人里は活気に包まれつつも、どこか物々しい雰囲気を漂わせていました。
確かに普段通りの人の往来、たまに見る人外の存在が一つの雑踏となり、目まぐるしく行き来するその光景は、いつもの人里にある風景。
しかしそんな中にいつもはごく少数な方々が、列を成しある場所に向かっている様でした。
文「(自警団が、どうして今日はこんなにも多いんでしょうか....?もしかして、人里の方でも何か事が....。)」
練也さんと共に、自警団の後を追う私。
そこで数人の里人の会話を、私達は耳にしました。
「なにやら、元々何もない場所に突然神社が現れたんだと。」
「いつ?」
「昨日の夜さ。ほら、空から大きな音がしただろう。あの神社が空から降って来たんじゃないかという話だ。」
「今はそれで自警団や慧音先生が動いているらしいぞ。」
「竹林の案内人もだ。」
成程...。事の内容は、先日起こった隕石の爆発に関連しているようですね。
そうこうしているうちに、私達は自警団が行きつく場所へ辿り着きました。
大きな杉の木で四方を囲まれた、そこまで広くはありませんが立派な境内を構えているお社が、その場所に佇んでいました。
それに向かいカメラのシャッターを切る私。
確かに今までの記憶の中で、この場所に神社があったという覚えはありません。
練也「あれは....。まさか!!」
文「あや?」
突然走り出した練也さんに、私も後に続きます。
このタイミングで逸れたりでもしたら、私のスクープが水の泡ですからね、逃がすわけにはいきません!
するとどうでしょうか、やはりと言うか、なんというか。
神社を取り囲むような配置の自警団の一団、その一角に当たってしまったようです。
練也さんと私は、そこで阻まれてしまいました。
「さあさがってさがって!見せモンじゃあないよっ!!」
文「妖怪の山からの取材で来たものなんですが....!」
「んん?烏天狗だろうが、誰であろうが、ここを通すなと慧音さんから言われているんだ。取材だろうと、何だろうと、通すわけにはいきませんよ。」
練也「あのっ!!」
「なんだ、お前は?」
練也「あのっ、....ここの神社の者ですけど....っ!!これは一体どういうことなんですか!!?」
「なにぃ?おいっ、来てみろ!!」
「どうした?!」
な、何やら一杯人が集まってきましたが.....。まさか練也さんがこの騒ぎの渦中の存在だとするならば....。やはり私、射命丸文の眼に狂いはありませんでしたっ!!これは早速スクープにありつけそうな匂いが.....!
「ここで待て。」
練也「はい。....そうか....この場所も、”あの時に多分”.....。」
俺は妖怪の山にいつの間にか放り出される以前の記憶を、思い返していた...。
俺の身から衝撃が辺りに放たれ、それに何が共鳴したかは知らないが自身を中心とした渦のようなものに吸い込まれた。
あの現象の影響を受けたのは、俺や”奴”だけではないってことか。
見たところ神社の外観に、傷などは見られない。
転移した衝撃で外装がへしゃげているのかと思ったが、それは心配ないようだ。
練也「(あのタイミングなら.....、神社には俺以外に誰もいなかったはず....。.....もぬけの殻ってわけだな、今の神社は.....。....いや、神様は居る....か。)」
慧音「どうかしたか?」
「はい、慧音さん....。実は例の神社の件で、この神社の者だと名乗り出る者が。」
慧音「ほう.....。」