自警団の屯所にて。佐藤練也が上白沢慧音と別れてから、屯所の中へとのんびり入っていく彼の後ろから声を掛ける者があった。
???「おはよう、練也。」
自警団の寄合に集まっていると、誰か声をかけたので、そこに顔を向けた。青い着物に、白い帯が特徴の温和な雰囲気の男性が歩み寄る。
名を、加藤馬之介(かとうまのすけ)と言った。肩幅も練也程、着物越にもわかる精悍な身体は、日頃から鍛えている証拠だろう。
馬之介「いつも思うけど、神社の神主と自警団を兼任なんてよくやるよ。」
練也「二足の草鞋じゃなきゃ食って行けないのさ。お前らホームの人間とは違い、俺はアウェイの人間なんでね。」
馬之介「ほーむ?あうぇい?なんだそれは。」
練也「外の世界の言葉さ、気にしないでくれ。」
外来人に対するこの世界の人々の当たり方、当初は冷たさを感じるものがあったが、今では特にそんなことはただの一つもない。先の異変から、ある程度の期間は空いたが、この世界は俺の頑張りを認めてくれていると思いたい。精一杯戦い、あの結果なら...。...だがまだだ。俺はまだ、この世界に来てまだそんな月日は過ぎていない。これからさ。
馬之介「はははっ、お前は面白いくらい、顔に出るな?」
練也「何ぃっ。」
肩を軽く小突かれ、動揺を隠せない。馬之介は畳の上に横になって、天井を眺めた。
馬之介「お前が外の世界から来た人間だということを、周りの奴らは最初変に思っていた。だけどな。俺は違うんだ、練也。」
練也「...そう?」
馬之介「ああ。どんなヤツなんだろ、一体俺たちが見たことがない世の中で、何を見てどう育ったのか。俺はさ、お前のその前を見続ける姿勢が、みんなの悪い気を遠ざけた気がしてる。お前、いいとこ持ってるんだからさ。力まずさ、...."力抜いて"いきなよ。」
練也「...どの世界でも、そう言われるのか....。俺の本質というものは、いいことも悪いことも、そこに帰結するのかもな...。」
馬之介「ははは。そうに違いない。お前の長所であり、短所である部分だ...。そういえば...お前すごい力を使えるらしいじゃないか?」
練也「そうさ...まるでこの世界に来ることが運命付けられていたみたいだ。」
この世界の力を、命の危機に瀕した瞬間に手に入れ、更にカブトゼクターとも縁を持ち...更に紫さんからスペルカードを受け取った....まさにこれから本格的に介入を求められている。そんな気がする。
馬之介「お前も、アレか?妖怪ともつるんでる感じか?俺も真っ当につるんだことはなかったけど...実際どうなんだ?遠巻きから見たことしかないからさ。」
練也「みんな、いいヤツばかりだよ。...優しいヤツばかりだ。」
馬之介「...そうか。」
ーーーーーーーー
アリス「...練也、シャンハイ、遅いわね....大丈夫かしら?」
魔法の森のアリス邸にて2人の帰りを待つのは、アリス・マーガトロイド。窓辺から人形達と共に彼等の帰りを今かと待ち続け、眺める彼女の姿。徐々に森には、雨が降り始めていた。