第60話
練也「クィッ....。」
彼、佐藤練也は外来人である。この幻想郷において、外来人というのは外の世界...つまり現代社会から幻想郷へ迷い込んだ人間の総称を言う。
その外来人は今、魑魅魍魎...いやその言葉を使うには些か不適切な場合である。何故ならそこに跋扈しているのは、美女の集団なのだから。1人、その中から練也に手を招く人物が。
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全く...。ワームを全て倒したと思ったら、次は鬼に絡まれるとはな....。運良く酒の席で見つけたウィスキーを楽しんでいると、やはり心が安らぐものだ。
んっ?なんだ?...なんか、手招きされてるんだが...。
ピンクより淡い色合いの服色。背中より生える黒い翼...吸血鬼や悪魔を想起させる外見。更に用意されている玉座に堂々と腰掛ける、その顔はどこか幼いように見えるがそれを感じさせない内面。その真紅の瞳が、俺をしっかりと捉えていた。
間違いない。彼女は...赤い霧の吸血鬼...。
レミリア・スカーレットだ。
レミリア「...(来なさい、こっちへ...。)」
........。やれやれ、なんか来いって言われている気がするぜ...。いや、片手でクイクイッてやってるってことは、そういうことだよな。渋々、よっこらせとウィスキーの小瓶を片手に提げてその場へ赴く。しかしその場で予想外にもまた新たなゲストが後ろから現れた。それが俺の背中にぶつかり、見事に前のめりに押し倒す。
練也「あいたぁっ...!??」
???「ううぅぅ....」
れんな「もう、妹さま!だめじゃないですか、はしゃぎ回っちゃいけませんとお嬢様や咲夜さんから...、って練也さん?!!」
練也「おっ、おぉ.....。すげえ勢いだったぜ....れんな。」
今、妹さまって言ったか?...うつ伏せの状態から、れんなの声に答えつつ背中にある感触。それがムクッと起き上がる感じがした。
フラン「あれ?お兄さん、誰?」
練也「名前を名乗るからとりあえずそこを退いてくれないか...いてえんだが。」
れんながその少女を抱えて、俺から離れる。ぺこりと頭を下げる、如何にもメイドらしい佇まい。
れんな「ごめんなさい、練也さん!妹さま、お辞儀して下さい!」
練也「いや、良いんだ。どっこいしょ...」
ふと少女を見遣れば、先程からこちらを見つめている吸血鬼、レミリア・スカーレットと似た雰囲気である。ナイトキャップを被り、サイドテールの金髪。赤っぽい服、そして真紅の瞳。彼女は、間違いない。
フランドール・スカーレットだ。