見えない波が、その形を波では無いものに姿を変えて勢いよく開かれた掌より放たれた。灰色の極太ビーム...鉛の色、曇天の空模様とも言うべきその濁った色は光線という形で、サニーへ向かう。
サニー「はあ?!」
弾幕の掃射を中断して、一挙に更に上空へと飛び上がるサニー。先程自分がいた虚空を見れば、鉛色の太い一線がそこを怒涛の勢いで通過する。そして見るやそれ以降攻撃が来ないという状況は、明らかなものとなった。地上にて片膝を境内に着く練也の姿を、彼以外の全員が認めたからだ。見れば身体より白煙立ち上る、尋常ではない状況。これは彼が幻想郷に来る前に起きた状況と、酷似していた。
練也「......っ。(ダメだ...身体が、フラフラする...。)」
立つことまでままならない程に、体の力が入らなくなっている。自分の意識とは関係なく、体はこの意識どころか衝撃波を放った手とは逆の手に離さず持っていた博麗の札。それが手からスルリと抜け落ちるのだけはかろうじて防いでいた。
練也「(弾幕ごっこを楽しくとは言って...やはりこの幻想郷のみんなと、外界から来た俺とでは一線を画する...かなり分厚い何かが間にあると言うのか...!背伸びしても...いくら背伸びしても....!)」
サニー「ちょっと!!ほんとに何してるわけ!」
霊夢「(これ以上は...だめね。)練也、一旦横になりなさい。」
霊夢やサニーの言葉に、もはや従う以外になくと練也は仰向けに寝転がる。青空に向かい昇る自身から発せられる濃い白煙、そして熱くなってしまった体。手にはまだ博麗の札を握る感覚、それをゆっくりと上に向かって翳す。せめてもの出来ることはやっておきたいという、練也の気持ちの表れか。それを見た三妖精たちは心配そうに顔を覗き込む...。
サニー「ほんとに無茶しちゃだめじゃない!」
スター「貴方ほんとに外来人?」
ルナ「外来人だからこそ、当然の結果というか...。」
口々に思ったことを口にする3人の羽の生えた、可愛らしい少女達。札を翳した手に3人が手を添え、ゆっくりと下ろすように促された練也は人間の何という貧弱さのことかと、竹林での修行の時を想い返しながらボソボソと口から一言二言をこぼす。
練也「こうやっても...こうなる...。」
霊夢「?」
ルナ「ちょっと日本語が怪しいわね?」
スター「言語障害?」
軽口に構わず、練也は言葉を発しながら4人の上に広がる虚空を見据えた。
練也「こうなることが必定なんだ...。この世界に....。自分が花開く為には...外来人は死にかけるくらいしないと...。」
次回、東方外来人物語!