(空高く見上げた青い、どこまでも続く空....。その空の何処からか、煌めきが見えた。その煌めきを認めるや、その方に元気に声をかけて1人の青年、外来人の佐藤練也は大きく片腕を上げた。)
(赤い外殻を纏う、甲虫形の自律変身デバイス...。"カブトゼクター"。この幻想郷にて会う、2人の縁は、これから色々な者達との出会いの繋がりとなるのかもしれない...。)
(OP)
萃香とレミリアの弾幕ごっこの終幕を宴会の終わりとするかのように、幻想郷の住人達は各々日頃から連んでいる者達で固まり帰路に就く。喧騒に包まれていたのが嘘のように、白玉楼の庭先は静寂が再び広がる。その静寂の中、視界に広がる桜並木、その桜達が散らす桜吹雪、そのどれもが美しい。
練也「....っどっこいしょ....。」
宴会の会場撤収をやる練也は、視界にその美しい光景を目に留めてついその動きを止めた。魅入るとは、こういうことなのだろう。ライトアップされているわけでもないのに、まるで桜一本一本が光に照らされているかのように美しい。光源がどこにあるのか、何故こんなにもこの桜は美しいのか。考えているうちに、後ろから声をかけられたことでふと我に帰った。
幽々子「随分と気に入ってくれた様子ね。嬉しいわ、桜達も喜んでいる様子だし...。」
練也「幽々子さん...。」
西行寺幽々子、白玉楼の亭主。彼女の立ち振る舞いは優雅に宙を舞う桜の花一輪、そのもののように練也には見えた。"ふんわり"といった表現がしっくりくるような、いつも余裕と懐の深さを感じさせるその表情、佇まい。練也を一瞥して、冥界の桜を見つめた後に言う。
幽々子「幻想郷には、外の世界とはことなり非常に目に見えない存在そのもの、そしてその力を感じることが出来るの。...貴方が先程から見つめていたあの桜達の美しい様子。アレはね...人間達の魂が寄り集まってあのような形になるのよ。」
練也「....魂....霊?」
幽々子「そう...幽霊。別に危害などは加えたりしないわ、安心して頂戴♪今宵の宴、楽しかったわ!」
優しく笑顔を向ける幽々子。桜を見ていた練也も、それにはにかみ返してその静寂を和やかに保ちながら、作業は淡々と行われていった。
食器類が片付け終わる頃に、日は昇り始めた。山の稜線から太陽の頭が見え、陽光が桜達を照らしていく。その様子を見ていた3人、幽々子、妖夢、そして練也は、のんびり白玉楼の縁側へと腰を下ろした。
幽々子「無事に宴会も終わったわねえ〜。」
妖夢「そうですね。お疲れ様でした、幽々子様。練也さんも、宴会の片付けありがとうございます。」
練也「あれはキチィって、あの量は1人じゃ荷が重い....。」
幻想郷の宴会は外界の打ち上げ会や忘年会の二次会や三次会とはレベルが違う規模で行われる。とても1人では捌き切れない規模なのだから、妖夢1人に任せるわけにはいくまい。そんなこんなで撤収完了までことなきを得たが、夜通し飲み、一睡もせず、更にはこの重労働が重なって神主佐藤練也は、虫の息となりつつあった。縁側に突っ伏す神主に、労う形で出された茶と串団子。それをムクリと起き上がり、一口口に入れた。
練也「ほのぼのー」
妖夢「お団子美味しいですね♪」
幽々子「えぇ、とっても美味しいわあ♪」