東方 外来人物語   作:佐藤練也

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東方 外来人物語

この後すぐ


第179話

レプトーフィス「...。」

 

表情1つ変わらない、相変わらず死んだ目を前に向け石段を登っていくのは佐藤練也に擬態したレプトーフィスワーム。手には眠ったように動かない人形を抱き、それを伴って曇天の下紫色に怪しく光る左右の灯籠の間をゆっくり歩く。彼は徐々に周りの状況が、歩いているうちに変わって来たことに気がつく。

 

 

レプトーフィス「......。」

 

 

歩く彼の周りを漂う、数多くの霊魂が姿を現し始めた。典型的な長い尾を引いた、のっぺりとした形状の白いモヤがかかっているような。白一色のその物体は彼の側を何をするわけでもなく、悠々と漂い飛んでいた。石段にかける革靴の音だけが、淡々と響く...。そうこうしているうちに、彼の眼前には立派な門が見えた。昔の庄屋や豪農などの屋敷に見られるような、これまた立派な造りの建物だ。

 

 

レプトーフィス「...どうやら。ここのようだ...。」

 

 

ひとりでに、門が開く。それを見たレプトーフィスワームは、ゆっくりと人形を抱えて中へ入って行った。

 

 

ーーーーーー

 

 

永遠亭の集中治療室、の前の待合室にて。月の頭脳、八意永琳の手解きにより今現在、佐藤練也は治療を受けていた。待合室内、ぬえは何やら不安そうな表情を浮かべ心ここに在らずという仕草を見せていた。

 

 

 

ぬえ「(もしかしたら、私のせいで練也が...。)」

 

 

 

意外にも運んでいる途中に腹部の火傷に目をやって、言葉を失いかけた私。赤い肉が変色し、膿んだ傷口からはえもしれぬ匂いが漂う。これ以上の表現は憚られる為省くが、中々にグロテスクな様相だ。受けた本人は痛くてたまらないだろう...。人間相手に...しかも外来人に対して私も少し大人気なかったか...。まだスペカを1枚作るのがやっとの、弾幕もロクに飛ばせないヤツが...。だが、私も可能な限り気持ちには応えた...だが、これじゃ悪戯に練也のヤツをすり減らしてしまうだけなのは、今回の結果を見るに明らかだ。

 

 

集中治療室の扉が開かれ、中から永琳と助手の優曇華がマスクを外しながらぬえのいる待合室に入ってくる。その表情は、何か神妙な面持ちだ。

 

 

 

永琳「...ぬえ。彼の容体だけど...。」

 

 

ぬえ「...どうだった...?」

 

 

永琳「外観以上に内面へのダメージはなかった...ただ、おかしい。あの熱傷のレベルなら、やはり常人...まして外来人の彼が助かる筈もない。これも修行の賜物...なのかもしれないわね。今日安静にしていれば、傷は良くなるわ。」

 

 

ぬえ「ほっ...。」

 

 

私は八意永琳の言葉を聞いた後、心から安堵した。

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