以下、チルノがガマの口内から救出されるまで、一瞬の出来事である。
諏訪子「神様を馬鹿にしたね...?」
チルノ「あっ??!」
チルノがガマの舌に捉えられた、そして大きく口が開かれたその中へと、チルノが叫ぶ間もなく取り込まれようとした....。
〈HEN-SHIN〉
その時、どこからともなく聞こえて来た機械音。それと同時に何かが、空間の中を移動した。擬態練也の変身した、ダークカブトである。
〈CLOCK UP〉
舌に巻き込まれ、口内へと取り込まれた状態のチルノ。それを口が閉じる前に絡めとった舌を両腕にてチルノから引き剥がし、彼女を抱えて地面へ降り立った。大妖精の近くへとチルノを立たせて、自らの手でクロックアップを解除、時の流れが元に戻った。
〈CLOCK OVER〉
チルノ「うわあっ!!?!....あれ?」
大妖精「あれ!?チルノちゃん....あの大きな蛙に飲み込まれたんじゃなかったの!?」
諏訪子「いつのまに...!」
両者の間に佇む、黒い鎧に身を包んだ人間のような存在。その黄色に煌めく瞳は、互いを見据えている。その傍らにはどこからともなく1人の可愛らしい人形が飛んでくる。
諏訪子「貴方誰...?邪魔しないで貰えるかしら?」
その1人と一体の人形を見遣り、邪魔をされたと少しだけ気分を害した様子を露わにする諏訪子。ガマも合わせてその方に目を移し、その巨体を身動ぎさせた。
擬態練也「ただの通行人とその付き人だ。...悪ふざけが過ぎるところを偶然見かけたのでな...。」
諏訪子「偶然通りかかった者が、何ゆえの縁があるかわからないけど。灸を据える邪魔をしないでもらえるかな?その氷の妖精に、私は用がある。」
チルノ「アンタ...、誰?」
両者の間を隔てるように佇む、その存在に目を向けるチルノ。黒い背中を見ながら、彼女は大妖精の傍らにてその背中に問いかけた。
擬態練也「.....怪物でいい。」
チルノ「怪物...?」
大妖精「あっ...2人共!」
ガマの泡酸が口から放たれ、3人もろともその一帯を飲み込まんと迫り来る。泡に飲み込まれた者は、毛の一本たりとも残すことなく溶かし尽くしてしまうその泡を、擬態練也は2人の少女を脇に抱えて大きく跳躍、それを木を伝って回避する。
擬態練也「...後で代わりに灸を据えてやる。行け。」
チルノ「9️⃣?」
大妖精「もう!チルノちゃん!...ごめんなさい!ありがとうございます!」
そう言い、妖精2人は木々の間を縫い飛んで行った。それを見て逃すまいと追い迫る気は、洩矢の神にはもうない様子である。蛙に対する悪戯がどうとか、灸を据えるとか、そういう戯言を起こす気はなく、急な来客を歓迎するかのような柔らかい態度を露骨に表して、口にする。
諏訪子「面白い子だねぇ。....少し遊んであげる♪」