東方 外来人物語   作:佐藤練也

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第64話

花びら舞う、胡蝶の庭園。桜並木が立ち並ぶその広い庭を眺める俺の目は、自然と妖夢の側に置かれていた太刀に目がいく。

 

 

妖夢「練也さん?」

 

練也「稽古は、どれくらい積んでいるんだ?妖夢は。」

 

妖夢「普段は庭師、幽々子様の身近のお世話をさせて頂いてますし、それが本業になりつつあるんですが...これでも剣術指南役など任されるくらいには嗜んでますよ。」

 

練也「...,嗜む....たしなむ.....、そうか。」

 

 

ゆっくり柱に預けていた背中を起こし、その身を立たせる。剣術指南役ともなればその戦いのイロハを心得ている筈、しかもこの妖夢の余裕を崩さぬ曇りのない表情、間違いなく俺の目からは、強者の立ち振る舞いに思えた。

 

 

妖夢「練也さんも、槍を持って戦うというふうに聞いたことがあります。」

 

練也「まだ満足には戦えていない...だがいずれは...。」

 

 

2人でのんびり交わす会話の中にも、厳か、和やかな雰囲気は絶えず、その場の時を刻んでいる。そのすぐ近くでモグモグと串団子に舌鼓を打つ幽々子さんの姿は、いつもの白玉楼の日常の一幕と思う。俺もあらかじめ皿に載せて差し出された串団子に手をつけようと、ゆっくりと手を伸ばし、またゆっくりと座った。

 

 

幽々子「あら?てっきりどこかにいくんじゃないかと思ったわ?出された食べ物くらい食べていきなさいと言おうと思っていたのだけれど?」

 

練也「"日々に食む、海川山野の召し物は、保食神(うけもちのかみ)の恵み得てこそ"...。出されたものは感謝していただきますよ。」

 

幽々子「よろしい。でもどうかしたの?先程も妖夢の太刀を見たりしていたけど...。」

 

妖夢「ふむ....。そういえば....。....宴会が催される折、預かりものがあった筈です。迷いの竹林の白兎の方々が、練也さんに渡すものがあると。」

 

練也「俺に?」

 

 

俺は疑問に思った。何故迷いの竹林の御仁が、渡すものがあると言うのか。幽々子さんはそれの内容を察した様子で、帯に差していた扇子を手にした。彼女は妖夢に向かいゆったりとした口調にて語りかけた。

 

 

幽々子「妖夢?すぐ近くで練也と一緒に戦ってみなさいな。」

 

妖夢「良いんですか?というか藪から棒過ぎませんか、幽々子様。」

 

幽々子「先程の彼の貴女に対する視線、そしてその挙動。落ち着きの無い感じは、明らかに手合わせをお願いしたいという気持ちの現れと、私は感じたわ。..."槍"を持ってらっしゃい。」

 

妖夢「...。かしこまりました。」

 

幽々子「槍を傷付けちゃダメよ。」

 

 

妖夢は座敷の方へと戻っていき、それを見送る幽々子さん。しかし、槍とは...。

 

 

練也「....思い出した!」

 

幽々子「あら?思い出したのかしら?」

 

練也「...永遠亭に忘れてきたままじゃないか!すっかり忘れてた!」

 

幽々子「丁寧にしていただいたことに感謝しなさいね?落とし物や忘れ物は、戻ってこない方が多いんだから。」

 

 

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