擬態練也「.....。そうか、ここは別の世界...。そういうことなんだな?」
アリス「ええ、そうよ....。」
俺は今、魔法の森という場所において自称魔法使いの少女、アリス・マーガトロイドの口から、今俺が居るとされる世界。幻想郷と言う世界について説明を受けていた。擬態したこいつの脳みその中にでも、その世界に関する情報が入っているのかと思ったが、どうやら擬態を損ねたらしく、その部分の記憶が欠如している。....成程、まあいい。これからこの世界について見分を深めれば問題なかろう....。話を聞く限りでは、この世界はあらゆる世界との間に博麗大結界という結界を張り、あらゆる干渉を防ぐという風にあった。詰まり奴もこの世界に囚われていることになる....。つまりは、俺が捜索すればヤツもすぐに見つかり俺の手で...。
アリス「先程からよからぬことを考えているようではあるみたいだけれど....。そんなあなたに1つ忠告しておくわ....。」
擬態練也「.....。」
アリス「この幻想郷は裂く程も言った通り、博麗大結界で囲まれている、いわば不可侵の領域....。それ程のものを作り上げる存在が居る世界....。この世界には争いを好むものは一部例外はいるけれども、基本的に皆無害よ。だけどもひとたびその見えざる刃を見せるときが来るならば.....。貴方も無傷ではすまないことを肝に銘じておきなさい。」
擬態練也「.....俺は自らの目的を果たすだけだ.....。」
アリス「....そう。」
そこへ上海が飛んできては、また彼の頭の上へゆっくりと降り立つ。跳ねたりクルンとした天然パーマの頭髪がお気に召したか、手に取り優しく引っ張ったりしている。それに我関せずと、彼はもう一口、新たに注がれた紅茶を啜った。.....何を意図しているのか分かったもんじゃないわね、彼....。
アリス「なら....。貴方の目的を聞かせてくれてもいいかしら?」
擬態練也「....それこそ聞くに値しないな.....。....それに。」
アリス「......?.....!?上海...!」
私は、人形達にすぐさま戦えるように促し、外へと出る。何時もと変わらない魔法の森の光景。その中には、なにか不穏な空気を感じる。人間とは違う何かが....。この森の中でうごめいている。数は多くはないみたいね....、おそらく、一匹.....。濃厚な気配が近付いてくる....。.....だんだんわかって来た。人間じゃない。家の周辺に張り巡らせているドールワイヤーにより、私は相手の気配を察知することが出来る....。このワイヤーのかかり方は、普通の人間じゃないわ....、人の形をした何か....。....来る!
アリス「....!」
???「......。」
私の前に現れたのは、シルエットももはや人と言えるか怪しい造形の存在だった。体のラインはおおむね整っているとは言っても、右腕が常人のそれに比べ異常なまでに肥大化している。そして体表は緑に黒を絡ませた配色.....、私が今まで見たこともない生物が、そこにいた。
アリス「.....貴方、何者....!?」
妖精たちと共に臨戦態勢で、その異形に問う。その存在には口がないのか、喋ろうとはしない。虫を彷彿とさせる鳴き声かうなり声を上げてから、その場から姿を消した。
アリス「消えた.....!!?.....!」
刹那、私の傍らにあった人形達の内、一体が虚空に投げ出されるようにして宙を舞い、それを見てから私はスペルカードを発動して応戦した。
アリス「はっ....?!操符『乙女文楽』!!」
そう詠唱するや、私の周りには複数の大きな弾幕が生じ、人形達は完全に戦闘態勢へと移行。レーザー、数多の小さな弾幕を放ち始めた。熾烈な弾幕の嵐を生じさせ、アリ一匹すらも寄せ付けないという気持ちで、この弾幕を放つ。なるべく間隙を少なく、隙を生じさせぬように、人形達もレーザーや弾幕を放ち続ける....。
???「しゅるるるっ.....!」
濃密な弾幕を前にした、異形の者。ワーム成虫態の一体である、ランピリスワームは、クロックアップを発動し、アリスと人形達が放った数多の弾幕を見据えつつ、その間隙を探っていた。クロックアップを発動した場合、発動した者から見た世界は、ほぼ静止した状態となる。その状況の中、ランピリスワームは弾幕の間隙を探しつつ、人形をまた一体その手にかけようと迫る。それは、擬態練也の頭に乗って楽し気にしていた、あの上海人形であった。
ランピリスワーム「.....しゅるるるっ!!」
擬態練也「.....!」
ランピリスワームの右手に持つ鉄球のような拳....。発光球と呼ばれる部位を近付けると、そこが著しく発光を始める。その腕が不意に打撃を受け、明後日の方向へ向く。それは擬態練也が放った拳による打撃を受けたためだ。発光球に正拳を一発。そこから胴に側頭蹴りを見舞い、ランピリスワームを蹴り飛ばした擬態練也は上海人形を遮って、ランピリスワームを見据えた。
擬態練也「こいつらは俺が利用する....、命が惜しければ去れ.....。」
ランピリスワーム「....ぅシュルるるるるる....!!!」
邪魔をするなと言うかのように、その場から俺へ跳びかかるランピリスワーム。発光球を翳し、おそらく俺を焼き殺そうとしているようだが初手からそのような大振りでは自ら死にに来るも同然...。その上から翳された発光球に対し、アッパーをして怯ませつつ腕を掴みそのまま一本背負いをして弾幕と言うものが飛び交う中へ投げ込む。途端、動き始める弾幕。奴のクロックアップは停止し、アリスが放つ弾幕の嵐に巻き込まれ、火花を大量に身体から散らした。
アリス「....!...貴方、....外は危険よ!お家に隠れて居なさい!」
擬態練也「.....先程のビームの攻撃.....。見せてもらった。」
アリス「ッ....えっ?」
擬態練也「....お前も、この世界の戦いを望まない強者と言うわけだな。」
そう言い終えるや、ランピリスワームは再びクロックアップを図り、攻撃を加えようと俺達に迫る。....それに合わせて俺もクロックアップを発動して、ランピリスワームを捕捉する。手に力を入れて拳を作り、そこから正拳のラッシュをかます.....。人間態から蛹体にへと姿を変貌させて、ヤツに言葉を放ちながら俺は拳を繰り返し放ち続ける。
擬態練也「蛹体だと思って甘く見ないことだな....。ふんっ!!」
ランピリスワーム「??!!」
蹴り飛ばして、再びランピリスワームとの距離を開ける、俺の身体には変化が起きていた。緑色に染められていた体躯は、赤みを帯びてドロドロと溶け出した。その中より見えるのは紫色に煌めく、蛹体とは違った一際刺々しさが増した、硬質な体表。その姿が、徐々に明かになっていく。......ついに脱皮を終えたその体躯は、完全に別の姿へと変貌を遂げた。
???「........。」
拳を握り、パキパキと音を立ててその感覚を確かめる。それを見、ランピリスワームはなおも攻撃を止めずに突っ込んで行った。この瞬間に、勝負は決したのである。ランピリスワームの敗因は、擬態練也に脱皮をする隙を与えたことである。
???「....!」
向かい、跳躍し襲い来るランピリスワームは、その変貌を遂げた擬態練也へ発光球をかざす。しかしそれも通じるはずもなく、この瞬間がランピリスワームの最後となる。拳が紫色に発光するオーラに包まれる、それを確認した擬態練也は、その拳を正拳の形と成しランピリスワームのがら空きとなった胴へとキレ良く叩き込み、その場で動きを静止して爆散したのであった。