに吹き飛ぶアラクネアワーム。
「す.....すごい.....。」
私が初めてこの幻想郷で目にした能力が、今まさに目の前で行使されている。「変身」という力強い発声から、場の雰囲気ががらりと変わった気がしてならなかった。そうこうしているうちに、どうやら増援の部隊が到着したらしく、練也さんが戦う様子を私は見ながら、仲間の文さんや白狼天狗達との合流を果たした。
「....これ以上.....好き勝手させるものか.....!!」
トドメの一撃を加えようと、俺はベルト中央に装着したカブトゼクターのホーンに指をかけ、それを指で小突き動作させた。すると、先程迄身体を覆っていたヒヒイロカネは水蒸気を発したような作動音を響かせ浮き上がる様にして挙動し、それに合わせてベルトからはけたたましくシーケンスノイズが鳴り響く。腕部、胸部、頭部に至るまでの部分のヒヒイロノカネが浮き上がったことを確認したのであれば、俺は宣言と同時に力強くゼクターホーンを引き倒すように動作させた。
「キャストオフッ!!!」
〈CAST OFF〉
その宣言と同時に、身体に纏っていたヒヒイロカネが内側から外側へと弾き飛ばされるようにして勢いよくパージされ、なんとその速度マッハ2.0のスピードをもってアラクネアワームに放たれた。ただでさえ三種の神器に使われる素材で堅牢無比で知られているヒヒイロカネが音速を超える速度で放たれるのだ、並の生物ならまず直撃すれば生きてはいまい。それらがアラクネアワームに被弾、そして大きくその場でもがき膝を付くアラクネアワームであるが、どうやらまだ引く気はない様子。こうなれば最後までやるしかないであろう。
〈CHANGE BEETLE〉
ヒヒイロカネがパージされた頭部には、顎下部から露わになったホーンが姿を見せ、それが複眼めがけて持ち上がるようにして装着、形態を変形させた。マスクドフォームが纏っていたヒヒイロカネを脱ぎ捨てた、ライダーフォームという姿に変形した姿である。それを認めるや否や、アラクネアワームはすぐさま攻撃に転じる。攻撃に次ぐ攻撃で疲弊しているためか、打撃が先程よりも大振りとなり隙が生じてしまっている。コレは好機、今すぐに決めるほかはないと、練也は再びゼクターを操作する。
〈ONE.TWO.THREE〉
カブトゼクター上部に存在するシーケンスボタンを、左より順に押すことで、音声が鳴り響き.....。
「ふっ!!」
俊敏な攻撃動作にてカウンターの正拳突きを数発連続してアラクネアワームの胴に叩き込み、それを再び押し戻すようにして吹き飛ばしてから.....。
「ライダー.....キックッ!!!」
ゼクターをマスクドフォームの形に復旧した後、再びホーンを力強く引き倒すことにより、ベルト基部より電流状のエネルギー体が生じ、頭頂部に聳えるホーンへと収束した後.....。
「(タイミングを間違うな.....。....俺ならできる....!!)」
真正面に対峙したアラクネアワームが真っすぐこちらへ突っ込んでくる。それと同じくして、頭頂部に収束した電流がすぐさま流れる様な速さで右脚下肢末端へ収束し、アラクネアワームが自身の脚の稼働範囲に入るか入らないのところで、一気に力を込めて全身全霊の必殺技を放つ。
〈RIDER KICK〉
「だああああああああああああっ!!!!!!」
俺の頭部めがけて拳を振るおうと迫りくるアラクネアワーム、その側頭部へ吸い込まれる様にして、俺のライダーキックが命中した直後に力なくその場に膝から崩れ落ちた刹那、蒼白い爆炎を発し、爆裂飛散した......。