東方 外来人物語   作:佐藤練也

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第5話

練也「.....。」

 

代々から伝わる言い伝えと言われていた、秘薬の存在.....。その秘薬がしまってある場所.....。神職は冗談めいた風に言っていたが、どうも真実味がある....。当初発見した時ではそんな雰囲気の代物でもなかったし、一緒に何か封じられていたわけでもなかった....。俺が何故考えを改めるのかと言えば、答えは簡単だ。この丸薬の臭い、苦いだけでは終わらなかった。どうやらこの丸薬の成分は臭いにも濃く付着しているようで、それが俺の身体へ流れ込んできている。このままでは、何かまずいことが起きるかもしれない....。俺はその自身の予感を信じ、早急に壺を元の位置に戻そうと動き始めた。

 

練也「......(おかしい....。感覚が変だ.....。)」

 

 

戻す作業をやっている最中にも変化は刻一刻と現れ始めていた。身体が熱を帯び始めている、それに加えて呼吸がどんどん荒く、短めに....。壺を持っている手も、小刻みに震えだしてきた。

 

練也「.....ふ、.....くっ......。」

 

なんとか壺を戻し終わって、他の箱類も大体ではあるが元の場所へ積み上げた。さあ。宝物庫の秘薬は確認できたし、これは恐らく自分の中で留めておいた方が良い話だから、むやみやたらにしゃべらないようにしないと...。俺は脚早に、その場から歩き始めた。先程から視界が眩む、足取りがおぼつかずに、呼吸も荒く、身体が熱を帯びている。どう考えても普通の状況じゃない....、焦りを感じていた俺のポッケから、何やらポロッと何かが零れ落ちた。手に取って見ると....、それは先程しまい損ねたであろう黒い丸薬があった。ポケットに勢いでしまい込んでいた分が、残っていたのだ。

 

練也「.....!」

 

こんな訳の分からない秘薬が原因で、もしかしたら死ぬのか俺は....。好奇心だけで行動したのが、今になって阿保らしいと思っている自分がいる。.....こんな状況に未だかつてなったことがないし、なったところでどう対処が出来ようか。現に時にゆだねる格好になってしまっている。何とかその足で宝物庫から屋外へ出たところで、月明かりに照らされた自身の身体を見る。”感じた”だけの問題では、もはやなくなっていた。

 

練也「....湯気.....蒸気...!!?」

 

身体から湧き上がる様にして、白い蒸気が俺の身体から夜空に向けて立ち昇っていた。寒い日に運動したスポーツマンによく見られる現象ではあるが、到底ここ迄の規模にはならない筈....。ましてや今日の俺の運動量などもってのほか....。銭湯の熱々のお湯から立ち昇る湯気といい勝負である。

 

練也「.....なっ、何だこれ.....!」

 

驚いてつい声を上げてしまった....。だって、いきなり自分の身体から大量の蒸気が立ち昇るなんて思ってもみないだろ?なんとかその場で立っていると、その場に人の気配を感じた俺は、その方向へ顔をやった。.......ここからは更に、誰もが経験したこともない境地に俺は足を踏み入れる。そんなことは微塵も予想出来なかった。

 

 

???「........。」

 

練也「そんな....。.....ばかな....。」

 

 

そこには.....、”俺が居た”。

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