一瞬の浮遊感が2人には感じただろう、無理もない。大きな衝撃が身体に降り掛かり、そしてそれと同時に足下には大きな空間がいきなり口を開けたのだから。カブトとダークカブトはその空間、スキマに飲み込まれた後に、互いに吹き飛ばされその空間の中をずった。
カブト「....!....スキマ...?!」
ダークカブト「....一体何が起こっている....。」
ここが異空間であることに間違いない。空間のそこらかしこに目、生気の感じられない目が全て、自分達へとその視線を向けている。上に目をやれば、1人の御仁が静かに降りてくる。宙を何ごともないように、その場に降り立つ。日の光も、雨もない場所で傘を差し、その傘の影からは美貌が露わになる。目を細め薄ら笑いを浮かべるその表情に、余裕すら感じられた。
カブト「...紫さん...。」
ダークカブト「...八雲紫..,。」
その表情を崩さないまま、縁は話を始めた。足音がスキマの中に反響して響き、2人に近付きながら仰いでいた扇子をパシィッと音を立てて閉じ、手に持つまま、交互に2人を見、ゆったりと口を動かし始めた。
紫「先程の戦い...見事だったわ。あのような殺伐とした刺激ある戦い...更にその中に気品さえも感じさせる...。」
ダークカブト「...貴様...戦いに水を差したな...。」
紫「あらあら...貴方も短気が過ぎますわね。そう怒気を露わにしていては、今近くにいるいいお姫様が逃げてしまいますわよ...?」
ダークカブト「...訳のわからん話を。」
カブト「.....。」
紫さんがダークカブトとは逆に、俺へと視線を移す。興が醒めたと言うように、ダークカブトはゼクターホーンを復旧した後にゼクターをベルトから外し、黒いジャケット姿の人間態へと戻る。それに合わせて、俺もカブトゼクターを同じようにベルトから外し、虚空に放つとどこかへ飛び去った。
紫「今日は、貴方達の実力を見せてもらう為に、ずっとこの中から様子を伺っていたのよ。他の娘たちにも協力してもらって、ね。」
練也「...ずっと、スキマの中から?全く気付かなかった...。」
擬態練也「何を企んでいる....?」
紫「...貴方達が、この先私が起こす"事"に、果たして耐えられるか、それ相応の実力があるか...それを見定める為...。こうするのは必要なことだったの。...だけど、これでハッキリした。貴方達の力なら、この私...大妖怪としての、妖怪の賢者としての、雪辱を果たせる力となる。」