この後すぐ。
夕焼けを眺める1人の狩衣を着た男。...俺、佐藤練也は、夜が訪れるその時を待つ。それはある妖怪との約束ごとのため。その約束をしたのは、今日の昼。妖怪のぬえと、修行...一騎打ちをすることとなった。俺としてはありがたい、彼女も槍の使い手であるし槍を持ってまだ間もない自分には良い師となる。妖夢の太刀筋も目にも止まらぬほど凄かったが、ぬえの槍捌きは...あの三叉の槍から繰り出されるとすれば、やはり刺突がメインとなるか...。
練也「まず、スペルカードを俺は1枚しか作れていない...。今回も戦いの中で見出すことになるか...。」
夕焼けに目を凝らしながら、黙してその場に座り目を閉じる。今までスペルカードの発動までは出来たとして、俺はまだ弾幕を出せていないこと、しかし衝撃波は意識しなくても出せるようにはなった。弾幕の代わりに、この衝撃波を使いこの世界で戦うことになるのだろうか...。今は、とにかくこの瑞穂疾風を力一杯振るうことが...
練也「...。俺は自らの力を信じる...、...何度でも立ち上がってきた自分を...。」
しばし瞑想をしていたその刻はいくらか刻んだだろうか、いつのまにか辺りは夜の闇に染まる。しかし完璧な闇ではない、その中に輝く光源があった。空に上がるまん丸な月。この綺麗な満月は直視しても目をくらませることはなく、心が落ち着く。決闘の刻限が近づくにつれ、こわばっていく表情筋が多少は緩んだ。そこへ待ち人が現れた。
ぬえ「こんばんは〜....。ってまあ、またそんな怖い顔しちゃって...。」
俺の顔は月の光に照らされ、どのように彼女に映っていたのだろう。今宵の槍同士の戦い...このロケーションで、女の子と2人きり。なるほど悪くはない状況ではある。そんな冗談はさておき...ゆっくりと歩み近寄るぬえに目を向けながら、ボロ布に覆われた瑞穂疾風を手にとった。そして月光の下、それをぬえの前に露わにする。十文字の刃が月光に煌めき、鉄拵えの柄になされた稲妻の装飾は月光の光を反射し、それも美しく輝く。
ぬえ「それを振るったんだろ、魂魄妖夢を相手に。あの半人半霊にスペルでタメをはっただけはある。」
練也「何か感じるか?」
ぬえ「逆に聞くが、アンタは?」
練也「振るいはしているものの...今のところは。」
いくら曰くが畏れ多いものでも、やはり槍は槍、ただの無機物だ。だがその槍は元はただの直槍、それが時を経るごとに形を変え現在の形になったというのだから驚きだ。ましてや、人間や化け物の血や想念を一身に受け続けた結果だというのだから。
練也「そこに至る迄にはまだ及ばないということだ。...だが今までやってきたことの積み重ねは、それに至る迄の布石にはなるはずだ...。」
ぬえ「だんだん前を向いて来たね...。じゃあ、早速...。」
俺を見ながら槍を巧みに手元で軽快に取り回してみせる、その後に彼女は気楽な表情から打って変わり、その表情は真剣なものとなる。準備は整った。...俺も頭上で思いっきり瑞穂疾風を風を切ってぶん回し、それを腰に据えて口上を述べてから彼女目掛け走り出した。
ぬえ「アンタの槍捌き、見せてみなよ!!」
練也「外来人...、佐藤練也。...参る!!」
【香霖堂】
霖之助「今回は僕の出番らしい。しかし、こうも久々な登場だと中々どう喋るか迷ってしまうな。一応は、幻想郷在住の中では数少ない、外界の知識を認知は出来ている存在だと思うのだが...。」
チルノ「こんにちはだぞ〜!」
霖之助「また騒がしい客が来たなぁ...。」
魔理沙「よっ、香霖。邪魔するぜ!」(箒片手に。)
霖之助「邪魔をするなら帰ってほしいのと、どうせ来るなら店番でも頼もうかとも思うんだが...。」
魔理沙「おっ?給料は発生するんだろうなぁ?紅魔館で強制労働を強いられている誰かさんとは一緒にされたくないぜ〜?」
霖之助「あれは元はといえば、君と彼の私闘が招いた過失じゃないか、あんなに図書館で暴れ回るとか、犠牲になった本達が気の毒だよ...。」(メガネを一旦外して埃を拭き取り。)
霊夢「アンタ、ほんとに手癖の悪さは相変わらずね?」(不意に姿を現す博麗の巫女。)
魔理沙「最近は外来人メインだったから、霊夢が出てくるのが久しぶりに思えてくるな!」
霊夢「どのタイミングで出るかは私が決めるわ。それより、紅魔館の執事とか、だるそうねぇ。きっと馬車馬の如くって感じよあそこ。」
霖之助「それは偏見がすぎるな...、だが、しかし実際にはわからないことが多い...興味はあるな。」
魔理沙「それなら、香霖はめでたく執事2人目ってわけだな?」
霖之助「まだ応募するとは言ってない。勝手に話を進めるんじゃない。...だが、...これからどうなることやら。」