俺は、白玉楼から出る際に妖夢から一つ、話を聞いた。
彼女には、遠い昔まで伯父に当たる人物が身近に居たらしい。
名を魂魄妖忌。この幻想郷に於いて剣の才に関しては右に出る者は居ないとされる、天から剣を授かったとも言って過言ではない人物だ。
なるほどあの妖夢の師範に当たる人物。槍を少し習い、更にスペルカードを身に付けたところで敵う相手ではないと、俺は痛感した。痛いと思う以上に感じた程、その実力差は大きい。だが別に悔いはない、この経験がそもそも俺のこの世界に対する関心を、より一層高めてくれる。楽しいじゃないか、この世界では外の世界では出来ないことをやらしてもらえる。それに、それにだ...。俺は狩衣の下に巻いた、鋼の帯。ライダーベルトを軽く手で撫でるように触りながら、夕刻の空を眺め帰路に着いた。
練也「白昼夢の中で見た、あの人が....。」
肩にボロ布で覆われた十文字槍、それとライダーベルトを身に帯びた俺。その周りを見送るように辺りを漂う、無数の霊魂達。この霊魂達も一つ一つが、元はこの幻想郷で生を送っていた者達なのだろうと考えると、この世界....非常に外の世界以上に豊かなのかもしれない。
失われつつある、目に見えぬ存在への関心、それらが引き起こす事象...。更には、死して行き着くその先の次元...。この世界は、まさに全てを受け入れている。どの高性能な人をダメにするようなクッション以上、どんなに深い海の底にある世界以上に....この世界は...、受け止めてくれる。俺という一人のちっぽけな存在でさえも...。
紫「幻想郷はお楽しみになられているかしら...練也?」
練也「紫さん...。」
紫「楽しんでいる様子だから、見に来たわ。どう?幻想郷は?」
練也「楽しいです。....こんなに深く感じ、周りを見ながら考えたことは、外の世界じゃありえませんでした。」
紫「ふふ。それはよかったわ...。もう一人の貴方とも、じきに相見える。その時はもっと...。」
練也「....俺に擬態したヤツが...!?」
紫「まだ貴方が腰を上げる時じゃないわ。今日も妖夢と戦い疲れているのだから、ゆっくりしなさい。戦うなどと思わないこと。わかった?」
ワームは擬態した人物を排除するまで執念深く追い続ける...。それを俺は認識していた、現にこの幻想郷に来る前にも殺されかけたし、一戦交えている。そんな奴が、のうのうと俺を放って置くなど考え難いことだ。
紫「安心なさい。この世界は、絶えず貴方に味方する。..."貴方が臨むことをやめなければ"、ね。」