第198話
黙して舞い散る桜の中に佇む西行妖の前、そこでは2人の人ならざる人の形を成した者が弾幕の中舞うように戦いに興じていた。その枯れても尚往時より萎え衰えた様子を見せない幹、その根元では小さな存在がそれを見守っていた。1つは依代、もう1つは、それに宿る筈の魂である。その目線の先には、タキシードに身を包んだ青年の激しく動き回る姿。彼は人間ではない、地球外生命体"ワーム"と呼ばれる種族だ。
幽々子「ふふふっ...。」
亡霊の姫君、西行寺幽々子は手にした扇子を閉じたままそれをレプトーフィスワームへ向けて指すと、蝶の形を成した弾幕は速度はゆったりとした機敏とは言えぬものだが、その間隔を密にして彼へと迫る。袖からワイヤーを出して付近の桜へ緊縛、緊張させるとその後に自らの身体がクンッッ!と急躍動、ワイヤーを使った立体的な機動を以て幽々子の弾幕を回避する。先程彼がいた場所は爆炎に包まれ、あのまま留まればただでは済まなかっただろう。爆炎に撒かれず済んだ彼だが、まだまだ攻撃は終わらない。幽々子は自身の後ろへ展開した扇形の壁から、大量の蝶を密にして同じように放ってくる。普通に地面へ足を着く時間も心許ない、いや。はなから地面へ足を着かせる気はない。この速度ではなく、面の広さからレプトーフィスは幽々子から明らかな戦意を感じた。
レプトーフィス「.....。」
魔理沙の弾幕とは違い、速攻を以て相手を射抜き仕留めるというスタイルではないことは明らかだ。だが時間をかけてゆっくりと相手をすり減らしていく。言い方を変えれば、魔理沙は"拙速"タイプ。幽々子は"巧遅"タイプと言ったところだろう。従って、時間を掛けるならばこちらにとって分が悪い。ワイヤーを用いた機動をとりながら、レプトーフィスは虚空に向かい手を伸ばす。
幽々子「ふふっ...手を伸ばすということは...やる気になったのかしら?..."変身"♪」
幽々子は何もゆっくり迫り来る弾幕を放つだけに攻撃を留めなかった。
今度は軽やかに閉じた扇子を広げた幽々子は、それをゆったりと斜めに煽ぐ動きで1回扇子を動かす。扇子からは鮮やかな桃色の発光と軌跡が生じた、その後にここからも蝶の群れがレプトーフィス目掛け比較的に速い速度で迫っていく。それを更に一振り、二振り....。たちまち、行手を遮られるレプトーフィス、そこへ本命の幽々子からの一撃が浴びせられた。
幽々子「...♪蝶符「鳳蝶紋の死槍」...!」
レプトーフィス「...!!」
手にダークカブトゼクターを掴んだレプトーフィス、しかしそれをライダーベルトへと装着するか否か、幽々子のスペルカードが炸裂。桜色の一線が幽々子の翳した手より放たれた。
〈HEN-SHIN〉
ヒヒイロノカネが展開されるシーケンスノイズが耳に響く、その爆炎に撒かれながら黒煙の中に煌めく黄色い複眼...続いてすぐにヒヒイロノカネを脱ぎ捨てるダークカブト。勢いよく弾き飛ばされるそれが黒煙と自身に迫り来る鳳蝶の弾幕を薙飛ばして、その姿を露わにした。
〈CHANGE BEETLE〉
幽々子「...そう♪それを、見たかったわ。その姿...♪」
次回、東方外来人物語。