諏訪子と擬態練也の弾幕ごっこが始まってから、辺りは焦げた匂いが立ち込めていた。お互いに見据え、互いに攻め合い、そしてまた戦う。
ダークカブトの銃撃、斬撃、そしてシャンハイから放たれる擬態練也の殺人音波の影響を受けた高威力の弾幕が、諏訪子の放つ鉄輪、弾幕と拮抗している。
ダークカブト「ちぃ!」
諏訪子「はぁっ!」
1人の氷の妖精の悪戯から始まった弾幕ごっこ。無益な殺生は闘争を引き起こし、その激しさは増していく。
諏訪子「っ!」
途端に合掌の姿勢をつくり、動きを止める諏訪子。その直後地鳴りが響き、地表が揺れ、ひび割れ始め、裂けて盛り上がり、地中より何かが出て来る。それは白い、大蛇であった。白い身体とは対照的な口は、赤い紅が塗りたくられたように紅く、鋭利な牙が擬態練也を捉えようというように煌めく。そのわずか一瞬の内に、白い大蛇、赤口(みしゃくじ)神はその鋼鉄のボディーを丸呑みにせんと襲い掛かり....。
慧音「喝っ!!!」
諏訪子「っ!!?」
ダークカブト「...!!」
突然響く一声、そして両者の間に横から入り込む蒼長髪を持つ、1人の女性。...更にその女性は赤口神の顔を側面から頭突きをして、気絶させてしまった。頭の上でひよこが回り、目をバッテンにして横たえている。
諏訪子「貴女は、...人里の!」
ダークカブト「...誰だ。」
シャンハイ「シャンハーイ!」
ダークカブトの前に降り立ち、全力で庇おうと言う姿勢を見せるシャンハイ人形を他所に、慧音は何故この場に駆けつけたかを話し始めた。
しかし何かと想像は出来るか、それもそのはず。
チルノと大妖精が授業開始時に現れないことを心配して、慧音が校外へ出たちょうどその時に、2人が飛んできた。そこでことの顛末を聞いたわけである。今彼女の傍には、カエルを氷漬けにした張本人。氷の妖精チルノが、頭に大きなたんこぶを拵えて大人しく抱えられている。
慧音「この度は、私の生徒がとんだ狼藉を働いてしまった。この童にはわたしからキツく戒めておく。どうかその力を鎮めてはくれないだろうか。」
諏訪子「むぅ...、次は絶対しないでね?見つけたら、次は丸呑みにして溶かしちゃうから。」
慧音「ありがとう...。...おや。」
ダークカブト「....。」
黙って佇む鋼鉄の戦士は、ゆっくりと腰に据えた漆黒の昆虫の機械を抜き取り、その姿を露わにした。それは、最近外来人としてこの幻想郷へやってきた、佐藤練也であった。...慧音は、彼が佐藤練也に擬態したレプトーフィスワームだとは、まだ知らない。