夜になって、魔法の森に佇むアリス邸の中に灯りが灯った。窓から外に漏れる暖かそうな感じを覚える光、その中を覗けば、3人が仲良くテーブルを囲み夕飯を口にしている。
アリス「ねぇ、練也。明日良ければ、水妖バザールに行きましょうか。」
擬態練也「バザール....。」
アリス「どうかしら。嫌なら私とシャンハイで行くけど...。」
何か、多くのものを売り出している市場に行くらしい、如何な規模か気になるところではあるが...。そう思案をしている擬態練也の頭には例の如くシャンハイが、ぽふんっ。と尻をつく。
擬態練也「いや。...行こう、荷物を幾つかは持てるだろうが。」
アリス「別に、そんなことで一緒にお出かけなんて思わないわよ。」
擬態練也「そうか...。」
外に虫の鳴き声が響き、どこからかカエルの合唱も聞こえる。その中に虫の羽音のようなものも聞こえた。それを聞いて、彼は何かに会えるかもしれない気持ちが生まれた。待ち焦がれた、"何か"に。
朝が来た。
清々しい幻想郷の朝だ。朝の4時に設定したアラームが、練也の自室に鳴り響く。ピピピッ、ピピピッ、ピピピッ。けたたましい音が耳を突き、一瞬身体をビクッと震わせて布団を捲り、目を擦りうすら目を開ける。作務衣に身を包んだ身体を起こし、流し場へと向かう。まだ地平線からは太陽が昇りきっていない、しかしその明るさは確実にこちらにも届いていた。
練也「...。」
シャカシャカと歯を磨き、洗顔してから鏡を見る。その鏡越しに一瞬映るカブトゼクター。振り返り縁側に出てみれば、遥か彼方へ飛び去るカブトゼクターの姿が見えた。
練也「...アイツも元気だな...。こうしちゃいられない。」
昨晩、慧音と妹紅の3人で酒を飲んでいた彼は、程よい量の酒を飲んだ為か、気分が良かった。鬼や妖怪達が勧める量よりかは少なめだし、だけど味気ないということもなかった。気分は穏やかであった。今日は特に予定もないが、何をしよう...。
練也「...おや?」
縁側を囲む塀の上から、何やら一部の新聞が舞い込んできた。見出しを開き、また一枚と捲り、そしてそこに書いてある記事に目をやった。
"未来水妖バザール、本日開幕""河童の発明品"、"妖怪の山の幸"、"玄武の沢の渓流魚"などなど、"豪華品揃え出品予定"。
練也「文々。新聞、...か。文ちゃんも朝早くから大変だな。...よし。行ってみよう。水妖バザール!」
彼は未来水妖バザールへ行くため、ゆっくりと身支度を始めたのだった。