妖夢「幽々子様。はぁ、良かった。てっきり何かあったかと心配でしたよ...。」
幽々子「あら、妖夢ちゃん!もうちょっとかかると思っていたけど、早く着いちゃったわねぇ。お菓子美味しいわ♪」
妖夢「喜んでいただけた上健在なようで何よりです...。...。」
幽々子が美味しそうにお菓子を貪り食べる横には、一口ずつ無心になりながらも確かな甘さを堪能するようにまんじゅうを噛み締めているレプトーフィスワームが擬態した佐藤練也の姿。人外の存在、ましてや人に擬態をするその存在に妖夢はまだ気を許してはいる様子はない。素直な行動とは裏腹になる何かを隠しているようにも思える、その掴みどころのない変わることのない表情。ジトッと目を細めながらレプトーフィスを見る妖夢に、幽々子は一緒に食べようと着座を促した。
妖夢「(いくら私が留守の間にことがなかったとはいえ、この方は只者ではない...幽々子様の身を守る為にはやはり今一度この場から離れるわけには...。)」
粛々と姿勢を正しく座する妖夢を他所に、レプトーフィスワームは黙々とまんじゅうを食べ続ける。品がないと言うわけではないが、まるでその食い意地は人間とは思えないほど。まんじゅうの包装が綺麗に折られた形のものが、彼の側に積まれているのを妖夢は見ていた。そこで不意にレプトーフィスは手を止めて、一言つぶやく。
レプトーフィス「....。うまかった。」
妖夢「...あっ。ど、どうもありがとうございます...。」
幽々子「よかったわねぇ、妖夢ちゃん。...あと心配しなくても良いのよ?彼は、こんな怖い顔をしているけど...。」
幽々子が少し間を置く。静かに笑顔を作りながら、レプトーフィスに寄り添っている人形の姿に視線を注ぎながら言う。妖夢自身も、自然と強張った表情は穏やかに、そして無意識のうちに太刀に伸ばそうとしていた手もその動きを止めてゆっくり引っ込めた。
幽々子「すごく優しいのよ...。この子が心を許した、外から来た殿方よ?そんなに身構えられたらこの子自身もきっと悲しくなっちゃうわ?」
妖夢「...幽々子さんがそうおっしゃるなら...。私も少しことを重く見過ぎていたようです。」
レプトーフィス「...お前は主人を守ろうとした。それだけの話だ。」
そう言いながら、口元を手拭いで拭ったレプトーフィスは妖夢が携えてきた食材の数々を見やるや、妖夢に言った。
レプトーフィス「妖夢と言ったか...。」
妖夢「...はい。何か?」
レプトーフィス「...食事の支度を、手伝わせてもらう。」
妖夢「...え?」