まさかだった...。この世界で初めて思い知った、それは人間の強さとかでは断じてない、...とは思いたい。しかしながら俺はこの力を以ってして、あの人間の女が放った光り輝く光球をばら撒き、それを纏いつつ凄まじい勢いを伴って突進をするその技の強さを、確かに感じた。
あの必殺の技を思わせる、強力な波動、その女から溢れんばかりの自信。...そうか。...アリスの言ったことにただの嘘など、これ程にも含まれていなかった。まさにあの女は、アリスを含めたこの世界に君臨する強者ということに他ならない。遠くで何か聞こえる。...複数の女の話し声のようだ。
アリス「魔理沙、...貴女は私の話を本当に聞かないもの...。まさか本当にやっつけようとするなんて....。」
魔理沙「なんだよ!私はアリスの為を思ってやってやっただけだって!」
アリス「それが余計なお世話なの!貴女、彼のことをただの人間や生き物を襲う恐ろしい怪物だとしか見ていないんでしょ?貴女がそう思っている反面、彼はそれとは違うことを日々の生活で私やシャンハイ、人形達に見せてくれているわ!家事だってするし、シャンハイ達と遊んだりしてくれる、私にコーヒーも淹れてくれる...!そんな彼のこと...!」
魔理沙「おっ、おい。アリス...!」
アリス「恐ろしい怪物だなんて、言わせないわ!」
その場で私が魔理沙に想いの丈を述べた時、パンッと一回音がして周囲に張り詰めていた険悪な雰囲気はなくなり、静寂が訪れる。玉兎の子達や、助手で勤めている優曇華も、影から様子を見守っているようだけれど。
優曇華「...ねぇ、てゐ?」
てゐ「何?」
優曇華「あの、今回連れてこられた外来人の男の人....、前回運ばれてきた人と同じじゃなかった?」
てゐ「私もそれは思ってたわ...。こんなすぐに来るなんて、よほどの戦闘狂なのね、あー怖い怖い。」
柏手を打ったのは、八意永琳....。彼女は静かで穏やかな表情のまま目を瞑っていたが、私たちの方に向きながらその目をゆっくりと開けた。
永琳「貴女達のとった行動に、どちらとも間違いはないわ。アリスは彼の姿を日常の中で見続け、彼の行いを信用、彼自身を信用して魔理沙を止めた。魔理沙も、アリスの身を案じて彼に勝負を仕掛けた。お互いに正しい行動をした...。貴女達も、彼も、何も被を論ずるべきところは何もない...。....わかった?」
永琳がそう言うと、その場は静かに、自然と穏やかな雰囲気が流れ始めた。