アリス「今日は、アドバルーンが展示されている日だったのね。通りで人だかりが出来ているわけだわ。」
巨大な人の形をした風船が、その巨体を微風に揺らす。それ両手を一杯に開いてまるでテーマパークにでも来た気分だ。どこからかマイク音声が響き、ミュージックが流れ始める。楽団の演奏が始まったようだ。
アリス「プリズムリバーの姉妹が来ていたのね。少々、見物して行きましょう。」
擬態練也「...ああ。」
絶えず周りに目を配らせ落ち着きがない様子が目についた為か、シャンハイが籠の中から俺を見上げる。視線を感じ一旦目線をシャンハイに向ける。少しばかり首を傾げるシャンハイの姿を見つつ、周囲の気配を注意深く探る。
シャンハイ「シャンハーイ!」
擬態練也「んっ...!?」
シャンハイが頭の上に乗り、頭髪を尻に敷く。あまりキョロキョロしないで合奏に集中してという風に、頭髪を両手で引っ張り俺の頭部の動きを抑制してくる。地味に強い力で引っ張られるのでこれが痛い、やめてほしいものだが...。金管楽器、シンセサイザー、弦楽器を使い、演奏を奏でる三姉妹の姿に目をやる。
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にとり「ここだ。着いたよ。」
練也「何か...演奏が聞こえるな...。コンサートでもやってるのか?」
にとり「ああ。今日はプリズムリバーのところの演奏会があるからね。アドバルーンも見物していくと良いよ。あと、渡したい物だけど....。」
そうにとりが言い始めた、その時だ。聴衆客の中にどよめきが起こった、それに反応したにとりが後ろを向いたまま、俺の方を向いたまま、固まったのだ。一体なんだと、自分も狩衣の衣を肌に擦らせる音を立てながら、後ろを向いた。
にとり「....。...見間違いじゃ、...ないよな。...アンタなんで、2人いるの...?!」
練也「....!....にとり...話は後で。」
俺の眼前には、黒いジャケットにズボン、赤いシャツを着た、1人の人物が立ち塞がった。あの、自分に擬態したワームだとわかるのに時間はかからなかった。
擬態練也「....。ようやく見つけたぞ....。」
死んだ魚のような目を、俺に向けてくる。すると、ヤツは背中を見せてゆっくり歩いていく。この場で俺を殺すことなど容易に出来るはずなのに、何故すぐに殺さない...?俺は疑問に思いその背中に声を掛けた。
練也「おいっ!待て!」
擬態練也「...黙ってついて来い。邪魔が入らない場所でケリをつけてやる。」
練也「....!.....ああ!のぞむところだ...!!」