東方 外来人物語   作:佐藤練也

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第42話

満月の下、藤原妹紅と蓬莱山輝夜の2人を前に....、俺は真剣なまなざしを向けながら願いを言った。

 

 

練也「俺は....。強くなりたい....。.....強くならなきゃならない....!」

 

輝夜「そう....。なら.....、一朝一夕ではならない修行よ....。覚悟はある?外来人の貴方に...。」

 

妹紅「.....。....練也、お前の気持ちが本当なら....。明日から私と輝夜に付き合え。この野郎と一緒は不服ではあるが、私がお前の面倒を見てやる....。」

 

練也「....。....!」

 

 

2人を前に力強くうなずき、そして一回強く深く深呼吸してから、俺は妹紅と輝夜へ言った。

 

 

練也「.....よろしく、お願い申し上げますっ!!!」

 

妹紅「よし...!」

 

輝夜「よろしくね....、練也....♪」

 

 

こうして、幻想郷での波乱の日々....。それらの激動が、さらにその激しさを増していくのであった。

 

 

翌朝。

 

 

朝4時、起床。

 

 

練也「.....。」

 

 

黙って洗顔をして、身なりを整えてから迷いの竹林へ。

 

道なりに進んで行けば、開けた場所に出た。

竹林の竹から落ちた枯れ笹に覆われた地面、その中央に妹紅が居た。

 

彼女の下へと、俺はゆっくりとした足取りで向かう。

 

 

妹紅「....おはよう、練也。」

 

練也「おはよう....。妹紅。」

 

妹紅「....もはやここ迄足を踏み入れたんだ、後戻りなどしようとは思わないだろうな?」

 

練也「...教えてくれ。俺が強くなる方法を....!!」

 

 

俺が語気を強めつつ、妹紅へ向けて言葉を放つ。それに反応してか、彼女は俺を一瞥したのちにゆっくりとその場から移動する。竹林の中は笹の葉が擦れ合う音以外、何も聞こえない。

 

 

妹紅「私がさっきまで居た場所....。その場所へ行け。」

 

練也「....わかった。」

 

妹紅「....。そうだ。その場でお前は何を感じる....?」

 

練也「.......。」

 

 

周辺に吹くそよ風に揺れる竹、それに振られる葉っぱ。....朝の竹林の涼しさ....、この清らかな雰囲気...。....まるで心が清らかに、洗われる感じがする....。

 

 

練也「....まるで心が洗われる....。落ち着くよ。昨日の頭痛や、倦怠感が嘘のようだ....。」

 

妹紅「そうだ....。昨日の話を聞くに...、お前はただ単に突っ込んでいるだけしか能がない。いわゆる単調なイノシシのような戦いをしていた。」

 

練也「.....。」

 

妹紅「だが、イノシシみたいに突っ込むだけではだめだ。血気に任せて突っ込んで戦に勝てるんなら、幻想郷中皆々強者で溢れかえっているさ。」

 

練也「....。ぐうもいえねえ....。」

 

妹紅「まずはそこの意識を改めろ、その為にこの場にお前を呼び出したのさ。」

 

 

妹紅がそう喋り終えるや、輝夜が何処からともなく現れ、上空へと舞い上がりながら練也を見据えた。

 

輝夜「そうよ。....貴方の戦い方は、ひたすら真っすぐしか見えていない。それはこの世界の戦い、弾幕ごっこにおいては重大な欠点....。そこであなたの視野を広げることも兼ねて、弾幕の何たるかを私達で貴方に伝授しようってわけ。」

 

妹紅「丁度良く”獲物”も置いてきているしな。まずは空身から弾幕の中を掻い潜ることを覚えさせる。」

 

 

輝夜の周囲には不規則に弾幕が出現し始め、それを見ながら俺は驚愕の表情を浮かべずにいられなかった。

 

椛さんの弾幕を見たが、あれとはまた別の。空間全体を徐々に制圧しつつ、敵に迫りくる弾幕であると知れた。

 

 

輝夜「早速....、始めましょうか。....、避けてごらんなさい。」

 

 

輝夜が手を俺に向けて軽く扇ぐことによってか、弾幕がそれに連動して上空からゆっくりと迫りくる。まるで球状の輝く雪のよう、それがふわふわと降ってくるイメージと言えばわかりやすいだろうか....。

 

弾速は遅くても、少々密度は濃くなってきている。

弾幕の間隙を縫いながら、俺はそれらを地を駆けて避けていく...。

空を飛べるのって強力な能力だよなと思いつつ、その間隙を潜っていると.....。

 

 

妹紅「早速癖が出ているぞ...。何も上だけじゃない、横を見な、横を。」

 

 

首で示してみせる妹紅の目線の先にも、新たな弾幕...。

いや、先程輝夜が放った弾幕が跳弾して、その場で乱れ飛んでいた。

間隙を縫うことに集中していた俺は、その嵐に巻き込まれ、弾幕に命中。

 

続いて、爆発と砂塵が舞い、それらに包まれる....。

 

 

妹紅「ふむ...。」

 

輝夜「少々....、やり過ぎたかしら....?手加減はしたつもりなのだけれど...?」

 

妹紅「....死んじゃあいないだろ...。」

 

 

 

私と輝夜の前に広がる土煙で練也の姿が見えない、いや徐々に晴れてきた頃か...。

その中から、立ちながらゆっくりとではあるが、鼻血を垂らし片腕を押えて歩みを進めるアイツの姿が見える....。

 

 

輝夜「練也...?大丈夫...?」

 

練也「....なんとか.....。」

 

妹紅「.....。まだ続けるか?」

 

練也「痛いなんて言ってられるか。まだ、やってくれ.....!」

 

 

 

私と輝夜を交互にゆっくり見つめつつ、言い張る練也。

....恐らくこれでは元に戻るを繰り返す、骨折り損のくたびれもうけってやつになりかねない。

やつを落ち着かせるために、念のために常備していた打ち身、擦り傷、火傷の薬、この場合は擦り傷か....。

 

薬を塗りながら、私は練也に言った。

 

 

妹紅「....練也。お前は、戦いを楽しんだことはあるか?」

 

練也「....。....いや、...途中で我を忘れて無我夢中になることはあっても、楽しいと感じたことは無い。」

 

妹紅「物事は楽しんだもの勝ち、だ。お前のように馬鹿真面目に勝ちに行く奴ほど、余裕もなくなるし、視野も狭くなる....。最終的には戦いに勝つことからも目を背けることにもなる....。」

 

輝夜「”負け癖”っていうやつね...。」

 

 

練也「...。”負け癖”.....。」

 

妹紅「いいか....。今からでも遅くはない、それを克服していくぞ。そして強くなるんだ。」

 

 

 

どうやら、俺の幻想郷生活は、前途多難のようだ.....。

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