紫「....さて....。こちらはどうなっているかしらね....。」
スキマの中から、ゆっくりと状況を確認する私、八雲紫は、言わずと知れた妖怪の賢者。昨日今日と続いて、この幻想郷には爆発的な何かが起こっている、ええ、色々な意味で爆発しているわね、賑やかなこと....。
妖怪の山と魔法の森で、結界のひずみからこの幻想郷に降り立った2人の存在に、私は興味を抱き観察を続けている。
今は烏天狗と移動中、....ふむ、あの天狗も仕事熱心ね....。
質問攻めにされている彼の表情も、緊張が解れてきたと言うか....、取材に応じるのもかったるいんでしょうけど、良い気の解しにはなるでしょう....。
藍「紫様。博麗の巫女は、どうやら結界の修復を終えたようです。」
紫「そう....。」
藍「.....先日天狗に捕まった....外来人ですか?」
紫「烏天狗は早速昨日に次ぐ特ダネにありついたようよ....?」
藍に対して冗談気味に言葉を放つ。
しかし私にはこの外来人以外にも、やはり気になる存在...。
彼に擬態した、一体の怪物....。他の怪物とは、何かが違っていた気がする...。
アリスや、彼女が使役する人形に味方をし、おそらく同族である者に牙を剥く...。
その意図も、確かめなくてはね....。
紫「ひとまず、結界に関することについては....。.....”別のお客人方”は.....?」
藍「そちらの方に関しましても、現在監視を続けており、現在は特にこちらへ危害を加える様子もないと判断します...。むしろ、”一方は危機的状況”と言いますか.....。」
彼の『変身』に気をとられているうちに、失念していたかしら....。
危害を及ぼさない...。それだけ聞ければ今は十分...。
問題は、この幻想郷に多数潜伏した例の数体の怪物.....。
擬態される前に、手を打たなければ面倒なことになるわね....。
妖怪の山を経由して、人里までの道を俺と文の2人でゆっくりと歩く。
うっかりしていたが、取り調べを終えた後に俺は宝物庫から待ってきた自分のやりをその場所へ置き忘れてしまっていた。
それを持ってきてくれるだけではなく、飛行能力を有さない俺に合わせてわざわざ歩きで人里までの道を案内してくれるとは、天狗と言う種族は穏やかかつ快活な側面があると思うのであった。
練也「何から、何まで申し訳ない...。」
文「いえいえ...。この時間もこの幻想郷に舞い降りた貴方と言う存在を、徹底的に取材をする為の時間だと思えば....、ですよ。それに、こちらこそ椛を妖怪から救ってくれた礼もありますし!」
小一時間程歩いただろうか?今は人里の出入り口と思われる位置まで来たところだ。
しかしなんだろう.....、なにか騒々しさを感じさせるこの雰囲気は。
槍や刀などで武装を固めている集団が、ある場所へ向かい歩みを進めて集まっている様子だった。
文「あやや....のんびりお茶でも飲みながら詳しくお話を....、とも思ったのですが....。」
練也「....一体何が?」
文「あれは里の自警団ですよ....、おそらく人間の里で何かあったのでしょう....。」
練也「....まさか.....ワーム...?!」
文「あっ!?ちょっと待ってください!」
そう言って自警団の走っていく方に向かい、俺も駆けていく。その後を追って、文も駆けて行った。