竹林に猛々しい声が響き、それに呼応して見えない波のような何かが数多に繁茂する竹を撫でた。
竹を撫でたことでそれらがまるで瞬間的に強風に煽られたが如く、その波が流れていく方向に著しくしなる。
練也「はああああああああああっ!!!!!」
俺は無我夢中で今しがた放てるようになった”不可視の波”を目標に向かい放ち続けていた。
竹林の中を素早く動き回る、その目標はただ素早いだけではなくその”対象に幻を見せ錯乱させる能力を扱う者”。
能力を扱えるようになったとはいえ、さすがそれ程の能力を使いこなす手練れ相手となってはいささか分が悪い。
鈴仙「何処を撃っているの。私はここだよっ!」
練也「っ!!」
襲い来る銃弾の形を模した弾幕、それらを先程から放っている力で薙ぎ払いつつも、払いきれなんだものは身のこなしでもって辛うじてその弾雨を突破する。
練也「(月の狂気だと.....。この間から聞かされていた、その話ってのはまさにこのことだったのか.....。分身や残像だとか、そんなもんじゃ断じてない。俺の目の前の空間は全て優曇華に掌握されている...!ならばひたすら突き進みそれを突き破るのみ!)あああああああああっ!!!!!」
鈴仙「(修行というから付き合ってみたはいいものの......、この戦い、まるで人の形と脳を持ったイノシシを相手にしているかのよう.....。動きは単調とはいえ、あの能力に加えてあの力、あの使い方.....。侮るわけにはいかないか....。)っ。」
体表全周目掛けて放つその見えない壁.....。”衝撃波”はその威力を発揮せんと、土埃や堆積している落ち葉などを巻き上げつつ、鈴仙に迫るが、それもまた幻影そのものであった。
命中の手ごたえなぞは、まだ感じ取れるわけもなく。はなから命中させることなど叶わんと見ていた練也は、更なる攻撃を繰り出そうと躍進する。
練也「だっ!!!!!!」
利き足である右脚の足裏に、意識を集中させることにより熱が集まる感覚を覚えた。
その感覚というのは、彼が幻想郷に来る直前。自身に擬態したワーム諸共この世界に干渉するきっかけを作った、あの能力と同じ感覚である。
足裏から一気に力が出たがっている。
それを感じた練也は、一気にその場から一歩踏み込む感覚で、前へと勇み出た。
ッッッッッドッ......!!!!!!!
溜めを込めたような、そのような発音を聞き届けたのちに、発生する現象。
練也は前方へと大きく躍進して、それはまさに怒涛の如く勢いから発動された強力な撃力からなる一足跳び。
表現としては跳ぶという字で適切なのであろうが、その勢いの余りの凄まじいこと。
瞬間的にだが、彼は”飛んで”いるように見えた。
ッッッッッッオオオオオオオオッ!!!!!!!!
幻想郷に木霊するほどの騒音が、その場に巻き起こった。
彼の右脚から後方へと衝撃波が発せられ、それがバックブラストの形となり後方に見えない圧が加えられた、その後刹那、彼は優曇華へとその身体を突っ込ませたのである!!