...言われた通りの枚数を写し終え、側を見れば整然と整頓されて置かれていた"博麗"の二文字が綴られた御札の束。気が付けばかなり時間が経過していたらしく、太陽は真上を通り過ぎた位置にあった。
霊夢「ほんとはもっと拵える必要はありそうだけど、ひとまずは十分かしらね。さあ、こっちいらっしゃい。」
札を大量に携えた後に、境内の石畳の上に立つ俺と霊夢。脇を露出させている巫女服のその特徴といい、ちょっと目のやり場にも困るところだなんとか思っている間に袖口から俺が先ほどまで写していたものと同じ札を取り出す。
霊夢「これからイメージをつけさせる為に、私が一旦手本を見せるわ。」
練也「ああ。頼む。」
静寂の中、札を静かに手から放つ霊夢。横にフッと軽く腕を振るう形で御札を虚空に放つと、その札は赤い軌跡を引いて虚空を飛ぶ。飛んだ札の弾幕は途中弾けるようにして分裂、無数の光弾に変わり辺りへ飛散した。
練也「すげぇ...。」
霊夢「別に凄くもないわよ。まあ外来人だしそういう気持ちになるのは当然かしらね...。まずは飛ばすところから、始めるわよ。」
先程霊夢が立っていた場所へ俺も立ち、目で見た先程の弾幕を頭に浮かべながら手に持つ博麗の御札へ意識を集中させる。こういう時には力むと絶対に上手くいかない。自分に言い聞かせて、衝撃波を放つ時とは別の感覚で札を放とうとする。しかし、現実は簡単にはいかない。虚空を貫くように宙を飛ぶ挙動などはなく、ヒラヒラと境内を舞う木の葉のように地に落ちるにとどまった。
霊夢「何もしなければそうなるわよ。何かしら弾幕を飛ばす時には、それ相応の力がいる。私で言うとこの霊力、...まあ霊力に限った話でもないでしょうけど...。」
練也「もしその霊力を手に入れたとして、モノにするには時間はかなりかかるんだろうな...。」
霊夢「想像の通り、一朝一夕じゃまず無理でしょうね。私も気付いたらできるようになっていた、教え方としては酷かもしれないけど。目で見て身体で覚えなさい。」
昔の職人みたいなこと言うなこの巫女...とかは内心の声。再び落ちた御札を拾い上げそれをマジマジと見る。この自分が写した(文字型の上からだけど)札には、間違いなく俺の意識が注がれていた。ならなんとかして、この札に何かしらの形で自身から衝撃波を出したように同じことが出来ないものかと考え始める。
霊夢「そうねぇ...。そうだわ、助手になる良い人材がいるじゃない。」
練也「...人材?」
先程の霊夢の発した言葉から、俺は嫌な予感を感じずにはいられなかった。