月の光が照る、永遠亭にある庭園の一角。
輝夜「ここに1人で、ずっと座っていたの...?」
練也「...まあ。ちょっと前から。」
輝夜「そう...。」
上着の袖口から、おもむろに取り出したスペルカードに目を向けながら、輝夜に向けて俺は言い放つ。
輝夜「先の戦いで、危うく死にかけたそうね。永琳から聞いたわ。」
練也「....全く歯が立たなかった。一矢報いようと放った、必殺技のライダーキック...。それも防がれた....。いや....。そっくり返されてしまった。」
輝夜「.....それで...。貴方はどうしたいの?」
練也「.....。俺は負け犬じゃない...っ、....。さらに力をつけて....。...再びヤツに挑み”蹴り”をつける....!」
輝夜「.....。そう。....今回死に際まで立った身だけど....。貴方は幻想郷に来て3日だったかしらね?」
練也「....うん。.....外の世界からきて....。3日にしては中々濃密に感じた....、そんな時間だった。」
輝夜「....どう?色々感じることが出来たでしょ....?外の世界にはないもので溢れていると、前会ったことがある外来人から聞いたことがあるもの....。」
練也「....美しい世界だよ...。本当に。」
仰ぎ見た月...。その月光に照らされた彼の顔は、頭痛のによるしかめっ面などではなく。
只綺麗なものを、真剣なまなざしで見つめるちょっと人相の悪い青年の穏やかな表情であった。
練也「こんな綺麗な世界だからこそ.....。アイツらに蹂躙されるところなんて見ているばかりなんて.....。俺には耐えられない....!!....短い間にもこの世界が如何に美しいかわかった身だ....。俺はこの世界を護る為にも戦う....。.....輝夜さん。」
輝夜「....何?」
練也「....どうやればこれを創れる...。どうやれば俺はさらに力を持つことが出来る....。この世界の力、俺にどうやれば使いこなせる?」
輝夜「さあね...。私にもわからないわ....。ただ美しいもの、楽しく振舞い、楽しく物事に興じる....。私はそう思い行動しているうちに、自然と身に着けたものよ....。貴方には想像できないでしょうけどね....。私は何千年という悠久の刻をゆっくり永琳と共に歩んできた身...。その過程で、弾幕を放てるようになったし、スペルカードを使えるようにもなった。その私からその何たるかを貴方に教えるには、少々酷な気もする...。だけど....。」
練也「だけど....?」
輝夜「一朝一夕で覚えられるものじゃない....。時間をかけて...、苦しい思いをしても力を手にしたいと言うならば....。”私達”で貴方へ教育を施すことを約束するわ....。」
練也「”私達”と言ったのか....、輝夜さんのほかに一体誰が....。....!」
庭園の玉砂利を踏みしめる音に反応して、その方向を見る。そこには妹紅がいた。
妹紅「...昨日ぶりだな。外来人....。いや、佐藤練也。」
練也「...妹紅。」