ナイフを身体に浴びては火花を散らすカッシスワームは、その攻撃を放った一人の女性、十六夜咲夜に顔を向ける。
こざかしいと言わんばかりに唸り声を上げつつ、そのブレードの切っ先を彼女へ向けた。
フリーズも終了したため、レプトーフィスワームの動きも枷を解かれた獣の如く俊敏な動きにて、カッシスワームから間合いを取る。
咲夜「アリスから詳しい話は聞いているわ。.....ここはひとつ、協力と行きましょう。」
レプトーフィスワーム「.....ふん。人間にまさか遅れを取るとはな....。」
戦闘の火ぶたが再び切って落とされる。
その先を行くはレプトーフィスワーム、一瞬にして姿を消したかと思えば、カッシスワームの横より拳打を浴びせにかからんと襲い掛かった。
しかしそれは、よまれているも同然の動き。
カッシスワーム「ふん....。擬態する人間を間違えたな.....、その愚かな人間と同様....。貴様も地獄に落ちるがいい....。」
咲夜「私も忘れてもらっては困るわね....。」
カッシスワーム「ほざけ。人間風情が!」
フリーズと咲夜の時間停止能力が同時に発動し、それからその二人だけの時間軸での戦闘が始まった。
舞い散る木の葉の一枚、舞い上がる胞子の一片、群れを成して移動する妖精の一団、その光景全てが停止する中、激烈な戦闘が繰り広げられた。
ナイフの雨とも呼べるべき、その素早いナイフ捌きから繰り出される、遠距離攻撃。
常人離れしたその技を前に、カッシスワームは火花を散らしつつしゃにむにブレードでナイフを薙ぎ払いつつも前に押し進む。
カッシスワーム「時間を人間ごときが操るなどと....!」
咲夜「忠告しておいてあげる。.....”ここは、幻想郷”よ。」
迫りくるカッシスワームの猛攻。
しかしカッシスワームの更の後方からも、攻撃を放たんとするものが居た。
時間停止の最中であるにも関わらず、動き出すレプトーフィスワーム。
その拳が、カッシスワームへと放たれ堅牢な外殻へと容赦のない鉄拳がめり込み、火花を上げた。
不意をつかれて吹き飛ばされるカッシスワーム、そこへ更に虚空より放たれる大量の弾幕、そして赤錆びた道路標識の亡骸、容赦なく浴びせられる攻撃に、応じながらも着実にダメージはその身体に蓄積されていく。
紫「貴方のその厄介な特性は、調べさせてもらったわ.....。......なるほどなるほど、.....ふふふ。」
咲夜「八雲紫....!」
レプトーフィスワーム「....お前達、どの様な状況だこれは。」
紫「私の力を貴方達に対して使った、それだけのことよ。物事には必ず境界が存在する....その境界をいじることが出来るのが、私の力...。」
カッシスワーム「なにおお...ごちゃごちゃと言っている。」
紫「言っておくけど、この空間に干渉する事象における全ての力....そうね。貴方の持つ、”フリーズ”....と言ったかしら?時間を停止させる能力。....私の手にかかれば、先程のようなことも可能よ。....よって貴方の手の内は全て掌握済み....勝ち目は万に1つもなくなったわ。」
レプトーフィスワーム「(空間に干渉する、すべての事象を制する力だと....?)」
紫「それから....、貴方ね、練也に化けたという怪物....ワームは。」
レプトーフィスワーム「....それがどうした。」
するとどうだろうか。彼の腰回りには突如として囲う形でスキマが出現し、それに沿う形でライダーベルトが出現したではないか。必然ともいうように、そのライダーベルトは彼の腰に装着される。
レプトーフィスワーム「何の真似だ。」
紫「あら?ずいぶんな物言いね?せっかく貴方にもっと面白く戦わせてあげるというに....。.....それより来るわよ?」
凄まじい勢いで駆けるカッシスワームはその鋭利なブレードを突き立てようと迫る。
それを散開して、各々その紫色の外殻に覆われしワームを見やる。
木立の間を何かが縫って飛来する気配、それが一つ。
その気配は大きなものではないが、大いなる力を秘めているようであった。
黒く煌めく外殻を身に飾り、黄色に赤の配色があるそのモノは、甲虫の形を成しているようであった。
それが、レプトーフィスワームの腕の中へと飛び込むようにしておさまる。
レプトーフィスワーム「....これも貴様の力の影響か....。」
紫「そうよ。せっかく彼に擬態しているんですもの....。貴方も真似るところまで真似てみては如何かしら....?」
くつくつと余裕のある笑みを浮かべる紫からの言葉を他所に.....。
レプトーフィスワーム「.....。」
ただ黙して、迫りくるカッシスワームを見据えつつ......。
レプトーフィスワーム「.......!」
その黒い外殻を纏いしものを手に収めつつ、それを顔の位置まで持ってきて...。
そこから声に出し、それを実行した。
レプトーフィスワーム「.....変身....!」