夜の博麗神社。縁側でくつろぐ練也と霊夢の姿をあうんは静かに見守る。真剣な面持ちの練也と霊夢の会話に聞き耳を立てながら、あうんは家事に勤しんでいた。
練也「普通に放るだけでは札は飛ばせない...たしかにそうだ。かと言って俺に霊夢のような霊力も魔力も備わってはいない...。」
霊夢「今から身につけるにしても、あまり現実的ではないわね。」
そう言った後に、霊夢は続けて可能性を示唆する発言を練也に投げかけた。あの衝撃波を札を放つ際に使えないかと言うのである。
霊夢「そうすれば、札も勢いよく飛ばすことが出来る。明日はとりあえず、それを意識してやってみましょうか。」
練也「ああ...今は出す力を温存させるために、ゆっくりと休ませてもらう。だけどいいのか、ここに泊まって...。」
練也は弾幕を出したいという気持ちを霊夢に伝えてから、それを了承をした彼女の図らいで博麗神社へ泊まる運びとなった。湯呑みに入った緑茶を一杯啜り、ほぅっ。と軽く息を溢した霊夢...。そこから夜の冷えた空気を体に感じながら、霊夢はゆっくり答えた。
霊夢「じゃあ野宿?幻想郷の夜は長いわよ?それなら修行に不足はないかもしれないけれど...。」
練也「...。出来ればお手柔らかに頼みたい。」
霊夢「まっ。昼間出した見えない波とか以外にも、貴方は使えるみたいだし大丈夫そうではあると思うけど...。明日もとりあえずゆっくりやりましょうか。」
練也「...よろしく頼むよ、霊夢。」
2人はしばし縁側で夜空を眺めて、心穏やかに寛ぐ。不意に霊夢が昼の現象について練也に疑問を投げかけた。
霊夢「昼間のあの煙だけど...あれからもう身体は平気なの?膝ついて立っていられるのがやっとだったじゃない。」
練也「...実は幻想郷に来る前...アレと同じ現象が、1回あったんだ。すごい煙が身体から出て、意識もフワフワしてた...感覚的に軽い熱中症とかとは似てるけど違う。」
練也は自身が宝物庫に眠っていた"秘薬"を飲み込んだ時の光景は、未だに忘れることはない。今もなお鮮明に脳裏と身体に焼き付く、あの感覚とこの幻想郷に来るきっかけとなった出来事...。もう1人の自分との戦いを経て、"秘薬"を飲んだことで覚醒し発動した自らの力により幻想郷へと誘われたという経歴...。...それは決して彼の頭から消えることはないだろう。
霊夢「そう...。ただ漠然と、闇雲に修行を重ねていた...というわけではないみたいね?」
練也「外来人なりに、思うとこがあるんだ。」
そして夜空に指を翳し、ゆっくりと練也は告げる。
練也「紫さんが言っていた。俺が"臨む"かぎり、この幻想郷は絶えず俺に味方する...。」
霊夢「臨む限り....ねっ。」