第186話
さてさて、先程は少し失礼をしてしまったがそれにしても輝夜は、多分おそらくだが怒ってるのか顔を向けようとしない。やっぱり異性に対して恐怖こそないが、嫌悪感を抱いているのか、はたまた俺だからなのか...しかしこうして手を握りながら飛んでいるというのはやはり嫌われてはいないわけで...。そうこうしているうちに、目的地が近づいて来たのか輝夜は降下し始めた。
輝夜「もうすぐ着くわよ!準備して!」
練也「おっ、おう...。」
何か急に声を出したと思えばちょっと強めの口調で到着を告げる、そこには前に一度行ったことがあった。博麗神社、博麗霊夢が管理する神社。あの長い階段をパスして即境内にアクセス出来ることを考えると。やはりこの先必要な能力にはなる。石畳の敷き詰められた境内に足をつけ、社殿の前へ。奉納能楽が開催されていた時と打って変わり、静寂があの時の賑わいの代わりにある。
輝夜「此処は博麗神社よ!1回来たことはあるでしょ!」
練也「ああ。奉納能楽を観に行った時...天邪鬼の騒ぎがあった時の。」
輝夜「なら、私の役目は此処までよ!あとは貴方が博麗霊夢に直接会って話をつけなさい!」
そう言って輝夜はそそくさと飛んで行ってしまった...なんか終始ここまで強い口調だったなぁ...さっきのことやっぱり怒ってんだなきっと。飛び去っていく輝夜を見送る俺の背後からまた新たな声が聞こえそちらへ身体を向けると、そこにはこの神社の巫女が立っていた。紅白の巫女装束はもちろんだが、脇の露出、赤い大きなリボン、胸元の黄色いショートネクタイ、赤いスカート、茶色のロンハー。博麗の巫女、博麗霊夢がそこにいた。
霊夢「あら、いらっしゃい。あら?この間来てたわね貴方。」
練也「そうだな。奉納能楽の時以来。佐藤練也、外来人だよ。」
見たところ手に箒を持っている辺り、これから境内の掃除をしようとしていたんだろうな。なんか間が悪かった感じは歪めないが、...俺は早速霊夢に話を持ちかけることにした。
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輝夜「...っ!何よっ、アイツ!あそこまでやったらもっと押しを強くしていくとこじゃない!ほんとチキンなんだから!」
顔を赤らめながら先程の破廉恥現場の状況を脳内で反芻する私、はぁ...。今思えば修行の時からなんかどことなく気持ち的なとこに変化はあったというか...ほんとにもう!外来人のくせにあんなに必死に背伸びしてまで弾幕ごっこやりたいなんて言い出したとこから...いつのまにかこんな感情が起こるなんて!私は彼が心配なだけよ、きっと!これは心配からくる気が気じゃないという感情!そう、絶対そう!そう自分に言い聞かせて、私は永遠亭への家路に着いた。